表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クトゥルフ短編集  作者: 異次元からの猫
5/42

本屋にて

本を読みすぎに注意しましょう。

 私の家は代々本屋をやっている。

 何でも、江戸時代以前からやっていたらしく、それくらい昔は色々と依頼を受け写本をしては、生計を立てていたらしい。そして、そのころから本の輸入をしていたらしく、「阿蘭陀寄」と書かれた本も少しあった。

 そんな環境だったから、友達とはほとんど付き合わず、本を読んでばかりいた。

 おかげで、多少単語の意味が解らなくても、前後から類推することでほとんどの言葉を読めるようになっていた。


 そして、いつものように自宅の蔵で珍しい本を探していると、南京錠がかけられている箱を見つけた。だが、南京錠がかかっている割には、箱の上にそれと思しき銀色の鍵が置いてあり、その鍵を使ってみればいとも簡単に錠前は役目を終えてしまったのだ。

 …南京錠の近くに鍵があったら、とりあえず開くかどうか確かめて見るでしょう?


 そんな理由で、錠前はあっさりと開き、中の本と対面することができた。表紙にはギリシャ語で「カルナマゴス」と書かれており、いかにも古い本と言う雰囲気を醸し出している。

 これは貴重な本に違いないと、一先ず中身を確認するために開いてみることにした。


 すると、内容は実に面白く、ついするすると読み進め、そのまま中ほどまで読んでしまった。

 不味い不味い。さすがにこんなところで本を読んでいたら、親が心配してしまう。そう思い、反射的にポケットに入れていた銀色の鍵と、読みかけの本を持ち、蔵の外に出る。


 …ここはどこだろう。目の前にあるはずの母屋がない。

 目の前のには森。その中をカブトムシによく似た甲殻類が、群をなして飛び回っているのがちらっと見えた。

 そして、振り返ってみれば、今までいた蔵がそのままあり、空からは灰色の光が柱になって降り注いでいる…。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