表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アサガエル  作者: ビバリー・コーエン
1/4

第1話 プロローグのようなもの

対してプロットも練らずに、息抜きに書いていているお話です。

なので、不定期連載になります。

読んでいただけると嬉ししいです!

是非、感想などお聞かせ下さい。

 朝。

 僕が目を覚ますと、そこは土と、木と、水と、そして少し生臭い匂いのする場所だった。

 あ、あれぇ?

 僕の家は都内の築浅のアパートだし、そんな匂いがするわけないんだけどなぁ。

 周りを見ようとキョロキョロと首を動かそうとしたら、眼球がグルリと大きく動いた気がした。

 いや、視界が半回転したから恐らく動いたのだろう。

 寝起きだからか、脳と体がうまくリンクしていないような気がする……。

 僕は取り敢えず、周囲を大まかに見渡すことにした。

 いつもより、視認できる範囲が広いような気がする。

 見えた範囲のそこは、僕が眠りについた自分のベッドでは確実にありえなくて、だけれどどこか見知った場所であるのがわかる。

 いやいや、まてまて。

 まずは落ち着くんだ……って落ち着けるわけがないじゃないか!

 どこだここ?

 なんだここ?

 うわっ! もしかして、さらわれて監禁されたとか?

 だって、体の感覚がおかしいし、頭もぼやけてるし……薬でも盛られたか!?

 ペーぺーのサラリーマンで一人暮らしの僕が?

 なんで??

 一体何の得があって僕がさらわれるっていうのさ!?


「ちっ! ドタバタとうるせぇなぁ」

 聞き覚えのない声が、下の方からする。

 下の方?

 僕は目線を下にやると、なるほど僕は今、木の上にいるらしかった。

 その木が邪魔をして、声の主を確認することができない

「まぁ、言っても聞こえるわけねぇんだけどよ。いや、聞こえててもワカンネェんだろうけどな、どうせ」

 下の人がぶつくさと、つまらなそうに独り言を続けている。

 わけのわからない環境で、理解できない状況、混乱する頭……下の人に縋りたい想いがないわけではないか、そんな状況だからこそ、それはできない。恐い。

 とりあえず僕はジタバタするのを止めて……。

 ん?

 僕はジタバタしていたのか?

 あまり感覚がハッキリしない四肢に、意識を向けてみる。

 んーーーああ。なんだ、ちゃんと手があるじゃないか!

 体の感覚が麻痺しているような感じがしていたけれど、意識を集中してみたら、水が徐々に染み渡るかのように、脳と体をつなぐ信号が繋がっていく感じがした。

 きっと、知らないうちにジタバタと体を動かして、下の人に迷惑をかけてしまっていたんだなぁ……いかんいかん。

 反省と、恥ずかしさに頭を掻こうとすると、目の前をあざやかな黄緑と、これまたあざやかなオレンジ色が通過した。

 え……?

 僕は再び混乱する。

 普通に考えて、というか、僕の頭で命令した当たり前の結果をイメージするに、今通過した<<何か>>は、多分僕の手だよねぇ?

 いや待て! ありえん!!

 僕の手は悪いが肌色だ。

 若干コンプレックスになるくらい、生白い肌の僕なのだぜ?

 ああ、わかった。いいぜ? もう一回しっかりと確かめてやる!

 僕は目を閉じ、意識を確かめるように右手を動かして顔の前に持ってくる。

 そして、手のひらを開放すると同時に、両の目を開けた。

 3・2・1

「ぎゃあぁぁぁ!!!」


 開かれた手のひらの表面は綺麗なオレンジだった。

 腕の下の部分は白く、ちょうど半分あたりで、そこから上が黄緑色になっていた。

 その肌はとても滑らかで瑞々しく、塗ったばかりのペンキを連想させる。

 うん、これ知ってるわ。

 だって、僕は昨日の夜、これに長い時間見惚れていたんだもの。その、あまりの綺麗さにさ。

 

 ――これ、アカメアマガエルの御手手(オテテ)じゃんかっ!!!


 唐突にそれを理解た僕は、混乱の中に意識を失った。

 

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