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地球で虐げられた《最強》闇魔術士は、異世界でエルフ嫁たちに愛される  作者: 銀翼のぞみ
一章

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33話 融合魔法

「舞夜殿、2人でかかろう」


 サクラが凛とした声で舞夜へ言う。


 攻略を進め、6層目も最終地点。

 ここを抜ければ、魔物の寄りつかない安全地帯へ入り、休憩をとることができる。


 だが——


『ゲバァ……』


 不気味な唸り声。

 とうとうヤツ(・・)が現れたのだ。


 土色の肌に筋肉の隆起した巨体。

 見るのも嫌になる醜悪な顔。

 一瞬にして傷を治してしまう再生能力。


 シエラの仲間であったスタッキーを殺し、舞夜の腕を引きちぎったバケモノ……トロール。


「私はトロールの弱点、雷属性の下級魔法を使える。《鉄壁》スキルと合わせればかなりの時間を稼げるはずだ。その隙に、舞夜殿が魔法でカタをつけてくれ」


 サクラが作戦を提案する。

 それに対し舞夜は……


「サクラさん。ぼくひとりで、やらせてもらえませんか?」


「……なに?」


「ご主人様!?」


「……馬鹿なの? 死ぬの?」


 舞夜の無謀ともとれる言葉に、サクラが訝しげな声。

 アリーシャは驚きの声。

 リリアが軽い罵倒を浴びせる。


 リリアほどの美少女からの罵倒であれば、ちょっとした快感……なんて馬鹿なことを考える舞夜だが、それはさておき。


「ちょっと試したい魔法があるんです。見ていてください」


「……ご主人様、危険と判断したら割って入りますからね?」


「おいアリーシャ!?」


「……アリーシャねえさま?」


「大丈夫です。サクラさん、リリアも。ご主人様を信じてください」


 舞夜の自信ありげな表情で、彼には何か考えがある。

 そしてそれは無謀なものではないと、アリーシャは察したようだ。


 最近では、何も言わなくても彼女は舞夜の心境を察することができるようになっていた。

 その精度は、舞夜のやりたいプレイや、着て欲しいと思っている下着を当ててしまえるほどに高い。

 ちなみに舞夜はこの能力に本気で恐怖している。


「わかった。だが無理はしないで欲しい。万一、舞夜殿が欠ければ今回の作戦は失敗だからな」


「……ん。愛しいご主人様、失いたくない」


 サクラはそう言って、いざという時のためにギガントシールドを構える。

 リリアも同様に《キマイラ》を召喚。


「では、行きます……!」


 リリアの「愛しい」という言葉で、舞い上がってしまいそうになる自分に喝を入れる為、舞夜は力強く前に出る。


『ゲバババァァァァァッ!!』


 影から姿を現した舞夜を見て、トロールが猛然と駆けてくる。


 対する舞夜は杖を構える。

 これから発動する魔法《黒ノ魔槍(ブラック・ジャベリン)》に必要な魔力を送り込む。

 それと同時、さらなる魔力を上乗せで送り込むと……


 ——よし、完成だ。


 目の前には、相変わらず歪な形をした魔槍。

 だが、いつもと違う点がひとつ。

 その槍身から、紫色の光が激しくスパークしている。


 舞夜が上乗せした魔力の属性は雷。

 サクラが口にしたトロールの弱点属性を、セドリックたちの魔力付与を参考に魔槍へ融合(・・)させたのだ。


「喰らえッ——!!」


 魔槍……否、《融合魔槍》が漆黒の閃光の如く、迫り来るトロールへと飛び出した。

 紫電と、バリバリというスパーク音がその後を追う。


 ドパンッ!!


 直撃。

 激しい音とともにトロールのどてっ腹に大きな風穴を開ける。


『ゲバアァァァァァァァァァァァァ——ッ!!??』


 トロールの絶叫が鳴り響く。

 これに舞夜は「成功だ」と確信する。


 前回。

 決死の覚悟で『黒闇天の聖魔槍(ブラック・ロンギヌス)』を放った時は下半身を吹き飛ばされても、トロールは気味の悪い笑みを浮かべて身体をみるみる再生させていた。

 しかし今は地面に倒れ込んで、もがき苦しみ、のたうちまわっている。

 雷の属性が効いている証拠だ。


 魔法として放つことができない属性でも、他の魔法と融合させれば、これほどまでに効果を発揮させられる事実に、舞夜は満足げに頷く。


「おい。かなり効いてるぜ、隊長!」


「ああ、ダニー……。これは明らかに、雷の上級魔法スキルの威力を超えているぞ……!」


「すごいです。ご主人様!」


「……ハラショー」


 ダニーとサクラが驚愕の声を。

 アリーシャとリリアが称賛の声をあげる。


 だが、舞夜の表情は苦いものへと変わる。

 やはりというべきか、トロールの傷の再生が始まったのだ。


 ——あれ? でも再生が遅い……? これなら……!


「舞夜さま! 再生が……トロールの再生が止まりましたの!」


 舞夜が確信すると同時。

 シエラもその事実を叫ぶ。


「よし、もいっぱああああつッ!!」


 今度は通常の魔法を放つ。

 《融合魔槍》で消し飛ばすこともできたが、トロールの素材は高く売れるからという判断だ。


『ゲフッ……バァッ……』


 トロールは胸に突き刺さった魔槍を、虚ろな目で見つめると静かに崩れ落ちた。

 前回と違い、死体の状態はほぼ損傷なし。

 新装備にかかった代金をチャラ……それどころか、大儲けだ。


「ははっ、まさかトロールを魔法2発で屠ってしまうとは……」


 サクラは引きつった笑みを浮かべ——


「はぁんっ、ご主人様ぁ……」


「……しゅごい」


「ひゃあっ!? 漏れましたの。ちょっと下着を履き替えてきますの……!」


 アリーシャ、リリア、それにシエラは舞夜の強さに少々アレしてしまう。

 あまりのレベルの高さに、周りをドン引きさせるのだった。


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