表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
地球で虐げられた《最強》闇魔術士は、異世界でエルフ嫁たちに愛される  作者: 銀翼のぞみ
四章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

127/132

126話 消えるアリーシャ

「な……ッ!?」


「何が起きた……んだ……ッ」


 驚愕に目を見開くジュリウス皇子とサクラ。

 その声を聞き、勇大を始めとした四人の勇者たちは、ようやく魔王ルシフェルがアリーシャによって倒されたことに気づいたようだ。


(アリーシャ……ジャックとカブに〝アレ〟を借りてきたな……!)


 唯一、アリーシャの力――スピードの秘密に気づいた舞夜。


 舞夜は、孤島でジャックたちとともに、とある装置を開発していた。


 その名も〝亜光速化推進装置〟――


 舞夜の闇魔力と、インペリアルのアトミックエナジーをかけ合わせることで、装着者の移動速度を一時的に亜光速化する装置だ。


 まだ試作段階であり、その精度は極めて低い。

 しかし今回、アリーシャは《剣聖ノ加護》と瞬歩を合わせることで、それを無理やり安定化させたと見られる。


 踏み込みとともに『バーストアクセラレーション』と言っていたのは、彼女の組み上げた亜光速化技術の名前だったのであろう。


「ふぅ、やっぱり一度使うとダメになってしまいますね……」


 煙を上げる左右のガントレットを見つめながら、残念そうな表情を浮かべるアリーシャ。

 どうやら、ジャックたちはアリーシャ用にガントレット型の装置を開発していたようだ。


 そして亜光速化した瞬間に、凄まじく精密な計算力で弾き出したタイミングで抜刀し、敵に斬撃を放ったのだ。


 皆がアリーシャが何をしたのか気づいていない中、どうして舞夜がその動きを捉えることができたのか……。

 それは舞夜が魔導士の力を鍛え上げることによって、普段から魔素の揺らぎを感じることができるからだ。


 恐らく、人間の中で今のアリーシャの攻撃を避けることができるのは、この世において舞夜の他にいないであろう。

 魔王の中でも、今のところは相手の心を読むことができるベルゼビュートならもしかしたら避けられる……かも、といった感じだろうか。


「何でしょう? これはもしかして〝トレジャーボックス〟でしょうか……?」


 奥の方に、装飾された箱のようなものが置いてあることに、アリーシャは気づいた。


 トレジャーボックスとは、迷宮の中でごく稀に発見される特殊なアイテムや、希少な財宝を内包した箱の総称だ。

 もはや死んだ魔王ルシフェルなど脇目も振らず、トレジャーボックスと思しき箱に手をかけるアリーシャ。


 すると中から、美しい金剛石が現れたではないか。


「ご主人様! 綺麗な鉱石が入っています!」


 舞夜に呼びかけるアリーシャ。


 そしてその金剛石に触れようとしたその時だった――


「触るな! アーシャ!」


 ――そんな風に叫ぶ舞夜。


 しかし、時既に遅し。


 アリーシャは金剛石に触れてしまった。


 そして次の瞬間、アリーシャの周囲の空間がグニャリと歪曲し始めた。


「きゃっ!?」


 小さく悲鳴を上げるアリーシャ。


 歪曲する空間に巻き込まれた彼女は、そのまま姿を消してしまった……。


「くそ! 間に合わなかった!」


 元に戻った空間、その地面に拳を叩きつける舞夜。


「まさか、あの金剛石は〝転移結晶〟だった……のか?」


 舞夜のそばに歩み寄りながら、呆然と呟くジュリウス皇子。


 転移結晶――

 触れた対象を別の場所へと飛ばしてしまうトラップ系のマジックアイテムの名だ。


 舞夜は魔素の揺らぎで、それを見破った。

 だからこそ制止の声をかけたのだが、一歩間に合わずアリーシャは別の場所へと飛ばされてしまった……。


「く……っ、無事でいてくれ、アリーシャ……!」


 悲壮な声を漏らしながら、神経を集中する舞夜。


 アリーシャには発信装置の役割を果たすアクセサリーを与えてある。

 魔導士の力を使えば、その信号を辿ってある程度の位置を特定することができるのだ。


 舞夜の様子を見て、何をしようとしているのかを理解したリリアとシエラが、《黒次元ノ黒匣》から世界地図やあらゆる国の地図を取り出す。


「よし、大体掴めたぞ!」


「舞夜ちゃん、アリーシャは無事なの!?」


「はい! 反応があるということは生きている証拠です!」


 心配そうに問いかけるレオナに、大きく頷いて応える舞夜。


 そしてリリアから地図を受け取り――


「アーシャがいるのは、恐らくこの辺りです!」


 ――とある地域を指差す。


「ここは、アルフス王国の辺境にある……確かエルフの住う里、〝ルミルス〟だったか?」


 記憶を辿りながら、その場所を言い当てるジュリウス皇子。


 その言葉を聞いて、少しだけホッとする舞夜。


 もし魔族たちの住む領域――魔界にでも転移していたら、いくらアリーシャといえど生き抜くは難しかった。

 しかし、人の――エルフの住う場所に転移したのであれば、ある程度の安全は確保されるであろう。


「ジュリウス、ぼくはアリーシャを迎えに行きます。よろしいですか?」


「ああ、もちろんだ舞夜。あとの処理は任せておけ」


 一応ジュリウス皇子の許可を取る舞夜。


 その際に、外に止めてあるキャンピングカーの鍵を、運転ができる勇大に託す。


 舞夜たち――リリアにシエラ、そしてレオナは、魔改造したデロ○アンでアリーシャを迎えにいく――


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 穏やかじゃないサブタイだと思ったら…まさに緊急事態!? [一言] …と言っても、まぁ彼女の貞操は大丈夫でしょう。 …と言うか、万が一ソレがあったら世界が…と言うより物語そのものが破滅…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