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地球で虐げられた《最強》闇魔術士は、異世界でエルフ嫁たちに愛される  作者: 銀翼のぞみ
二章

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51話 魔武器開発

「お兄さま、なにをしてますの? 石なんかいじって」


 夜——。

 ジュリウス皇子たちが帰ったあと、ある作業に没頭していた舞夜にシエラが問いかける。


 頬は赤く染まり、フリルのついたベビードールを着している。

 どうやら風呂上がりのようだ。


「お兄さま、聞いてますの? もう……くちゅっ」


「おひょうっ!?」


 素っ頓狂な舞夜の声。

 作業に集中し過ぎて気づかずにいる彼の耳を、シエラがクチュクチュと(ねぶ)ったのだ。


 舞夜のせいで、マゾに目覚めてしまったシエラだが、最近はアリーシャたちの手ほどきもあり、責めるのも得意になっている。


「それで、お兄さまは何をしてますの?」


「あ、明日のクエストに備えて“魔武器”の開発をしてるんだ。いま作ってるのは《黒炎弾石ブラック・フレア・バレット・ストーン》。炎と風の魔力が付与された《黒ノ魔弾(ブラック・バレット)》が込められている。……ミノタウロス数体くらいなら吹き飛ばせるかな」


「ちょ——ッ!?」


「それで、そこに転がってるのは《黒雷弾石ブラック・エレキ・バレット・ストーン》。雷の魔力が付与された《黒ノ魔弾》が込められていて、一時的にならトロールだって戦闘不能にできるはずだ」


「め、めちゃくちゃですの……。お兄さまがくれたあの(・・)装備もそうでしたが、魔導士に覚醒してからというもの、とどまるところを知りませんの……」


 シエラの言葉どおり、舞夜は魔導士の魔素可視化の力を使い自分以外の魔武器の開発をしていた。

 明日のクエストに対し、緊張はしているものの、それらを使ったアリーシャたちがどんな活躍を見せるか楽しみにもしている。


「それよりシエラ。明日から、また大掛かりなクエストに出かけるんだから、もう寝たほうがいいよ」


「もうっ、シエラを子供扱いしないでほしいですの」


 ——まぁ、たしかに胸は大人顔負けか……。


 生意気なことを言うシエラを諭そうにも、幼い見た目に反し、ベビードールの下でぷるぷると震える2つの果実に圧倒され、舞夜は言葉を飲み込んでしまうのだった。


「それより、ご主人様? シエラちゃんを注意するのはいいですけど、ご主人様もおねんねの時間ですよ?」


 2人のやりとりを見ていたアリーシャが、そう言って舞夜へとすり寄る。


 服装は普段どおりミニスカメイド服のままだが、どうやら下着を着ていないらしい。豊満な双丘で押し上げられ、大きく開いた胸もとからは……


「……ん。それに今日は全員の日(・・・・)。逃さない」


 アリーシャに続くリリア。

 彼女も最近はメイド服を着るようになった。

 だが、1つ問題が……それは彼女の着しているものが、ノースリーブにスカート丈が股下数センチという、とんでもない改造メイド服だということだ。


 リリア曰く、いつでも《召聖ノ加護》を発動できるようにするため、仕方なくこの形状を選んだということだが、やたら舞夜の前で脚を組み替えるし、「……お掃除」などと言いながら彼に背を向け、お尻をフリフリしながら雑巾がけをしてみたりと、実際の目的は怪しいところだ。


 そして、いま彼女が口にした“全員の日”という言葉だが……

 言うまでもなく、夜の話だ。


 アリーシャたちは、自分たちの諸々の都合などを計算し、舞夜への相談無しに“ご奉仕当番表”なるものを作成して、今日は誰が、もしくは何人で、などローテーションを組んでしまっているのだ。


