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300文字小説

午前中の男

作者: 林 秀明

「午前中しか生きられないんですが」


心の相談窓口に成年が深刻な顔で入って来た。


「具体的に言うと?」

「午前九時から十二時の間でしか起きてられないんです。その後は死んだように寝てしまいます」

「何でそうなったの?」

「分からないです。いつの間にか……」

「両親は?」

「普通です」

私は曇った眼鏡を外した。最近疲れているのだろうか。

「先生、聞いて下さい。僕にはやりたい事があります。午後の紅茶がどんな味をするのか、夜桜がどんなに綺麗か、自分で感じたいんです」

「そうは言っても原因がね」

「先生!! あっ、もう時間ですね。僕はこれで失礼します」

午前中の男は身支度を急ぎ、帰り際に呟いた。

「妻は午後しか生きられません。どうすればいいんですか?」


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― 新着の感想 ―
[良い点] いいオチです。でも、こまりますね。まあ、我が家は一日まるっと時間があっても、似たようなものですが……。
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