#01何かが起きた後の話
一年後だよ!
目が覚めると、なんだかいい匂いがした。かわいい香りというか、あまそうな香りというか…そう、女の子のシャンプーのにおいのようなそんな感じだ。
「ん、んんぅ…?」
しかも何か重い。さらにはすぐ耳元に息遣いが聞こえる。
(…っだ、だれか横に寝てる!?え?お、俺、夕べどうしたっけ?いや、普通に学校から帰って、夕飯食べて、風呂入って、自分のベッドに寝ただろ!?おおおお、落ち着け!あ、あ、あれ、だ、お、おふくろとか、親父の可能性も微かに…!?)
などと想像をめぐらせては見るが、心霊現象の類だと大変怖いので目が開けられない。
ふと隣で息を吐く音が聞こえた。
そして囁くような声で…
「ふっ、おはようオレの子猫ちゃん…」
……囁くようなハスキーボイスで、その何者かの声がした。
……「オレ」?ってゆーか、声低くね?
……。
「はあああああ!!!!??」
今度こそ本当に状況が把握できず、目をカッと見開き飛び起きた。
ボゴゥッ!
「っていってええええええええ!!!!」
そして、思いっきり頭頂部から額にかけてを異様に低い天井にぶつけ、悶絶する羽目になった。
「な!…うーー??あ、ったまいてぇし、え、なにここ?」
痛みで涙目になりつつ、ようやく開けたクリアな視界で見渡したソコは、明らかに自分が寝る前の部屋とは異なっていた。
まず、先ほどぶつけた天井。これがどうやらベッドから約50㎝ほどの高さにあるようで、二段ベッドかロフトなのかは不明だが床より天井が近いといった場所に寝ていたらしい。