俺たちのSAN値は誰が為
最初は、一通の封筒だった。
「ん?」
買い物から帰ってきた梓は、郵便受けに入っていたそれを手に取った。
宛名はない。
差出人のところには、見慣れない団体名が書かれていた。
「……※※教?」
なんだこれ。
首を傾げながら部屋へ戻る。
「ただいま〜」
「きゅう(おかえり)」
リビングでは、修也がいつものようにテレビを見ていた。
梓は買ってきたものをテーブルへ置き、その隣に封筒も置いた。
「ねえ修也。なんか宗教からの手紙入ってた」
「きゅう?(宗教?)」
「うん、※※教だって。こうやって勧誘広告が入るもんなんだね」
「きゅー(へえ)」
興味なさそう。
まあ、梓も同じだった。
「私たち、無宗教だもんね〜」
「きゅう(だな)」
「いらないね。ポイしちゃお〜」
封筒は開けることもなく、そのままゴミ箱へ。
それで終わった。
少なくとも、そのときは。
◆◆◆
それから数日後。
ピンポーン。
「はーい」
インターホンが鳴り、梓が玄関へ向かう。
扉を開けると、見知らぬ女性が立っていた。
年齢は四十代くらいだろうか。
きちんとした身なりをしていて、柔らかな笑みを浮かべている。
「突然の訪問、申し訳ございません」
「はい?」
「少しだけ、お時間よろしいでしょうか」
「……なんでしょう?」
女性は胸元で両手を重ねた。
「あなたは、神様を信じていますか?」
「…………」
ああ、宗教だ。
「すみません。そういうの、信じてなくて」
「そうですか」
もっと食い下がられるかと思ったが、女性はあっさりと頷いた。
「それでしたら、ただ私たちに祈らせてください」
「……祈る?」
「はい。あなたの幸福を」
「…………」
よく分からない。
けれど、入信しろとも、お金を払えとも言われない。
「はあ……まあ、それくらいなら」
「ありがとうございます」
女性は嬉しそうに微笑んだ。
「あなたに、祝福あれ」
静かに頭を下げ、そのまま帰っていく。
「…………」
梓はしばらくその背中を見送ってから、扉を閉めた。
「きゅう?(誰だった?)」
「宗教の人」
「きゅう(わお)」
「神様信じてますかって」
「きゅきゅ?(なんて答えた?)」
「信じてませんって」
「きゅっきゅ(だろうな)」
「でも、代わりに祈ってくれるって」
「きゅう?(祈るだけ?)」
「ね。よく分かんないよね〜」
なんて話して。
その日も、いつも通りに過ぎていった。
◆◆◆
また数日後。
同じ女性がやってきた。
「あ。この前の」
「こんにちは」
女性は以前と変わらない、穏やかな笑みを浮かべていた。
「今日は、こちらをお渡ししたくて」
「……?」
差し出されたのは、小さな飾りだった。
細い紐の先に、見慣れない意匠の装飾がついている。
十字架のようにも見えるが、少し違う。
「これ、なんですか?」
「私どもの教会で、祝福を込めたものです」
「え。でも私、前も言いましたが、入るつもりはないですよ?」
「もちろんです。入信をお願いしているわけではございません」
女性は飾りを梓へ差し出したまま、微笑む。
「お気持ちとして、皆様にお配りしているだけです」
「お、お気持ち?でも、お金とか……」
「必要ございません」
「本当に?」
「はい。見返りはいただきません」
「…………」
そこまで言われると、断るのも悪い気がした。
「じゃあ……いただきます」
「ありがとうございます」
女性は満足そうに頷いた。
「あなたに、祝福あれ」
また、それだ。
「……どうも」
女性が帰ったあと、梓はもらった飾りを持ってリビングへ戻った。
「きゅう?(また宗教?)」
「そう。また来た」
「きゅー(懲りないねぇ)」
「で、なんかこれくれた」
修也の前にぶら下げると、不思議そうにそれをつつく。
「きゅう?(なにこれ)」
「お守りみたいなものじゃない?」
「きゅきゅ!(うわ怪し!)」
「タダだって」
「きゅう……(大丈夫か?)」
「あはは。ちょっと怪しいよね」
とはいえ、捨てるのもなんとなく気が引ける。
梓は飾りを棚の端へ置いた。
◆◆◆
そして。
また、来た。
「……こんにちは」
「こんにちは。本日はこちらを」
差し出されたものを見て、梓は少しだけ眉を寄せた。
小さな透明の瓶。
中には、ただの水にしか見えない液体が入っている。
「これは?」
「聖水です」
「……聖水」
「はい。どうぞ、お受け取りください」
「これも……無料なんですか?」
「もちろんです。皆様の幸福を願い、お配りしているものですから」
「…………」
断ろうかと思った。
けれど、女性はいつものように穏やかに笑っている。
無理に入信を勧めてくるわけでもない。
お金を要求されたこともない。
「……ありがとうございます」
「あなたに、祝福あれ」
扉を閉める。
「…………」
手の中にある、小さな瓶を見る。
何かされたわけじゃない。
ただ、手紙が来た。
訪ねてきた。
飾りをもらった。
今日は、聖水。
それだけなのに。
「……なんか、ちょっと怖いな」
「きゅう?(どうした?)」
修也がこちらを見る。
「また来たの。宗教の人」
「きゅう?(また?)」
「うん。今度は聖水だって」
「きゅう(大丈夫なのか?)」
「分かんない。でも、ここまで何回も来られるとね……」
梓はリビングの棚を見る。
以前もらった飾りが、まだそこに置いてある。
「次、また来たら断ろっか」
「きゅっきゅ!きゅっきゅ!(そうだそうだ!押しつけは、のーさんきゅー)」
