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地球で虐げられた《最強》闇魔術士は、異世界でエルフ嫁たちに愛される  作者: 銀翼のぞみ
二章

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68話 聖夜祭

 下着姿で舞夜を迎えたアリーシャたち。


 アリーシャは黒のレースを着している。

 大胆でありながら、高級感のある上質な生地が彼女の白磁の肌を映えさせ、妖艶に演出する。


 おまけに誘うような微笑みを浮かべながら舞夜を見つめ、食い込みを直す仕草を——。


 あざとい。

 あざといがそれがいい。


 次にリリア。

 彼女は純白のマイクロビキニタイプだ。

 色は清純だが形は卑猥。ダークエルフのセクシーな褐色肌を引き立てる上、大事なところが見えてしまいそう……幼い見た目とのギャップが舞夜の背徳感をそそらせる。


 そしてシエラ。

 ピンクのフリルのついた愛らしいものを着ている。

 ゆるふわピンクブロンドのツインテールとの相性はバッチリだ。


 だがしかし、一見、可愛さに極振りした下着のつくりだが、実はそのフリルのちゃん……後ろ部分はTバックになってしまっているのだ。


 ピンクは淫乱なのである。


 ——さて、誰から頂こうか……いや、そうじゃないだろ!


 食指を伸ばしかける舞夜だったが、思い出す。

 今、彼女たちが“、不死者の王ご就任おめでとうございます”と言ったことを。


「な、なんで、アーシャたちがそんなことを……」


「はい、ご主人様。実は——」


 アリーシャたちが、舞夜が不死者の王となったことを知る理由を語り出す。





 数時間前——。


「みんな、ちょっと出かけてくるね」


「ご主人様どちらへ?」


「……また侯爵様のところへお呼ばれ?」


「それはないですの。お父さま、今日は隣の都市に用があって出かけていますの」


 アンデッドたちを孤島に預けられないか確認するために出かけようとする舞夜。


 それにエルフ娘3人がどんな用か尋ねようと近寄ってくる。

 脱ぎながら……。


「ち、ちょっと野暮用があるんだ!」


 普段なら誘惑に屈するところだが、今回は事が事。

 迫り来る魔の手を振りほどき、ダッ! と家を出て行ってしまう。


「おかしいですね……」


「……ん。ご主人様が私たちとのチュッチュを拒むなんて」


「普通じゃありませんの!」


 何事かと疑問の表情を浮かべるアリーシャ、リリア、シエラ。


 そう。舞夜が、この3人からの求愛を拒むなど、もともと何かの約束があるか、何かしらの非常事態以外ありえないのだ。


 そして、彼を愛してやまない3人がその事実に気づかないはずがなかった。


「なにか悩みごとがあるなら大変です。奴隷としてご主人様のことは全て把握しておかなくては……!」


「……ん。尾行する」


「見過ごせませんの!」





「……今度は串焼き?」


「お兄さま、先ほどから食べ物ばかり買ってらっしゃいますの」


「でも、おかしいですね? 次々と《黒次元ノ黒匣(ブラック・ノワール)》に収納されてます。お腹が空いているというわけではなさそうです」


 尾行を続けて少し——。


 舞夜が露店で食べ物ばかりを買って、その度に収納していく姿に、アリーシャたちは疑問を抱く。


 最初は、舞夜が誰かいい相手でも見つけて、密会するんじゃないかとも勘ぐった彼女たちだったが、食べ物ばかり買う姿に、たまには自分たちが作るもの以外も食べたくなったのかな? と考えた。


 優しい舞夜のことだから、それを言えずにコソコソするのは十分にありえるだろうと、その予想は確信に変わろうとしていたのだが、ここにきてそれも違う様子だとわかる。


 とそこへ。


「舞く〜ん!」


 元気な声を出して舞夜へ手を振る凛が現れた。


「これは……」


「……とうとう凛の恋が成就した?」


「新しいお姉さまですの!」


 凛の登場に沸き立つアリーシャたち。


 やはり予想は最初の方。

 逢引だったのだと確信。


 だが——


「えっと、ごめんね東堂さん。ぼく急いでるし、それに痛い(・・)から!」


「かはっ——」


 しなだれかかる凛を振りほどき、舞夜は都市の門へと駆けて行ってしまう。


 その際に、またもや凛は当てつけた平たい胸を痛いと言われ、かっ血し崩れ落ちる。


 これで逢引の線も外れ。

 アリーシャたちはさらなる困惑に陥る。


 ちなみに、この尾行だが、アリーシャたちが小走りするので、3人の大きな胸がぷるぷると揺れ、さらに、物陰に隠れるために無理な体勢をとるものだから、胸元やスカートが際どいことになり、それを目にした男たちが、前かがみ、もしくは鼻血を撒き散らすなど、ある種の災害に至ってしまっていることを本人達は気づいていない。





