表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/10

4話目、医学部1号館

もうわかっていると思うが、実はキャンパスによって、棟の番号が変わっている。

第2キャンパスは数字だ。

だから医学部1号館という形になる。

ここは手野大学全体の中でも一番新しい校舎で、8階建ての鉄筋コンクリートだ。

放射能マークが付いている区画があったり、関係者以外立ち入り禁止の札がかかっていたりと、なかなか物騒な地域だ。

そこを悠々と、部長は歩いている。

それも、途中知り合いがいたようで数分ほど立ち話をしていたほどだ。

「部長て、医学部でしたっけ」

「違うよ。あ、もしかしてさっきの子?」

俺は部長の言葉にうなづく。

「あの子はね、教養学部所属時代に同じ授業とってね。それで友達になったんだ」

そういえば、部長の交友関係は以外と広い。

これも七不思議入りしてもおかしくないほどだ。

「あ、この部屋だね」

そこは手術実験室と壁に書かれたところだ。

中に入るためには、学生証以外にもパスワードが必要になっている。

扉の取っ手に打ち込めるようにテンキーが埋め込まれているのが何よりの証拠だ。

「ここは中に入るわけにはいかないけど、夜な夜な、謎の手術が行われているそうよ」

「どんな手術なんでしょう」

俺は思わず部長に聞いた。

ニヤッと笑う部長は、ゆっくりと手術室から遠ざかりつつ、話してくれた。

「あくまでも、うわさ話だと思って聞いてね」

わざわざそんな前置きをして、部長は話し始めた。

「ここの医学部は、手野グループから委託を受けて、実験も繰り返しているてのは知ってるわよね」

「ええ、それは聞いたことあります」

「その実験の一部に、不老不死というのがあるの。人の寿命を極限まで長くするっていう実験ね。仙人プロジェクトてのは、聞いたことないかしら」

俺は首を横に振る。

「そっか。そのプロジェクトでは、まるで古代中国の仙人のように、もはや霞でも食べておけばいいというレベルの極限まで栄養摂取を不要とし、ほとんど不老不死を目指しているらしいわ。そのための実験室があの部屋」

「じゃあ、あの部屋の奥には……」

「まだ人ではないわ。でも、ありえないくらいに長く生きるネズミとかはいるらしいわね。そして、徐々に人へとシフトしているらしいのよ」

「ここの七不思議の、あの実験室は……」

もう、言葉はいらない。

俺もはっきりわかったからだ。

「でも、あくまでも都市伝説、噂止まりよ。ちゃんとした公開プロジェクトとしてネットにも上がってないんだから」

部長はそう言って、なぜか急ぎ足で医学部棟を後にした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