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地球で虐げられた《最強》闇魔術士は、異世界でエルフ嫁たちに愛される  作者: 銀翼のぞみ
二章

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70話 戸惑い

 舞夜はとっさに自分の胸部に触れる。


 むにゅんっ——。


 あってはいけない柔らかさを手に感じ、気づく。

 鏡に映る少女、それが自分であることに。


「うっ、うぅ……」


 そして顔を伏せ嗚咽を漏らし始めてしまう。


 舞夜は、もともと気の弱い少年だ。

 それが、こんなわけの分からない事態に陥り、さらに体に引きづられ心にも少女の部分が出来てしまった……そうなるのは必然であった。


 ハリーたちが復讐の為に盛ったのは女体化の魔法薬。

 ハーレムを築く舞夜にとって、男でなくなってしまうのは最悪の屈辱だろうと考えてのものだ。


 そして計画は成功した。


 ここまでは……。


「貴様らぁぁぁぁ!!」


「よくも舞くんをッ!!」


 響く叫び声。

 サクラと凛のものだ。


 彼女たちは駆け出し、そのままハリーたちに飛びかかると——


「うぎゃぁ!?」


「ひぎゃぁぁ!!」


「ぐえぇぇぇ!?」


 3人をタコ殴りにしていく。

 そしてトドメに——


「「お前たちも同じ目に会え」」


 捨て台詞とともに、それぞれの股間に渾身の蹴りを見舞う。


 ギルド内に破裂音が響き渡り、ハリーたちは泡を吹いて気絶した。


 それを見た女性冒険者や受付嬢たちは、よくやったと2人を讃え。男たちは自身の象徴を押さえ、黙り込んでしまう。


 ハリーたちは復讐に燃えるあまり、計画達成後のお咎めや逆に復讐される可能性があることを考えてなかった。


 さらに言えば、実行に移した日がまずかった。


 舞夜には2人がついていたのだ。

 彼を好いて、その種をつけ狙うサクラと凛という愛の亡者が……その2人の前で舞夜の性別を変えてしまうなど許されるはずもない。


「まぁ、これは仕方あるまい……」


 咎めれば自分もやられる——。


 ギルド長であるヴァイスは、そう判断し、サクラと凛の行為に触れる事はせず、馬鹿をやらかした3人を都市の騎士団に引き渡した。


 3人は大事なものを失った挙句、一生を檻の中で過ごすこととなる。





 その夜——。


「ふぁぁぁぁぁ!?」


「……なんてことを……!」


「お兄さまがお姉さまに!?」


 帝国の調査団による取り調べから解放されたアリーシャたちが、舞夜の変わり果てた姿を見て絶叫する。


「ひ……っ」


「おい、大声を出すな。舞夜ちゃんが怖がるだろう」


 少女になってしまったことにより情緒不安な舞夜が小さな悲鳴を漏らすと、アリーシャたちから庇うように、サクラが彼を胸の中には抱き、苦言を呈す。


「そ、そうでしたね、申し訳ありません。さぁ、ご主人様。こちらへ」


「アーシャ……うん」


 アリーシャの呼びかけに、スポっとサクラの抱擁から抜け出し、とてててと駆けていく舞夜。


「あっ……」


「次は私だったのに……」


 サクラと凛が残念そうな声をあげる。

 2人はアリーシャたちが戻るまで、不安に怯える舞夜を交代であやしていた。


 普段では出来ない体験に、喜びを感じていたのだが、それもここまでのようだと落胆したのだ。


「それにしても、お兄さまに、そんなことをするなんて許せませんの」


「……ん。去勢してやる」


 事情を聞き、怒りに震えるリリアとシエラ。

 そこへ桃花が「それはサクラさんと凛ちゃんがもうやったよぅ〜」とげんなりした様子で伝える。


 そんな中、アリーシャが胸の中の舞夜に話しかける。


「ご、ご主人様。異常がないか確認させていただきます。じゅる……」


 そう言ってヨダレを垂らしながら舞夜の胸に手を伸ばし……むにゅんっ。


「ひゃう!?」


「「「ブバァァァァ——ッ!?」」」


 初めて他人に胸を揉まれる快感に、小さな矯正をあげる舞夜。


 そんな愛らしい彼の姿を見て、アリーシャたちは鼻血シャワーを噴出する。


「は、鼻血が止まりませんの……」


