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地球で虐げられた《最強》闇魔術士は、異世界でエルフ嫁たちに愛される  作者: 銀翼のぞみ
三章

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104話 愛の鳥籠

 帝都の屋敷――

 プールのついた大きな庭で、焼いた肉や野菜が、香ばしい匂いを放つ。


 時刻は昼。

 今日の昼食はバーベキューだ。


「はい。ご主人様(・・・・)、あ〜んなのです!」


「ずるいぜ、ナタリア! 次は私の番だぞ。ご主人様、あ〜ん」


 左右からフォークで舞夜の口に食べ物を運ぼうとするのは、メイド服を着た、()アマゾネス戦隊副戦士長のナタリア。

 そして、同じくメイド服姿の元アマゾネス戦隊の主力、ゼノビアだ。


「まぁまぁ。順番の奪い合いなんて、困ったお姉ちゃんたちね? 舞夜ちゃん」


 その様子を見て、これもまた元アマゾネス戦隊戦士長のレオナが、自分の膝の上に座らせた舞夜を撫でながら、優しく問いかける。


 舞夜はそれに「ふぁ……」と幼子のように声を上げ、とろんとした表情を浮かべる。


「あぁ……ご主人様かわいい……」


「食べちゃいたいわぁ……」


「ダメよ! 手出しはアリーシャお姉様たち(・・・・・)に禁じられているのを忘れたの?」


 庭のいたるところで、そんなやりとりが交わされる。


 見渡せば、周囲はメイド服を着たエルフだらけ。

 彼女らは全て、元アマゾネス戦隊の戦士たち。


 食材を運ぶ者。

 切り分け、下ごしらえする者。

 そして、調理する者など様々だ。


 現在――彼女たちは、この帝都の舞夜の屋敷でメイドとして働いている。


 というのも、これには理由がある。


 先の大戦の後。

 アマゾネス戦隊たちは帰る場所を失ってしまった。

 原因は、魔王軍に捕らえられ、奴隷に落とされてしまったからだ。


 エルフは良くも悪くも高潔な種族。

 独特な価値観を持ち、敵の奴隷となった者を汚れた者と認識し、例え同胞や家族であっても受け入れないのだ。


 無論、今回はあくまで侵攻のための戦力や、人質として使われていた為、彼女たちの体が穢されることはなかったのだが、それを認めないのがエルフ――否、アルフス王国の体質なのだ。


 アリーシャは、そのことを舞夜に説明した。


 そして――


「ご主人様、帝都のお屋敷は大きすぎて、わたしたちの手に余ります。そこでお願いなのですが……どうか、行き場を失った彼女たちを雇ってはもらえないでしょうか? 彼女たちの中には、わたしとリリアの友人もいますし、何より行き場のない彼女たちが不憫で……」


 ……と、涙目で舞夜に懇願した。


 最愛のアリーシャの悲痛な表情。

 そして、それに続きリリアとシエラにまで縋るように、お願いされてしまう。


 惚れた自分の負け。

 愛する3人の願いを無下にできようか。


 舞夜は、逡巡する間も無くOK出した。


 ……と、いうのが理由だ。


 もともと、アリーシャとリリアの母親であるレオナは、今後一緒に暮らすことは決まっていたし、何より、成り行きとはいえ戦場でアマゾネスたちの命を救ったのは舞夜自身。救ったのなら最後まで面倒を見るというのが務めだろうと、この世界に来て随分と逞しくなった考え方で、決断するのだった。


