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地球で虐げられた《最強》闇魔術士は、異世界でエルフ嫁たちに愛される  作者: 銀翼のぞみ
二章

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61話 奴隷という名の高貴なる身分

 斬——ッ!!


『ぐあぁぁぁぁッ!?』


 漆黒一閃——。


 刀に込められた闇魔力を解放したアリーシャが、ついに魔神レヴィの巨腕、その1本を刎ね飛ばした。


「……休む間は与えない。《キマイラ》……!」


 怯むレヴィに、リリアが攻撃を仕掛ける。

 《キマイラ》の獅子の爪、山羊の角、そして蛇の毒牙。

 切り裂き、刺突、咬撃が篠突く雨のように——


「後ろからも攻めてあげますの!」


 さらに背後からは、シエラが放った矢が五月雨のように吹き荒れる。


『馬鹿な……魔族の私が! 魔王マモン様に力を与えられた、この私が……! ありえない!!』


 全身傷だらけのレヴィが攻撃の雨から、なんとか抜け出し、喚く。


「いいえ、レヴィ。これは現実……ご主人様がいる限り、わたしたちに敗北はありえません。たとえ魔王の側近のあなたが相手であったとしても」


 アイスブルーの瞳で、冷たくレヴィを見据えながらアリーシャが言う。


 ところどころ装備に小さな傷は見受けられるものの、その美しい白磁の肌には傷ひとつなく、主人である舞夜が綺麗だと褒めてくれたプラチナの髪も1本も失ってはいない。


 全ての攻撃を刀で捌く、もしくは戦闘装束に施された装甲で全て受けきったのだ。


 滴る汗、そして傷ついた蒼銀の戦闘装束を身につけた可憐なエルフ。まさに戦乙女のように美しい。


 そしてボンデージアーマーのリリア。

 可愛らしくアレンジされた冒険者衣装のシエラ。


 彼女たちに至っては無傷。

 あまりの猛攻に、レヴィは後衛の2人には接近することすらできなかったのだ。


 満身創痍のレヴィが口を開く。


『何故です、アリーシャ? 何故、アルフス王国の次期戦士長とまで評された貴女が、ただの人間……それもあんなクソガキの奴隷などに身を堕とし——』


 ブチ————ッッ!!!!


 アリーシャの額の血管から血が吹き上がった。

 ただの人間、それもクソガキ……愛すべき主人への侮辱の言葉に、怒りが頂点を突き抜けたのだ。


 次の瞬間、アリーシャの姿が消えた。


 そして、レヴィの腕、脚——。

 体のいたるところが次々と細切れになっていく。


 ——嗚呼……私は羅刹の怒りに触れてしまったのか……。


 なす術もなく失われゆく自分の体。

 限界を超えた激痛が冷静な思考を与える中、レヴィは悟る。自分は言ってはならないことを言ってしまったのだと。


 アリーシャは、舞夜を蔑んだレヴィ。

 その憎むべき敵を排除するために全ての力を解放した。


 防具に施された《ブースト》。

 同様の機構が双刀にも付与されている。

 機動速度と攻撃速度……合わせて超高速。


 だが、それだけではない。


 月天輝夜流、その奥義、“瞬歩”——。

 かつてアカツキが使い、舞夜たちを苦しめた不可視の踏み込み。


 その技を、主人を侮辱され、自分の……“奴隷という名の誇りある高貴な身分”に対し、身を堕とすと言われた怒りで、今この瞬間、アリーシャは会得してしまったのだ。


 そして、これを加え、超高速は神速へ。

 目にも止まらない攻撃から、目にも映らない攻撃へと昇華した。


「う……ッ!」


 攻撃が止んだ。


 露わになったレヴィの姿を見て、リリアとシエラが呻く。


「ふふっ……。素敵ですよ、レヴィ? ご主人様を侮辱した貴女にはね……? あはははははははぁッ!!」


 狂ったように笑うアリーシャ。


 その目の前には物言わぬレヴィ……舞夜と出会った日、彼に仇なす者を、この姿にしてやると誓ったその形が出来上がっていた。


「ですが、帰るときに、お前の醜い姿をご主人様に見せるわけにはいきません。仕方ないですが、消し飛ばしておきましょう」


 ひとしきり嘲笑うと、冷たい表情になったアリーシャがそう言いながら、腰に装備された石を手に取る。舞夜に与えられた《黒炎弾石ブラック・フレア・バレット・ストーン》だ。


 それをレヴィに放り――爆散。

 跡形もなく消し去った。


 そしてアリーシャは、愛する主人のもとへルンルン気分で歩き出す。制裁を成し遂げたことで、父の仇を討ったという感情すら吹き飛んでいたのだった。


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