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地球で虐げられた《最強》闇魔術士は、異世界でエルフ嫁たちに愛される  作者: 銀翼のぞみ
四章

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122話 謁見と情報収集

「お、ゼハートの王都……〝ガイエル〟が見えてきたな」


 助手席から遠くを見つめ、ジュリウス皇子が言う。


 あれから山の中で一夜を過ごし、早朝に山越えを達成した舞夜たち。

 そこから数時間の走行をこなすと、目的地であるゼハート王国の王都、ガイエルの姿が見えてきた。


 帝国ほどの規模ではないが、やはり堅牢な外壁に囲まれているようだ。

 ここまで来れば、あとは街道をまっすぐ突き進むのみだ。適当な位置まで走り抜けると、車を降りて一行は正面門へと向かう。


 正門には迷宮都市や帝都と同じく、門番の騎士が控えていた。騎士の一人に懐から取り出した書状と家紋を渡すジュリウス皇子。

 すると騎士が「て、帝国の第一皇子様ですと……!?」と驚いた声を漏らす。それから少しの手続きを終えると、一行は都市の中へと招き入れられる。


 石畳で整備された道、そして活気のある通り、そして奥には城が見て取れる。さすがは王都と言えるだろう。


「ジュリウス殿下! どうぞ馬車にお乗りください。城までご案内いたします!」


 騎士隊の隊長を名乗る男が、そう言ってとある方向を指す。そこには何台かの馬車が停まっていた。


 相手は一国の第一皇子、それも勇者ともなればぞんざいに扱ってはならない。

ジュリウス皇子を始めとした一行は、馬車に揺られて王城まで案内されるのだった。



「おお! よく来てくれた、久しいなジュリウス皇子よ!」

「お久しぶりです、国王陛下」


 王城へとたどり着くと、さっそく一行は謁見の間へと通された。

 ジュリウス皇子の顔を見た途端、この国の王――ゼハート国王は満面の笑みで迎えた。


 この国ゼハートは勇者を有していない。つまりマトモに魔王を相手取る戦力を持っていないのだ。

 アウシューラ帝国とゼハート王国は特殊な魔道具による連絡手段を持っている。あらかじめベルゼビュートから与えられた、魔王復活の情報と、ジュリウス皇子自ら救援に向かうと連絡を入れておいたとのことだ。

 そして、いつ復活するともわからない魔王に怯える中、こうして勇者自ら戦力を引き連れてやって来てくれた。

ゼハート国王は一国の主人として、どれだけホッとしたことか……。


「ところで、ジュリウス皇子よ……〝噂の少年〟とはどの者かの?」


 ジュリウス皇子と言葉をいくつか交わしたところで、ゼハート王がジュリウス皇子の後ろに控えていた皆を見回す。


 それに対しジュリウス皇子が――


「ああ、それでしたらコイツです」


 ――と、自信満々な表情で舞夜の手を引き前へと連れだす。


 いきなり国王の前に連れて来られて、舞夜は「ッッ!?」と思わず息を漏らす。


「ほう、そなたがエルフ軍と不死者の軍勢、それに魔王軍を単騎で討ち果たしたという少年――舞夜か! 話はガイゼル皇帝から聞いているぞ!」


 ゼハート王が興奮した声で舞夜へと話しかける。

 どうやら帝都で舞夜が成し遂げた偉業はゼハート王の耳にも入っていたようだ。


「すごいです! ご主人様の活躍が他国の国王陛下にまで伝わっているなんて……!」

「……ん。ご主人様の奴隷として――そしてお嫁さんとして誇らしい」

「さすがはお兄さまですの!」


 愛する舞夜が他国の王にも評価されていたことに、アリーシャにリリア、シエラはひそひそと……しかし興奮した声を漏らす。


「正直、舞夜の戦闘力は規格外です。下手をすれば魔神の封印に成功した初代勇者と同格――いや、それ以上かもしれません」


 国王の前でガチガチに緊張する舞夜に苦笑しながら、ジュリウス皇子は彼の肩に手を置くとさらにそんなことを口走る。

 それを聞いた国王は「なんと……勇者であるそなたがそこまで評価するとは! これで我が国の未来は守られたも同然かもしれぬな」と、満足そうに笑みを浮かべるのだった。


「ところで陛下。改めて魔王が封印されている場所を確認したいのですが……」

「おお、そうであったな、ジュリウス皇子。宰相、説明を」

「かしこまりました、陛下」


 ジュリウスが本題へと話を移すと、国王に指示され横に控えていた宰相が前に出る。そして魔王についての情報の説明を始める。


 宰相の説明によると、魔王ルシフェルはこの王都から数日ほど離れた場所にある〝森林型の迷宮〟の最奥に封印されていると、過去の記録で明らかになっているらしい。


「どうか魔王を倒してほしい。他国の勇者たちに頼るしかないのが歯がゆいが……よろしく頼む……!」

「お任せください、陛下。魔王は人類全ての敵、そこに自国や他国は関係ありません」


 国王の言葉に、ジュリウス皇子は心からの言葉で応える。


 正確な地図や情報を手に入れた一行は、そのまま迷宮型の森林へと向かう。途中の村で休憩を挟み、その後魔王討伐に乗り出す予定だ。

 ベルゼビュートの予見によると、魔王復活までギリギリのタイミングではあるが……疲労を残して挑むわけにはいかないという判断だ。


 それに、キャンピングカーで移動すれば時間を大幅に短縮できる。上手くいけば魔王復活のタイミングよりも先に着くことができるかもしれない。

 そうすれば、復活したてで弱体化した状態で討伐、あるいは再封印が可能かもしれない。


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