「結局、堤防に来てしまいましたね」


「……ん。でもご主人様の様子が変」


「周りをキョロキョロと……あ、岩陰に入って行きましたの!」


 都市から離れた堤防まで来た舞夜。

 シエラの言うとおり、彼は近くに誰かいないか確認するかのように辺りを見回している。


 そして少し経った頃。

 ビュン! と岩陰から黒い影が飛び出した。


 夜の見回りに使う黒甲冑を身に纏った舞夜だ。


 空を飛ぶ自分の姿をみられたら大事だ。

 都市で噂になっている正義の使者、闇甲冑が舞夜だとバレてもまずい。


 そういった理由で、隠れて変装したわけである。


「どうするんですの? 海に向かって飛んで行ってしまいましたの!」


「そうですね……リリア。あなたの《門城鳥》に乗って尾行しましょう」


「……ん。ご主人様のおかげで召喚時間が伸びたから、きっと行ける」


 アリーシャの提案に《召聖ノ加護》を発動するリリア。


 グリフォンのような巨体を持つこの使い魔であれば、3人乗っても大丈夫。


 そして「ご主人様おかげ」というリリアの言葉だが、舞夜は彼女の召喚の力が魔力を消費して行使されるものだと気づいた。


 ならばと、ミスリルのブレスレットを与え、いつでも魔力をチャージできるようにし、通常なら5分で消えてしまう《門城鳥》の召喚時間をのばしたのだ。


 空を飛びながら、追跡することしばらく——。


 舞夜が降下を始めた。

 何を始める気かと見守る3人にだったが、その途中で舞夜の姿が消えた。


 大慌てで消えた場所に近づき見下ろす3人。

 そして、目を疑う。

 例の孤島が現れたからだ。


 普段は見えない孤島。

 ありえない光景に、普通なら舞夜のもとへ行き、説明を求めそうなものではあるが、舞夜の全てを知りたい彼女達たちはそうはしなかった。


 舞夜の死角となる場所へ降り立つと、国家諜報員も顔負けの手際で、自分のたちの身を隠し、なおかつ彼の姿を見通すことのできる位置を割り出し、配置に着く。


 ちなみに、アリーシャたちが結界のあるこの孤島に侵入出来た理由だが、それは舞夜の魔力が付与された装備があったからである。舞夜だけが持つ闇魔力がこの結界のパスキーとなっているのだ。


 ドシン!

 ドシンッ!!


「……ッ!?」


「なんですの、この揺れは!?」


「リリア、シエラちゃん、静かに! アレは……!?」


 ここまで完璧だった3人だが、とうとう冷静さを失う。


 まずは揺れ。

 地震のようであって、そうではない。


 まるで何かが近づいて来るような……そう、揺れの原因はインペリアルだ。


「ご主人様を助けます!!」


「……来い! 《キマイラ》……!」


「援護しますの!」


 50メートルはあろう蒼黒の巨大怪獣の出現。

 その存在から舞夜を助け出そうと刀を、使い魔を、弓を構え、アリーシャたちが駆け出そうとする。


 が——。


『おお、待っていたぞ舞夜!』


「「「へ?」」」


 恐怖の権化とさえ言える見た目に反し、陽気な声で舞夜に話しかけるインペリアルに、アリーシャたちは間抜けな声をあげる。


 そして行くか行かぬか迷ううちにインペリアルは、長身美女へと変身。おまけに舞夜が先ほど買い込んでいた料理を与えると、会話を始める。


「さ、さすがご主人様です……」


「……ん、怪獣とお友達」


「怪獣さんすごい美人ですの」


 舞夜が怪獣美女と織り成す親しげな雰囲気に、とうとうアリーシャ達は考えるのをやめて、受け止めることにした。


 ドラゴンや魔王などが存在するこの世界においても、怪獣という存在は認知されていない。


 だが、イレギュラーな要因でこの世界に現れ、なおかつ伝説の魔導士に覚醒。挙句の果てに勇者でもないのに魔王を屠った舞夜のことだ。


 彼の周りで何が起ころうと不思議ではない。

 と無理やり納得することにしたのだ。


 ふほほほおほほ——!!


「今度はなんですの!?」


「……ご主人様が《黒次元ノ黒匣》から、アンデッドを召喚した……?」


「ええ。それにあのカボチャ頭にカブ頭、ご主人様が迷宮で倒した個体ですね。帰り道で姿が消えていたのが気になってましたが……」


 舞夜が呼び出したジャックたちの姿に、さすがのアリーシャたちも眉をひそめる。


 生者を憎み、その肉を貪るのが存在意義のような魔物たちを、いったいどうするつもりなのかと。


 だが、どういうわけかアンデッドたちは魔物を襲わない。それどころか、何やら話し、心を通わせているようだ。


 これではまるで……。

 3人がそう思った時、舞夜が高らかに宣言する。


「不死者の王になってやる!」


 と——。


「「「ッ……!!??」」」


 今まさに、頭の中に浮かんだ存在。

 その名が舞夜の口から飛び出し、アリーシャたちはまたもや驚愕する。


 不死者の王——。


 それは世界でたった1人だけが名乗ることを許される、王位の座。


 その名を名乗るということは、現・不死者の王、およびその配下に宣戦布告をすることになるのだが、舞夜はそれを知らない。


 そしてこれが、とんでもない大戦の引き金のひとつになるのだが、それもまた舞夜の預かり知らぬところだ。


「こうしてはいられません」


「……ん。ご主人様が不死者の王に」


「シエラは鳥肌が立ってきましたの!」


 こうしてアリーシャたちは、孤島、インペリアル、ジャックたちアンデッド、そして舞夜が不死者の王になることを知ることとなったのだ。





 ——なるほど。つけられていたわけか。


 アリーシャの説明を聞き顔に手を当てる舞夜。


 まぁ、よしとしよう。

 どうせそのうち話すことになっていたし……と結論付ける


「とりあえず、それは分かった。で、なんでみんな下着姿なの?」


 新品の下着を身につけたアリーシャたちに問う。


「ご主人様。王となられた方には最高のご奉仕が必要です」


「……ん。これは王位就任の儀式」


「聖夜祭ですの!」


 ——なるほど分からん。


 だが、彼女たちの奉仕を拒む理由はないし、そもそも逃げ場もない。


 まず手始めに、舞夜はシエラのフリルちゃんから攻略を開始するのだった。

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