「……シエラ、上を向いて。ご主人様、他に体に異常は?」


 自分も鼻血を垂らしつつも、シエラを介抱するリリアが聞く。


「実は性別が変わったせいか、うまく魔力のコントロールができなくて……」


「ッ……! それは、魔法が使えないということですよね、ご主人様?」


「うん……」


 アリーシャの問いに肯定する舞夜。

 それを聞いて皆、唸り声をあげる。


 そうなると、冒険者活動ができないのはもちろん、領爵である舞夜は、よからぬことを企む者に命を狙われる可能性もなきにしもあらず、死活問題だ。


「はわ〜。舞くん、元の姿に戻せそうなのかな?」


「多分……薬を飲んだ直後に魔力でレジストしたから大丈夫。そのうち戻るはずだよ?」


 桃花の質問にそう答える舞夜。

 それに一同、ほっとする。


 自分の身を守る為の力が戻る。

 そして、体がもとに戻れば愛する舞夜と将来、子を成すことが出来る。


 その事実が確認出来ただけで彼女たちは満足なのだ。


 とそこへ。


「はわ〜。ところでなんだけど、舞くんのお風呂の面倒とか誰が見るのかな〜? 女の子の洗い方とか知らないよね?」


 すたっ——。


 桃花の言葉に、エルフ娘3人、そしてサクラと凛が無言で立ち上がる。

 それぞれから、とんでもない殺気が迸っている。


「はわ〜。言っちゃまずいこと言っちゃったみたい……。舞くん、危ないから、おんもで待ってようね?」


「うん……」


 舞夜をあやしながら、外へと連れ出す桃花。


 そしてその直後——


「……やれ、《キマイラ》……!」


「近づけさせないわよ! 《ホーリー・アロー》!!」


 リリアが《召聖ノ加護》で呼び出した《キマイラ》を凛にけしかける。


 凛はそれに光の矢で対抗。

 怯んだ隙に距離を取る。


「後ろがガラ空きですの!」


「それはこっちのセリフです!」


「みんなまとめて、私のチャージアタックの餌食だ!」


 弓を構えるシエラに斬りかかるアリーシャ。

 さらにサクラがギガントシールドの代わりにテーブルで突撃を仕掛ける。


 そのどれも必殺の一撃。

 愛すべき者との、イチャイチャお風呂タイムの取り合いは、死闘に発展するのだった。





 その頃——。


 ちゃぽんっ。


「はわ〜、いいお湯だね、舞くん」


「は、恥ずかしいよ、西蓮さん……」


 庭の露店風呂にて、舞夜は桃花に後ろから抱きかかえられていた。


 互いにバスタオルを着ているとはいえ、舞夜は気が気ではない。


「はわ〜、女の子の同士なんだから気にしな〜い。それに私と洗い方覚えないと、あの中の誰かと洗いっこすることになっちゃうよ?」


「うっ……」


 洗いっこと称して、とんでもない快楽を体に教え込まれ、メチャクチャにされる——。


 そんな未来を想像し、呻きを漏らす舞夜。


 背に腹は代えられない。

 そう判断し、桃花に教えを乞う。


「はわ〜。それじゃあ、まずは私が洗ってあげるから、しっかり覚えてね」


「う、うん……」


 ——はわわわっ。目そらしちゃって可愛い〜!


 舞夜の反応に内心沸き立つ。


 目の前には半裸の桃花。

 凛と同様に彼女も美少女。

 それも元クラスメイトだ。


 桃花は女になったのだからという理由で気にはしてないようだが、彼女ほど天然ではない舞夜は恥ずかしいなんてものではない。


 ——ちょっとイタズラしちゃおうかな〜? そ〜れ!


 そう言って桃花は舞夜の体をくすぐる様に洗う。


「ひゃぁん!? さ、西蓮さん、くすぐったいよぅ……」


 ——はわわ〜! そんな反応されたら……それ! それ!


「ひゃぁぁぁ!? だからくすぐったっ……や、やめてよ西蓮さん……!」


「違うでしょ! 桃花お姉様って呼ぶの!」


「お姉様!?」


 アリーシャたちの魔の手から、舞夜を救い出すつもりが完全にスイッチが入ってしまう桃花。どうやらそっちの気があったようだ。


 このあと、彼女は舞夜を散々くすぐり、その反応を心ゆくまで楽しむのだが、その後、抜け駆けをしたという理由で、アリーシャたちによる生き地獄を味わう羽目になる。

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