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地球で虐げられた《最強》闇魔術士は、異世界でエルフ嫁たちに愛される  作者: 銀翼のぞみ
三章

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82話 帝都

「……すごい」


「おっきいです……」


 リリアとアリーシャが感嘆の声を漏らす。


 目の前には高くそびえる帝都クラリアルの外壁。

 迷宮都市リューインも外敵からの侵入を防ぐ為に外壁に覆われていたが、高さ規模ともにその比ではない。


 さらに現在は夜更け。

 だというのにその全貌は煌々と燃える松明によって照らし出されている。


「どうだ安心しただろ、舞夜?」


 アリーシャたちと同じく、外壁を見上げていた舞夜の耳に、そんな声が聞こえる。


「ジュリウス、何故あなたが?」


 声の主は勇者にして、この帝国の第一皇子・ジュリウスだった。


 高貴な身分の彼が都市の外へいることに舞夜は疑問を持つ。


「外壁の上から夜の見回りをしてたら、ちょうどお前たちの姿が見えたから迎えに来たんだ」


「見回り、ですか?」


 聞けばジュリウス皇子は自らこの帝都の騎士たちと連携を取り、都市の安全の為、夜の警戒任務にあたっているとのことだった。


 だが、それは当然のことなのかもしれない。

 以前、舞夜が聞いていたとおり、この付近では魔王軍とジュリウス皇子率いる帝国勇者団との激突が繰り広げられていた。


 その残党が身を潜めているとも限らない。

 であれば、定期的に勇者自ら見回りにあたれば敵も攻めにくくなるということだ。


 よく見れば、城壁の上には等間隔を置いて何人かの人影が見える。

 そして、そのどれもが鎧を纏っている。

 恐らく、ジュリウス皇子の言っていた騎士たちのものだろう。


 これらを指してジュリウスは舞夜に「安心しただろう?」と声をかけたのだ。


 ——確かにこれなら魔王軍が攻めて来ても大丈夫そうだ。


 万全の体制に、この場所なら安息の地となりえる。

 舞夜はそう確信し、安心感を得るのだった。


 それと同時に、念の為にかなり離れた位置でデロ◯アンから降り、徒歩に切り替えて正解だったなとも思う。


 あんな近代的な乗り物を見られれば、見張りの騎士たちに魔物と勘違いされて攻撃されかねないからだ。


 まぁ、仮に攻撃されたとしても、デロ◯アンはオリハルコンやヴィブラウムを使った超合金製。

 上級魔法であろうとビクともしないのだが……。


「ちょうどいい、このまま城へ来い」


 そう言ってジュリウス皇子が門へ向かって歩き出す。


 今日のところは皆を城の客室に泊めてくれるとのことだ。

 そして明日、魔王マモン討伐の報酬で権利書を譲り受けた屋敷に案内してくれるらしい。


「おい、ベルゼビュート何してるんだ?」


 歩き出そうとする舞夜。

 その脚に、とてててと駆け寄り、よじ登ってくるベルゼビュート。


『魔導士様に、くっついていると闇の波動が感じられて落ち着くのよ』


 そう言いながら、舞夜の頭まで到達。

 出会った日の夜と同じく彼の顔面に貼りついた。


 だが、それだけではない


「んっ……」


 彼女の妖艶な声が上がる。


 どうやら、“魔導士様だいしゅきモード”のスイッチが入ってしまったらしい。


「おい、やめろ!」


『きゃっ!?』


 舞夜はベルゼビュートの体を半回転。

 いわゆる肩車の体勢に持っていく。


 そして——


「これ以上、変なことするなよ? もししたら1週間、闇魔力はお預けだ」


 と釘をさすのだが……


『や、やんっ……! お預けなんて言われたら……んっんっ』


 彼の言葉をそういったプレイと捉えたベルゼビュートは、ぶるりと震えビクンビクン。


「あぁ……ベルゼビュートちゃんが羨ましいです。ご主人様の魔力でそんな風になれるなんて……考えただけで興奮しちゃいますっ」


「……気持ちよさそう」


「シエラはお預けの方に興味がありますのぉ」


 舞夜の肩の上で悶えるベルゼビュート見て、アリーシャたちエルフ嫁も3人して、うっとりした顔で瞳の奥にピンクのハートを浮かべ、エロフモードに突入するのだった。


 ——もうイヤ、こいつら……。


 胸に手を当てたり、指を咥えたり、内腿を擦り合わせ発情する彼女たちに、舞夜は重い疲労感を覚えざるを得なかった。


 それはさておき。


 外壁を超えた先には、オレンジの光で輝く煌びやかな街並みが広がっていた。


 入ってすぐにある、広場の噴水、連なる酒場や宿の数々が全て街灯によって照らされているのだ。


 その街灯は全て発光効果のあるマジックアイテムで、魔力さえ一定の時間毎にチャージすれば半永久的に使うことが出来るようになっていると、ジュリウス皇子から説明がなされる。


 ——リューインもこれくらい夜の間明るければ、犯罪率も減るかもしれないな。今度ジャックたちと相談してみようかな?


 そんなことを舞夜が思っていると……


 ——ふほほほ! お任せ下され、いずれそういったものの開発にも着手してみせますぞ!!


 頭の中にそんな声が響く。

 孤島で待つジャックのものだ。


 どうやら魔力の絆を使い、舞夜の考えを覗いていたようだ。

 その他にも、新たな開発物を王様がお望みダ! などと盛り上がるカブの声とそれに盛り上がるスケルトンたちの呻き声が後から聞こえる。


『くすっ、配下に愛されて不死者の王様も大変ね?』


 さらにそのやり取りを自身の能力で覗き見たベルゼビュートが小さな声で舞夜の耳元に囁く。


 身の回りには常にアリーシャたちエロフ3人娘。

 さらに頭の中には魔王とアンデッドたち。


 プライベートもクソもない状況の彼だが、最近では多岐に渡る異種族に愛されてしまった者の宿命だろうと、割り切ることにしている。


 そして、そうこうする内に一行はとうとう巨大な白亜の城、アウシューラ帝国、その帝城の前にたどり着くのだった。

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