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キングダムパーティー  作者: 渡雪
5/7

第5話 会議の間

時は少し遡る。



「定例会議ですか?」

「そう。定期的に各部隊の隊長が集まって会議をするの。」

「具体的にはどんなことを話し合うんですか?」

「うーん、隊長しかその場にいないから私も詳しくは知らないんだけど敵国の動きや隊全体にしなければいけない連絡…合同演習の話や新人隊士の隊への振り分けとかを話し合ってるはずよ。」


ミラは納得する。

ガーネットは朝食を済ませ、食器を片付ける。

ミラはそれを見てまだ自分が朝食を食べていないことに気がついて自分も朝食を食べ始める。


「そういえば」


元の席に戻ってきたガーネットがミラに話しかける。


「昨日隊長と闘っていたときに隊長がある質問したときに動きが鈍ったって聞いたけど何かあったの?」


そのとき石化したかのようにミラの動きが止まる。


「どうしたの?」


図星だと知っていながら心配するように質問を重ねる。


「な、なんでもないです。」

「明らかに動揺してるように見えるけど……?」

「気のせいです。何もありませんでした。」

(…ごめんなさいレオ、やっぱり話してくれなかったわ。)


しかしミラはその話題がふられたことにより思い出す。

自身の思い出、自分が容赦なく冗談を言い合え、自分が親友と呼ぶことができた人を。


(エリオ……)


彼女はこみ上げてくる感情を押し殺す。

彼女は今出かけている隊長だけに話そうと思っているため信頼できる副隊長にも話さない。

どうせガーネットはレオルから聞くか、レオル本人に話すときに立ち会っているだろう。



ミラは朝食を食べ終えて立ち上がる。


「行くの?」


ガーネットが聞く。


「はい。」


ミラは答える。


「昨日隊長に言われたことを早く直したいので相手をお願いできませんか?」

「わかったわ。」


ミラは食器を片付けて、食堂を出るガーネットについて行った。


この時、レオル達隊長が会議を始めたころである。




武器と武器が交わる音が聞こえる。

ミラとガーネットは準備運動を終え、早速手合わせをしていた。

ミラの剣が振り下ろされる。

しかしガーネットはその剣を拳の甲で守り、逆の手でミラの顔を殴る。

だがそれもミラがもう片方の剣で弾いて拳の弾道を逸らす。

弾道を逸らされたガーネットは一旦下がり、ミラは左の剣を逆手に持ち替える。

誘っているように見えていたがかまわずガーネットは間合いを詰めて右の脚でミラの腹を狙う。

ミラはそれを逆手に持ち替えた左の剣で受け、右の剣で突く。

剣はガーネットの腹に命中し、さらにミラはそこからその剣を下に振る。

剣にカバーがついていてガーネットに傷は無いが、実際ならミラがやったことは確実にガーネットの腹を抉っていた。


「ストップ!」


腹を突かれ、うずくまっていたガーネットが追撃しようとしていたミラを止める。


「…容赦ないわね。さっきのは効いたわ。」

「すみません、手を抜かれたことに少し腹が立ってしまって…。」

「剣を逆手に持ったとき?誘っていることはわかってたけど乗ってやろうと思ったんだけどやっぱりあそこは回し蹴りじゃなくて足刀蹴りだったな~。」

「ええ。多分それなら私も不意をつかれて対応が遅れて反撃できなかったと思います。」


ミラは剣を振り回して自分のフォームを確かめる。

時には片方の剣を投げてみたり、剣一本での練習をしてみたり苦手な左手での剣の扱いを練習していた。



「やっぱり剣一本だとぎこちないわね。まあ組み手では十分にやり合えるレベルだけど。」

「ありがとうございます。またやります?」

「いいわよ。今度は手加減無しでいくから。」


お互いに構える。

そして2人が動き出した瞬間


「ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」


突然何かの咆哮が聞こえた。


「な……何!?」


ガーネットが咆哮に戸惑う。


「これは……」


ミラはこの声が何か気付く。


「ドラゴン……!」

「え?ドラゴンってあの?」

「この吠え方間違いありません。」


ミラは走り出す。

ガーネットはそのミラを制止する。


「待ちなさい!」

「止めないでください!私はドラゴンを倒さなければいけないんです!」

「落ち着いて。あなた一人じゃ危険よ。それに防具も着ていないし。」


ミラは自分の今の服装を確認し冷静になる。

ガーネットはミラが落ち着いたことを確認すると、困惑している隊士全員に


「みんな落ち着いて!今から私と数人で様子を見に行きます。他は指示があるまで待機。」


ざわざわしていた空間が静まる。

そしてまた咆哮が聞こえた。

ガーネットは数人のを指名する、その中にミラの名前もあった。


「呼ばれた人はすぐに装備を整えて。遅い人は置いていくわよ。」


ミラもすぐに準備を始める。

防具を着け、剣のカバーを外す。

ガーネットは隣ですでに準備を終えており、手にはハルバードがあった。


「行くよ。」


そう言うとガーネットは隊舎を飛び出し、ミラもそれについて行った。



隊舎を出ると咆哮の主の背中の一部が見えた。


「ほんとにドラゴンだ。しかも結構大きい。」


ガーネットは立ち止まり、彼女の口からそんな言葉が漏れる。

ドラゴンは世界で最大のモンスターのため見間違うことなどない。

しかし今回のドラゴンは通常のサイズの二倍近く大きい。


「商業地区の方みたいです。急ぎましょう。」


ミラが先に走り出し、他の人もそれを追いかける。


「ミラ、なんでそんなに急ぐの?まあ急がないといけないにはいけないけど、ミラはドラゴンを憎んでいるように見えるけど?」

「ええ、憎みますよ。だってアイツはエリオを……」


ミラが黙った。

ガーネットは自分もミラについて聞くことができるという口実ができ、ニヤリとする。

しかし、それを自分がしていることに気づきすぐに表情を戻す。


「今は話さなくていいわ。とにかく目の前のドラゴンを倒すことに集中しましょう。」

「……はい。」



それからそこまで時間が経っていなかっただろうか、ミラ達が向かっている方向から2人の騎士が走ってきた。


「ガーネット副隊長!」

「ヨラとシナじゃない。もしかして隊長に言われて来たの?」

「はい。商業地区にドラゴンが出現したので会議は一時中断、レオル隊長とヒューレ隊長が先に向かっています。」

「わかったわ。ヨラとシナは第7部隊の隊舎に行って他の隊士を連れてきて。私達も先に向かってるわ。」


2人は隊舎に向かって走って行った。

そしてガーネットは他の隊士に何も言わずに走り出し、隊士はそれについて行く。




商業地区。

普段そこでは市場などで人が大勢いるのだが、今は人は避難したのかまたは今住民に代わってその地区にいるドラゴンにやられたか人一人見当たらず、所々赤い液体を見ることができる。


「……ひどい…。」

「そんなこと、あとで言いなさい。まずはあの怪物を倒すわよ。」


ガーネットは他の隊士に逃げ遅れた人がいないか探しに向かわせ、ミラと共にドラゴンのもとに向かった。

そこには武器を構えて突撃する一歩手前でいるレオルとヒューレがいた。


「隊長!」


レオルが振り向く。


「ガーネットか。…他の隊士は?」

「数人で来て今生存者の捜索に向かわせてます。その他はヨラ達が呼びに行きました。」

「自己判断でここに来るなんて、うちも見習ってほしいな~。」


ヒューレが会話に横槍を入れる。

レオルは再びドラゴンに向きなおし、他の3人も同様にする。


「いくぞ!」


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