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どうも皆さんはじめまして。

そうでない方は自分の別の作品を読んでくださりありがとうございます。


久しぶりに自分で読み返してみたら、ところどころに誤字があるなぁ…と思ったのでなんとなく手直ししました。

このお話はとある男の普通なようでちょっと普通じゃない一日の出来事を話数ごとに時間を追って書かれています。前置きに書かれている時間と同じ時間帯に沿って読むと面白い…かもしれません。

では、最後までお付き合いいただけると嬉しいです。


7:00~ 起床


 幼馴染、妹、後輩、会長、そして学園のアイドル。

 彼女達は誰もが学園内では知らない者はいないほどの人気を誇る、言わば学園の綺麗どころ。

 そして、そんな彼女達の中心にいつもいる男がいた……。

 『主人公』である彼はどこにでもいる普通の学園生……底抜けのお人よしで、そんな彼に惹かれた彼女達が常に周りにいることを除けば。


「やっぱり僕、〇〇(幼馴染)が好きなんだ!」

「うん……私も好き。やっと通じ合えた……」


 体育館に響き渡る大胆な告白。

 二年の秋の学園祭で行われたミスコンで学園一有名なカップルが誕生した瞬間だった。

 観客や裏方、そして同じくミスコンに参加していたいつも彼の周りにいるメンバーでさえも、二人を祝福していた。


(でもさ、これって選ばれなかった達ってどうなるんだろうな?)


 想いの通じ合った二人はこれからも幸せな未来を描いていくだろう。

 しかし他の彼女達はどうなるのか? もしかしたら、彼女達も想いを諦めきれず、いつまでも彼の傍にい続けるのかもしれない。


(でもそれって、なんか辛くないか? 誰にとってもさ)


 ステージの上で選ばれなかった彼女達の笑顔の裏には一体どんな感情が渦巻いているのだろうか。


(でもまぁ……俺にはそんなこと関係ないか。だって俺は、ただの『観客』なんだからな)







「なんか……めっちゃ懐かしい頃の夢見た……」


 朝、ゆっくりと覚醒していく頭を整理しながら、夢の内容を思い出していく。


「でも待てよ……三年は"めっちゃ"ってほどでもなくないか?」


 そう、今はあれから三年後の冬。

 なのにあの時期の出来事が懐かしく感じるのは、それだけ印象に残っていたからなのかもしれない。


「でもなぁ、別に俺当事者ってわけでもないのになぁ……。あの連中とはほとんど関わりなかったし」


 言葉の通り、実際あの頃の中心人物である『主人公』は、まったく知り合いでもなくクラスも違う赤の他人だった。


「あ、でもあの学園のアイドルって呼ばれてたのファンクラブにつき合いで入ってたんだよな」


 あの中でも特に男子の人気を占めていた学園のアイドル。

 学園内にファンクラブが設立されるほどの人気で、その頃の男子は誰もが彼女の追っかけをしていたと言っても過言ではない。

 そして、勿論彼も例外ではなく……。


「やべ、今考えたら猛烈に恥ずかしくなってきた……」


 しかしそれも以前までの話、学園を離れ自立精神が育った今では消し去りたい過去になり果てていた。


「つか寒いな今日……。うわ! 外雪積もってんじゃん……」


 季節はもう冬も終盤という時期だというのに気温は一向に上がらず、雪まで降り積もっていた。

 四畳半(台所、ユニットバス付き)に住んでいる身としてはこの気候はかなりキツイものがあるだろう。


「朝飯は何か温けぇモノにしよう。そういえば昨日作ったカレーが残ってたはずだと……凍ってやがる」


 寒いから冷蔵庫に移さなくても大丈夫だろうとそのまま寝かせていたカレーは見事に凍っていた。

 さらに水に晒して放置していた洗い物にまで霜が張っている始末。


「マジんこ……。まぁ流石に慣れたけどな、こんな状況にも」


 それは二年近く前の話。

 彼の故郷はここから遠く離れた小さな島であり、先程話に出てきた学園もそこに点在しているものだ。

 つまり上京というやつである。


「成人式の日にも大雪だったしなぁ……。今年は暖冬だってニュースじゃ言ってたのに」


 文句を言いながらも解凍したカレーを食べ、テレビのニュースをチェックしていく。


「さて、今日は何回オリーブをかけるかなっと。それと今日は大学どうすっかな~、雪降ってるしな~……この後の天気予報見て決めるか」


 数分間のキッチンバラエティーで何回オリーブオイルを使用するかというアホな予想を終えて、天気予報が流れ始める。

 どうやら雪は午前中には止むようで、午後からは快晴のようだ。


「ん~、なら午後から行くか? どうせ午前は選択が1限だけだしな」


 上京二年目の冬真っ盛り、いつもと変わらないもはや慣れた日常。


(あの頃の夢なんて見たから何かあるのかとも思ったけど……やっぱいつも通りだな)


 所詮は夢、あの頃の自分を振り返ったとしても何かあるわけでもなく。


「お」


 気づけば雪も止んできた。

 この分ならば、もう家を出ても特に問題ないだろう。


「さてと……だるいけど、みんなも来るらしいし俺もそろそろ出るか」


 あの頃……島にいた頃には自分がこんなに都会慣れするなど思ってもいなかっただろう。


「人って変わるものなんだな……。それじゃ、イテキマース」



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