「ふふふ……見てください。リリア、シエラちゃん」


「……ん。ご主人様、あんなに甘えんぼうさんになってる」


作戦(・・)は成功ですの!」


 庭の隅。

 レオナや、お姉さんメイドたちに甘やかされている舞夜の様子を見て、エルフ娘3人娘がほくそ笑む。


 この3人のことだ。

 ただの人助けだけで終わるはずがない。

 アマゾネスたちを雇い入れるように懇願したのには裏がある。


 アリーシャたちは常々、舞夜の自分の命を軽く見るような行動に危険を感じていた。


 そして、今回の魔王連合軍に対しての単騎での出撃――

 その知らせを聞いた時は、心臓が止まるかと思ったほどだ。


 いくら舞夜が強いとはいえ、これ以上危険なことに足を踏み入れさせるわけにはいかない。でなければ、いつか本当に命を散らせてしまう……。


 大戦があった日の夜。

 どうにか舞夜を戦いから遠ざける方法はないかと一晩中思案した。


 そして、その方法は次の日、思いもよらない方法で閃くこととなる。


 その方法とは……


「……まさか、こんなに上手くいくとは思ってなかった」


「アリーシャお姉さま考案の、“ご主人様、幼児退行調教”……恐ろしいほどの効果ですの!」


 いつもどおりクールな表情で言うリリアに、シエラが興奮した様子で同調する。


「ふふっ、お母さまには感謝しなくてはなりませんね。ご主人様の求めていたもの……それを見事に引き出してくれたんですもの」


 アリーシャが言う、舞夜の求めていたもの……それは、“純粋なる母性”だ。


 もともと舞夜が甘えんぼう気質なのは、アリーシャ自身も理解していた。

 なので、ご奉仕の時には、徹底的に甘やかしながら事を運ぶように意識していた。


 しかし、それでは足りなかったのだ。

 舞夜は生まれながらにして母親の愛に飢えていた。

 そして、それを再認識させたのが、あの日病室でみたレオナへの甘えっぷりと“ママ”という言葉だった。


 それを見たアリーシャは、一目で舞夜が幼児帰りしている事を見抜いた。


 そして、その周りには舞夜の強さに惚れ込み、その愛くるしい容姿に息を荒くした、帰る場所のない若きアマゾネスたち……。


 レオナを筆頭に、見目麗しいお姉さんメイドたちの檻の中で、これでもかというほど甘やかせば……。時間をかけ、それが当たり前の環境だと思い込ませれば……。


 自分の愛しい主人は、判断力を失い。

 幼な子のようになってしまうかもしれない。


 そうすれば、残りの魔王の討伐をしようなどという、危険な考えを取り払うことができるかもしれない……。


 そんな計画を、《剣聖ノ加護》による肉体強化で思考能力を加速させ、一瞬にしてはじき出したのだ。


 そして、結果は……


 舞夜は、あれからレオナを当たり前のように“ママ”呼び。

 他のお姉さんメイドたちのことも“ナタリアお姉ちゃん”、“ゼノビアお姉ちゃん”と呼ぶようにアリーシャが誘導した。


 舞夜には純粋な母性を感じてもらうために、アマゾネスたちには“甘やかしても、誘惑は厳禁”を徹底させている。


 しかし、それだけでは、舞夜に惚れたメイドたちは欲求を満たすことができない。

 なのでアリーシャは、こう言ってある。


「あなたたちの中で、一番、ご主人さまを上手に甘やかすことができた者には、わたしたちのハーレムに加える権利を与えます」


 と……。


 ハーレムの頂点。

 アリーシャの、そのひとことで、アマゾネスメイドたちに火がついた。


 愛しい救世主の最愛様から公認で、慈悲を頂ける。

 それは彼女たちにとって、喉から手が出るほど欲しい地位だった。


 それにより、アマゾネスメイドたちの甘やかしっぷりは苛烈さを増し、アリーシャの計算していた期間を上回る早さで、舞夜を幼児退行させることに成功した。


「くすっ、魔道士様ったら、口の周りが汚れてるわよ?」


「あらあら、ベルゼビュートちゃんったら抜け駆けはダメよ? ほら、舞夜ちゃん。“ヒルダママ”がフキフキしてあげまちゅからね〜」


「抜け駆けは母上も同じだ! ほら舞夜、口を拭き終わったら“セシリアお姉ちゃん”が抱っこしてやるからな?」



 と、そこへ新たな声が3つ割り込んでくる。


 まさかのメイド服を着たベルゼビュートに、ヒルダ皇妃、それとセシリア皇女だ。


 レオナは舞夜との約束どおり、無理に彼を誘惑しようとする彼女たちを、やんわりと咎めるつもりでいた。


 しかし、アリーシャは女の勘で、それにいち早く気づいた。

 そしてレオナより早く、破廉恥ロイヤルズに作戦の変更を伝達。


 ベルゼビュートに世話焼きお姉さん。

 ヒルダ皇妃には、レオナを意識したあまあまママ。

 セシリア皇女にはしっかり者お姉さんを演じさせ、ハーレム要員を失うことを回避したのだ。


 ちなみに。

 ここしばらくの間で、一番の進展を見せたぺたん娘はというと……残念ながら、媚薬のお香という禁じ手を使ったことが後日バレてしまい、エルフ嫁たちにはギルティと判断され、1ヶ月の出禁を食らってしまっている。少々不敏ではあるが、自業自得である。


 これらの状況を整えた上で、舞夜が物欲しそうにしている時は、アリーシャ、リリア、シエラで、ご奉仕を遂行――


 そんな甘くて優しい鳥籠の中で舞夜は生活を送ることとなる。


 果たして彼は、アリーシャたちの目論見に気づくことはできるのだろうか。

 そして、優しい顔の裏で毒牙を光らせる女たちから逃れることはできるのだろうか。


「さぁ、お兄さま!」


「……ん。次は私たちの番」


「ふふっ、たくさん甘えてくださいね?」


 だが、例え逃れなれなくても、彼は幸せだろう。

 シエラにリリア、そしてアリーシャ。


 美しきエルフ嫁3人は、こんなにも舞夜を愛しているのだから――

これにて3章終了です。

ここまでお付き合い頂き、ありがとうございました!


さて、4章についてですが、“諸事情”により投稿するのにしばらく時間を置くことになりそうです。


サクラや凛も舞夜のハーレムに加えたい。インペリアルやレオナ、破廉恥ロイヤルズにアマゾネスの面々ともイチャイチャチュッチュさせたい。残りの魔王、魔神との戦いも残ってますし、番外編も書きたい……


やりたいことは盛りだくさんなのですが、どうにも時間が……どうかご容赦下さい。

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