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No.002 学者の憂鬱


A−3の町……深夜の灯りが落ちた民家の中で

椅子に座って頭を抱えている者がいた。


「……落ち着け……冷静になるんだ……!

 とにかく、まず何をするべきかを考えないと……!」


顔に焦燥を浮かべながら、自身を落ち着かせようと

その影は言葉を呟き続ける。


暗闇の中ではその姿は確認できないが、

彼女は長く伸ばした銀髪を後ろで結った、

黒いローブを着た女性だった。


彼女の名はディアナ。

彼女は魔術師ギルドに所属し、魔術に関する研究をしている学者である。

とはいっても、彼女自身は魔法を使えず、魔術の才能もない。


彼女のような魔術師ギルド所属でありながら

魔法を使えない人間は特に珍しいものではない。

魔術師ギルドに所属する者の7割以上が魔術師ではなく、

ディアナのような学者や一般職員なのだ。


「……よし……まずは、支給品の確認だ……」


いくばくかの時間が過ぎ、呼吸を整えて落ち着いた後、

ディアナは自分に支給された袋の中身を確認することにした。


そして、出てきたのは、


拳聖の鉄甲、

心眼のサングラス、

キュアポーション3つ。


「……学者に、鉄甲を嵌めて殴り合いをしろというのか……」


額に手をやって呻くディアナ。

いくら上等な武器であっても、鉄甲など学者のディアナには不要なものだ。

これなら正直なところ、ただのナイフのほうがよほど使い勝手が良い。


とはいえ、武器以外の支給品はなかなか有用だ。


心眼のサングラスは文字通り、暗闇だろうが目が見えなかろうが

周りの状況を正確に把握できるようになる魔道具だ。

これを身に付ければ、暗い場所でも明かりを付けずに行動できる。

他の参加者に発見される危険を犯さずに動けるのは、かなり大きい。


加えて、今は深夜だ。

心眼のサングラスは十二分に真価を発揮してくれるだろう。


キュアポーションは多少の傷なら即座に回復してくれる、

戦いを生業とする者にとっては必需品の薬だ。

飲み薬なので戦闘中に使うことは不可能だが、

それでもこの薬が3つもあるのは心強い。


「……しかし、武器がこれでは自衛もままならないな。

 やはり、早急に協力者を作らねば……」


顎に手を当て、難しい顔で考え込む。


「……そうだ、名簿を見てみるか。

 もしかしたら、知り合いがいるかもしれん」


さっそくディアナは袋から名簿を取り出し、

知り合いがいないかを確認する。


そして、一人だけ知り合いを見つけることができた。


フィナ。

魔術師ギルドに所属する、魔術師の少女。

少し性格に難はあるが、悪い人間ではないし、

ディアナともそれなりに付き合いのある関係だ。


「……ひとまずは、フィナを探すとするか」


そう決めると、ディアナは支給品を袋にしまって立ち上がる。

そこで、気がついた。


「……軽い?」


そう、袋が軽いのだ。

正確には、袋の中にしまったはずの支給品の重さを感じられない。


「なるほど……この袋も魔道具というわけか……」


おそらく、中に入れたものの重さがなくなる魔道具だろう。


「この首輪といい……こんなものを大量に用意できるなんて、

 一体何者なんだ、あの男は……」


考えれば考えるほど、頭が痛くなってくる。

どう考えても、あの男の背後には強大な組織が関わっているとしか思えない。


ディアナは今のところは殺し合いなどする気は無い。

どうにかして首輪を外す方法を見つけて、ここから脱出するつもりだ。


しかし、それが不可能だと分かったときは……。


「……考えたくも無いな、そんなこと……」


呻くようにディアナは呟いた。



【A−3/町/1日目 0:30〜】


【ディアナ@学者】

[年齢]:18

[状態]:健康

[武器]:なし

[防具]:心眼のサングラス

[所持品]

・ディアナの袋

 ・基本支給品一式

 ・拳聖の鉄甲

 ・キュアポーション×3

[思考・状況]

1.フィナを探す

2.協力者を作る



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