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クトゥルフ短編集  作者: 異次元からの猫
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犬に追われています。

 外から犬の声がする。


 全く律儀なことだ。俺を探し出してすぐ外まで来ているらしい。

 奴に捕まってしまえばもう逃げられない。俺の身体なんてすぐに食い尽くされてしまうだろう。もしかしたら、お仲間を呼んで仲良く腹を満たすかもしれない。


 外から犬の声がする。


 知り合いにそそのかされただけなんだ。本当に一度だけ。その知り合いは何度かやっていたらしいが、そいつはこの間逃げそびれて、犬の声が追い付き…それから知らない。後ろは振り向かなかったから。


 外から犬の声がする。


 その知り合いは、あの猟犬が存在することは噂だけだが知っていたらしい。でもって、あまり信じては居なかったが、念のためと言ってこの避難部屋を造っていた。だが、この部屋まで逃げきれないとは馬鹿な奴だ。


 外から犬の声がする。


 まだ諦めていないらしい。それにしてもやかましいな。だが、奴はこの部屋に入ってくることはできない。何て言ったって、あいつが完全に対策を取った部屋だから。ただ、この部屋には暇を潰せるようなものが何もない。ずっと犬の声を聞くだけ。気が狂いそうだ。


 外から犬の声がする。


 本当にしつこい奴だ。少し未来を覗いただけで、いつまでも追ってきやがる。でも、この部屋にいる限りは安全だ。部屋の中にある家具は全て角が落としてあって、鋭角が存在しないからな。あの猟犬はこちらには入ってこれない。


 外から犬の声がする。

「ブシュゥゥウルル。ウォゴゥゥ。ジュルゴォォ。」


 あいつに襲われないために鋭角を作ってはいけない。つまり、俺は動けない。動けば鋭角ができてしまうかもしれないから。

 部屋の隅にうずくまり、猟犬の声を聞くことしかできない。

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