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プロローグ1 目指すは魔界

「はぁ……はぁ……もうすぐで…『門』だ、待っていてくれナーシャ」


「『門』を(くぐ)れば、妻も娘も……頼む、私の命に代えてでも助けるから無事で」


「まずい!追手がそこまで来てる……!」


 とある暗い森の中、追手から逃げ回る三人の男がいた。彼らは命からがらと言わんばかりの険しい顔で怒りや悲しみあるいは憎しみを糧に走り、大事なものを失う焦りに追われ、自分の命を投げ打ってでもそれを断とうとしていた。

 彼らはそれぞれ職業や生い立ちも違く、顔を合わせたのだって一昨日が初めてだ。共通点といえば、数日前に妻や娘、恋人が姿を消したというぐらいだ。しかし、理由としてはそれだけで十分だった。

 彼らは必死に周りに情報を求めた。その結果、犯人は彼らが住まう国の王だと判明したのだ。しかし、彼らは騎士でもなければ宮廷魔法使いでもない、武器や魔法とは無縁の生き方をしてきたのだ。

 王が振りかざす権力の前では無力で抗えない、しかし周りのようにはなりたくなかった家族と共に入国して日の浅い男達が三人集まったのが事の始まりだった。


「見えてきたぞ、走れぇえええ!!!」


 号令に合わせ、残り少ない体力を振り絞り魔界へと繋がる道――『門』に向かって全力疾走し、三人とも無事潜り抜けた。

 それからも追手に追われることはなくなったものの何度か危険に身を晒すことがあったが、無事に三人の男は目的地の『赤魔(せきま)の領地』レーデ・ベルテンに着く。


「人間か、よくここまで無事で来れたものだな。それで何用にここへ来た?」


 門番の魔族に問われ、三人の男の一人が答えた。


「赤の魔王様に私達の願いを叶えてもらうため……いや、聞いてもらうためにここに」


「ふむ、であれば私から城の者に伝えておくとしよう。さぁ、進むがよい、意が強き人間よ。我が同胞として迎え入れよう」


 彼らはレーデ・ベルテンに足を踏み入れると真っ先に領地のちょうど中心部にある城へと向かって走り出した。

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