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13話 誘惑エルフ

 舞夜とアリーシャが初めてのクエストを達成した日から、ひと月が過ぎた。


 あれから2人は、迷宮の攻略や秘境の探索など、次々と依頼をこなして……はおらず、この迷宮都市リューインで堕落した日々を過ごしていた。


 最初はアリーシャに故郷に帰ることを舞夜は勧めたのだが、アリーシャはそれを固辞した。


 舞夜が理由を聞くと——


「わたしの故郷……エルフの国、“アルフス王国”の王子に婚姻を申し込まれたからです」


 と答えが帰ってきた。


 詳しく聞けば、その王子とやらはエルフのくせに不細工で、性格も悪い事で有名らしい。そんな者と結婚など絶対にお断り……なのだが、断れば不敬とされ、何をされるか分かったものではない。


 そんな理由で逃げるように故郷を飛び出してきたと言う。

 その旅の途中、色々あり気づけば奴隷に……。


 その話を聞いて、舞夜は不敏に思うと同時に、王族に見初められたアリーシャを奴隷にしてるなんて……と自分の立場に恐ろしさを覚えるのだった。

 そして、その恐ろしさは遠くない未来現実となる……。


 それはさておき。


 アリーシャが故郷に戻れないと分かれば行動は早かった。


 まず、ずっと宿暮らしというわけにもいかないので家を借りた。

 住宅地から離れた場所にある二階建ての物件で、1階はダイニングキッチン。

 2階は寝室が2つ。

 その寝室だが、言うまでもなく片方の部屋しか使われていない。


 2人はダブルベッドを購入。

 どこで仕入れてきたのか、両面(・・)にYESと書かれた枕が転がっているあたり、アリーシャの夜戦への意識高さが伺える。

 おかげで毎日がベッドでファンタジーだ。


 舞夜はもちろん、アリーシャの服も増えた。


 出会った頃に着ていた正統派メイド服は外出用となり。

 家の中では、胸元の大きく開いたミニスカメイド服を着るようになった。

 ただでさえ、丈が短いというだけでそそられるのだが、ニーソやガーターストッキングなどを着し、舞夜を誘惑する事に余念がない。


 ちなみに下着は黒がお好きな様だ。


 最後に、この家は小さいながらも庭つきだ。

 そして舞夜はこの庭の開発に力を入れた。

 正確には庭の一部……露天風呂の開発だ。


 この都市において、風呂は貴族を除き、公共の水浴び場で済ませるのが一般的だ。

 それゆえ、どの物件を回っても風呂は付いてなかったのだ。


 どうしても温かい湯に浸かりたかった舞夜は、魔力で土を操作し浴槽を作成。

 囲いを立てれば周囲に高い建物がないので事足りる。


 お湯も、闇属性しか魔法として操る事が出来ない舞夜でも、火をおこしたり、水を熱する事ぐらいなら可能なので問題なし。この都市は水路を街中に張り巡らすほどの技術があるので、上下水道はバッチリ。水には事欠かないし、水道代もかからないのでいつでも湯浴みし放題だ。


 現に今も……


「ふふっ、いいお湯ですね。ご主人様」


「う、うん」


 湯けむりの中、微笑むアリーシャにドギマギと返事をする舞夜。

 彼の前にはアリーシャのメロンがプカプカとお湯に浮かび、圧倒的な存在感を放っている。

 初めてこの現象を見たとき、舞夜は目を疑ったほどだ。


 とここで。


「ご主人様、わたしは朝ごはんの準備がありますので、ここで上がりますね」


 言いながら舞夜を愛おしげに胸に抱きしめ、最後に「ちゅっ」と、啄ばむようなキスをして風呂をあとにする。


 立ち去るアリーシャの姿を見て舞夜は……。


 ——困ったなぁ。


 と溜息を漏らす。


 働かなくなって1ヶ月。

 当分金には困らないが、それでもこのままサボりぐせがついたら、大変だ。


 無論、何度もクエストに出かけようとしたのだが、その度にアリーシャが彼を誘惑し、ご奉仕(・・・)に突入。

 舞夜が働こうとするのを阻止するのだ。


 現に、こんな早朝から風呂に入っているのも、目覚ましご奉仕をされ、数回ほどキメたからである。


 食う♀寝る♀遊ぶ♀の堕落した毎日……


 ——よし、今日こそはアリーシャを説得して働くぞ!


 舞夜は固く決心。

 体を拭き、服を着るとダイニングの扉をバーン! と開ける。


「あ、ご主人様、もうすぐご飯できますからね♪」


「な!?」


 上機嫌なアリーシャ。

 そしてその姿を見て舞夜は絶句する。


 なんという事でしょう。

 風呂から上がると、普段はミニスカメイドさん姿の奴隷エルフが、裸エプロンの新妻エルフに大変身しているではありませんか。


 むっちりとした太腿、たわわな胸は今にもこぼれ落ちそうで……。


「今日はお米にしますか? パンにしますか? それとも……」


 言いながらアリーシャは前屈みになり谷間を見せつけ——


「ふふっ、わ・た・し?」


 セリフを言い終わると同時、流れる様な動作で、ただでさえ短くて際どい事になっていたエプロンの裾を、もう少しだけ持ち上げてしまう。


 ——明日から本気出す。


 舞夜は今日も陥落するのだった。


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