 そして、これに対して舞夜の拒否権はない。


 ——解せぬ。


 などと感想を抱いたものだが……。


「「「さぁ、ご主人(お兄)さま!!」」」


 この様に、可愛さ満点の笑顔で求められてしまっては、断るのは不可能というもの。


 それにクエストが長引けば、しばらくは禁欲だ。

 今夜のうちに楽しんでおかなくてはならない。


 舞夜は魔武器の開発の手を止め、アリーシャたちの開発に勤しむ。





 翌日——。

 ギルド受付前。


「遅いぞ、舞夜」


「申し訳ありません……」


 待ち合わせ場所に到着した、舞夜たちにジュリウス皇子が叱責の声をあげる。


 対し、舞夜は平謝り。

 昨夜、楽しみすぎたせいで完全に遅刻してしまったのだ。


 勇者見習い4人の視線も冷たい。

 そして、その4人だが、昨日とは服装が変わっていた。


 学生服に似た服を着していたのに対し、勇大は重鎧。

 剛也は革鎧に金属のプロテクター。

 凛は魔女みたいな黒のワンピースに帽子。

 桃花は純白の神官服。


 どれもつくりはしっかりしたもので、素材の良さも見て取れる。

 さすがは勇者見習いたち。

 いい装備を与えられている様だ。


 だが、そんな装備を身にしているというのに、本人たちはどこか煤けて見える。いったい、どういうことだろうか。


「4人とも、昨日なにかあったの?」


「「「……」」」


 舞夜が気になり尋ねるも、返ってきたのは沈黙だった。


「実はこいつら、昨日どこにも泊めてもらえずに野宿をしていたらしい」


 黙り込む勇者見習いたちの代わりに、ジュリウス皇子が返答する。

 聞けば、4人とも、どの施設へ行っても宿泊拒否されたという。


「なぁ、舞夜……」


「頼む! お前から、都市の人たちに口を聞いてくれないか!?」


 ジュリウス皇子の言葉が終わると、勇大と剛也が必死な様子で舞夜へと懇願する。


「落ち着いて、どういうこと?」


「実は昨日、僕たちが君に襲いかかろうとしたのを、見た人がいたらしくて……」


「どこへ行っても、俺たちみたいな不届き者を泊めることは出来ないって言われちまってさ……」


 2人のそんな言葉に舞夜は「あ〜……」と納得する。


 舞夜はこの都市の領爵……つまり貴族。

 その上、迷宮の魔物の氾濫を収めた金等級冒険者。

 ゆえに都市では有名人であるし、老若男女問わず人気者だ。


 そんな彼に、襲いかかった不届き者だと噂されれば、まともな宿であれば宿泊を拒否して当然というもの。

 確かに4人も金等級であり、この都市に滞在していた期間もあったが、本物の貴族に暴行を加えようとしたとなれば、仕方あるまい。


「あれ、でもジュリウス殿下はどうされたんですか? まさか殿下まで……」


「いや、俺は騎士団の宿舎に泊まった。この都市の騎士団長とは知り合いだからな」


 皇族まで野宿させたとあっては一大事。

 舞夜は慌てて聞くが、ジュリウス皇子の返答に安堵する。


 本当なら、見習い4人も一緒に泊めることにしていたのだが、凛が暴走したせいで、はぐれてしまい、その後も見つけられなかったという話だ。


「それはそうと、舞夜。同行者が増えることになったぞ」


「同行者ですか? いったい誰——」


「くははははッ! 話は聞かせてもらったぞ! そういうことを言ってくれないなんて、水臭いぞ舞夜ちゃん!!」


 ——げぇぇぇぇ! サクラさん!?


 高笑いとともに現れたのは、女騎士隊長のサクラだった。

 彼女の登場に、「なんて、めんどくさいヤツを連れてきやがった!!」と舞夜は内心ジュリウス皇子に向かって悪態を吐く。


「くくく……さぁ、舞夜ちゃん。今日こそ私の初めてを——」


「ちょっ、やめ……! 触るなぁぁ! というか、どうしてここにサクラさんがいるんですか? もしかして任務ですか?」


「いや?」


「ッ——!?」


 公然と舞夜へ襲いかかる女隊長。

 その魔の手をなんとか振りほどき、舞夜が尋ねるがそれは否定された。


「昨日、ジュリウス殿下と団長が話しているのが聞こえてな。舞夜ちゃんが危険な任務を受けるというのなら、黙っているわけにはいかない。今まで溜まっていた分の有給をもらって、手伝いに来ることにしたのだ。なーに、申請を出す際にうっかり(・・・・)退職届けを出してしまったら1発OKだったぞ」


 つまり、舞夜と一緒のクエストを受けたいがために、この女隊長は有給取らせなきゃ、騎士団やめるからな? という、遠回しの脅しを行い、この場に来る権利を勝ち取ったのだ。


 いかに舞夜に執着しているのかが窺える。


「ふふっ、やっぱりサクラさんも……」


「……ん。加えるべき」


「新しいお姉さまですの!」


 その行動力にアリーシャたちは大盛り上がり。


 サクラの餌食になる日は近いのかもしれない。

 そんな恐怖に舞夜は震え上がるのだった。


 余談だが、今回の依頼が正式なものになっているのかを確認する際に、ジュリウス皇子が、ボンデージ姿のガチムチ受付嬢(混沌)、アーナルド・ホズィルズネッガーさんの姿を直視してしまい、その場でリバースしてしまった。


 高貴な身分の彼には少々刺激が強すぎたようだ。

 おかげで出発がさらに遅れるのだった。


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