夏祭り
みんなでお祭りに行こう!
祭り会場にそろそろつくようだ。祭り囃子が聞こえてきた。
「今年は上手くいくと良いのぅ」
隣で歩いていた老人が、祭りの成功を願っているようだ。もちろん私も祭りが成功することを願っている。去年、一昨年と上手くいっていなかったから。
近づくにつれ、太鼓や管楽器の音楽がはっきりと聞こえるようになってくる。
「おぉ。今年は成功しそうだな。」
今度は後ろを歩いていた家族連れの父親だ。確かに、沢山の参加者がいて、演奏も完璧だ。後は私たちが盛り上げ、盛り上がるだけできっと良い祭りになる。そんな確信が湧いて来る。
祭り会場の広場に出た。
中心にはもちろん櫓があり、そこで太鼓などの楽器を演奏している奏者たちが乗っている。櫓の周りでは、円になった人たちが音楽に合わせ、同じ振り付けで踊っている。
また、その周りには踊りはしないが、祭りを見に来ている人たちや、その人たちを狙った屋台が出ている。
私はひとまず腹ごしらえと屋台に近づく。
「おじさん。串焼きとお酒下さい。」
「おぅ。お嬢ちゃん。あんたも踊るのかい。頑張ってくれよ。」
屋台のおじさんが激を飛ばしつつ、私の注文した物をくれる。
食べることも祭りの一部。手早く食べると、踊りの輪に入っていく。
次第にお酒が回ってきて体の中で串焼きと混ざり、良い状態になっていく。
ほら、櫓の上の奏者たちが、本当の姿を現してきた。
その姿が崩れ始め、形を常に変化させていく。しかし、その塊から延びる触手が囃子を演奏し続ける。
それにつれて、周りで見ている人たちから歓声が上がる。ここまで来ればあと一歩。
さっき食べた黒い雄山羊の串焼きと、母の唾液から作ったお酒が身体の中から外に呼びかける。私たちは、栄誉ある父と母になるのだ。
囃子の音がさらに高まっていき、ついに櫓の一番上に門が開く。
「イアイア!シュブニグラス!偉大なる我らが母よ!」
不覚にも、神様の名前を間違えていました。
指摘頂けたので、直ちに修正しました。
真名を呼ばなければ、失敗しますよね。
名前を間違えたら、神様に怒られるのでしょうか?
…おや?窓の外に見える、あの蹄はなんだろう?