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地球で虐げられた《最強》闇魔術士は、異世界でエルフ嫁たちに愛される  作者: 銀翼のぞみ
四章

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117話 新たな決戦兵器

「これは……!」


 ユリスの血を飲んですぐ、舞夜は驚きに声を漏らす。自分の体の中を魔力が暴れまわる感覚に襲われたからだ。


『それはワタクシの血が王の体の構造を変化させている証です。少しの間、落ち着かないでしょうがご容赦くださイ』

「ユリス……わかった、教えてくれてありがとう」


 普通の人間から不死の身と変わるのだ。体内の魔力構造くらい在り方が変わって当然というもの。ユリスの言葉でそのすぐに理解した。

 ゆっくりと瞳を閉じる舞夜。彼の様子をアリーシャたちエルフ嫁やレオナ、それにインペリアルやアンデッドたちも静かに見守っている。そして――


「……凄まじい力だな。体の奥から魔力が溢れてくるよ」

『ククク……どうやら成功したようですわネ』


 舞夜の言葉、そして何より彼の体から溢れ出る、今までとは比べ物にならないほどの魔力量……それを感じ取ったユリスが満足げに笑う。


『ふほほほ! 王が不死の身となられましたぞ!』

『王様万歳!』


 儀式成功の言葉を聞き、ジャックやカブを始めとしたアンデッドたちが沸き立つ。王である舞夜と永遠を生きられるというその事実に心のそこから歓喜しているのだ。


「あぁ……とうとうご主人様が永遠の命を……!」

「……ん。これでずっと一緒……」

「シエラ、幸せですの……!」


 アリーシャたちエルフ嫁三人も、歓喜のあまり美しい瞳から涙を流している。

 レオナも「舞夜ちゃん……!」と娘たちのために不死を選んでくれたことに感動し、インペリアルも無言で涙を流している。


「さて、成功したところで色々やることはあるわけだけど、どれからにしようかな……」


 これでアリーシャたちと永遠に時を過ごせることになった。しかし、平穏な生活を送る為に用意することは山積みだ。


 恐らく、今後残りの魔王たちが動き出すことだろう。そしてその魔王たちを束ねる存在、魔神――

 今は初代勇者の活躍によって封印されているという話だが……その封印もいつまで保つか不明であるということと、封印解除のために他の魔王も動いているという情報をベルゼビュートから得ている。


 それらの脅威に対抗する為に、舞夜は様々な計画をこの孤島のアンデッドやインペリアルたちとともに進めているのだ。


『王よ、それでしたらまずは〝アレ〟から見ていただきたいのですぞ!』

『まだ最終調整が残っているけどネ!』

「ジャック、カブ、もうそこまで開発が進んでいたのか……さすがだね」


 自信満々といった様子で、とある開発物の進捗状況を見てほしいというジャックとカブ。予定を上回る進捗に舞夜が褒めると、『おぉ……王に褒められたのですぞ!』『頑張った甲斐があったヨ!』と喜びを露わにする。他のアンデッドたちも同様だ。


「ま、舞夜よ! 我のことも褒めるのだ!」


 喜ぶアンデッドたちを見て、インペリアルがそんなことを言ってくる。それに舞夜は「もちろんインペリアルにも感謝している。お前がいなかったらアレは実現しないからね」と彼女に微笑む。


 そんな舞夜の笑顔を見たインペリアルは、たまらない! といった様子で、舞夜をがばっ! と、抱きしめてしまった。

 インペリアルの豊満なバストに顔を埋められ、舞夜は頬を染めながら「うむぅ~~!?」と、くぐもった声を漏らす。


 二人のやり取りを見て、アリーシャが「あ、ずるいですよ、インペリアルさん!」と自分も反対側から抱きついたりするものだから、舞夜の逃げ道はなくなってしまう。


 どうやら永遠の命を手に入れても、舞夜の扱いは変わらないようだ。この先もめいっぱい甘やかされてしまうことであろう。


 三人のやり取りにリリアとシエラも加わり揉みくちゃにされてから少し――舞夜が本題へと話を移すとジャックたちがとある場所へと皆を案内する。


「こ、これは……!?」

『いったい何なのですか、王ヨ……!?』


 孤島の中央に建設された建物、その中へ入ったところでアリーシャやユリスが驚きの声を漏らす。

 巨大な格納庫の中にはとある巨大な銀色の物体が眠っていた。全長は十メートルほどだろうか……。


「こいつはジャックたちと開発していた〝決戦兵器〟だよ。こいつが完成すれば今までにない戦い方ができる。外の人たちには内緒だからね?」

「……ご主人様、まさかこんなものまで作ってたなんて……」

「シエラはびっくりですの!」


 リリアとシエラも目を見開いてそれを見上げている。ユリスの配下のアンデッドたちもどよめきを隠せない。


「ジャック、素晴らしい出来だ。最終調整……ということは、出力の安定が課題になっているのか?」

『その通りです、王ヨ。どうにもインペリアル嬢の攻撃を模した、例の〝アトミックカノン〟の出力調整が上手くいかないのですぞ』

「わかった、それについては後で一緒に詰めることにしよう。実は他にもやりたいことがあるんだ」

『他……と言いますと、ユリスたちの件ですかな?』

「その通りだ、ジャック。ユリスたちにはこの島のアンデッドと同じように、ここで開発した武器の扱いに慣れてもらい、新たな〝武装アンデッド部隊〟を編成しようと思っている」


 舞夜とジャックの会話を聞き、アリーシャたちは「これだけのモノを用意しながら、まだ戦力を強化するのですか!?」と驚いた声を上げる。


 そんな彼女たちに、舞夜は――


「もちろんだよ。みんなと過ごす平和な未来のために、ぼくはどんなことでもするつもりだよ」


 ――と、優しく笑いかける。


 彼の優しく、しかし絶対の自信を感じさせる笑顔に、アリーシャたちは頬を赤くし蕩けた表情を見せる。

 普段は甘やかしたがりの彼女たちでも、舞夜のこのような表情を見せられれば、初心な乙女に戻ってしまうのであった。


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