「これも、前にもらったやつも。全部返そう」
「きゅ!(おう!)」
そう決めてしまえば、少しだけ気が楽になった。
次に来たら、きちんと断る。
もう来ないでほしいと伝えて、もらったものも全部返す。
それで終わる。
そう思っていた。
◆◆◆
そして数日後。
また、インターホンが鳴った。
梓がモニターを確認すると、そこにはもう見慣れてしまった女性の姿があった。
「…………はぁ、修也」
「きゅ?(ん?)」
「宗教の人がまた来た」
「きゅきゅう……(うわ、もううんざり……)」
「うん。ちゃんと断ってくるね」
棚から飾りを取る。
聖水の小瓶も持った。
玄関へ向かい、扉を開ける。
「こんにちは」
「……こんにちは」
「本日は──」
「あの、すみません」
女性の言葉を遮って、梓は持ってきたものを差し出した。
「これ、やっぱりお返しします」
「…………」
女性の笑顔が、止まった。
「……どうしてです?」
「え?」
「何か、お気に召さないことでもございましたか?」
「いや、そういうわけじゃ……」
梓は差し出した飾りと小瓶へ目を落とす。
「最初はいただいたんですけど、やっぱりこういうの、うちには必要ないので」
「ですが、せっかくの祝福ですよ?」
「お気持ちはありがたいです。でも、もう大丈夫です」
もう一度、女性へ差し出す。
しかし、受け取ろうとしない。
「どうぞ、そのままお持ちになっていてください」
「いや、でも……」
「きっと、あなたをお守りくださいますから」
「…………」
なんだか、話が通じない。
「すみません。何度も来られるのも、ちょっと困ってて」
「まあ」
「なので、もう来ないでもらえますか?」
今度は、はっきりと伝えた。
これなら分かってくれるだろう。
そう思ったのに。
「……もしかすると、置き場所がよくないのかもしれませんね」
「え?」
「祝福の品にも、適した場所というものがあるのです」
「いや、そういう話じゃなくて」
「風水的にも、方角というものはとても大切ですから」
「ふ、風水?」
女性が梓の肩越しに、部屋の中を覗き込む。
「少し見せていただけますか?」
「いえ、結構です」
「すぐに済みますから」
「だから──」
女性が一歩、玄関へ踏み込んだ。
「……え?」
「こちらは北向きでしょうか?」
「ちょっと、勝手に入らないでください!」
「置かれている場所を確認するだけですから」
「必要ありません。出てください」
梓が行く手を塞ぐ。
しかし女性は、手にした飾りへ視線を落とした。
「こちらは普段、どちらに置かれていたのですか?」
「リビングですけど……」
「まあ。それでしたら、一度確認を──」
「しなくていいです!」
「ですが、方角によっては祝福を十分に──」
「だから、いらないって言ってるでしょう!」
声が大きくなった。
「きゅう?(騒がしいけど、どうした?)」
リビングから、修也の声が聞こえた。
「…………」
梓は一瞬、そちらへ目を向ける。
「大丈夫だよ、修也。大したことじゃないから」
「きゅう……(そっか、分かった)」
それきり、修也の声は聞こえなくなった。
「……今のは?」
「関係ありません」
「どなたか、いらっしゃるのですか?」
「あなたには関係ないです。とにかく帰って──」
「もしかして、そちらに?」
「え?」
女性が動いた。
「ちょっ……!」
梓の横をすり抜け、靴を脱ぐ。
「待って!何してるんですか!」
「せっかくですので、そちらの方にも祝福を」
「やめてください!」
女性は廊下へ上がり込んだ。
梓が腕を掴む。
「出てって!」
「大丈夫です。すぐに済みますから」
「大丈夫じゃないって言ってるでしょう!人の話、聞いてます!?」
けれど女性は止まらず、そのまま廊下を抜け、リビングへ足を踏み入れた。
「ちょっと、待ってってば!」
追いかけてきた梓の声にも反応せず、女性は立ち尽くしている。
その視線の先には、修也がいた。
「……あ」
女性の目が、大きく見開かれる。
その唇が、わずかに震えた。
「……そう……なのですね」
「え?」
「やはり、そうだったのですね」
「……何がですか?」
女性の目から、一筋の涙がこぼれた。
「私たちは……間違っていなかった」
「…………は?」
「きゅう?(は?)」
女性が、その場に膝をつく。
「ちょ、何してるんですか」
そして、修也へ向かって深く頭を垂れた。
「ようやく……」
声が、歓喜に震えている。
「ようやく、お会いできました」
「きゅう?(誰に?)」
女性はゆっくりと顔を上げた。
その目は、まっすぐ修也だけを見つめている。
「神よ」
「…………なに?」
「きゅ!?(神!?)」
「我らが祈りに、ついにお応えくださったのですね」
「いや、ちょっと待ってください」
梓は女性の視線を遮るように、修也との間へ割って入った。
「何を勘違いしてるのか知りませんけど、修也は神様なんかじゃありません」
「…………」
「私の恋人です。ただ、それだけです」
「ああ……」
女性が、感極まったように息を漏らした。
「……そういうことなのですね」
「え?」
「これは、試練なのですね」
「…………は?何を言って──」
「分かります」
女性は胸元で両手を組み、大きく頷いた。
「世の中には、ただ金銭を得るために神を利用する者もおります。また、魂の脆弱さゆえ、神を信じられぬ者もいる」
「いや、だから!」
「我々がそうではないと、見極めたいのですよね」
「違います!」
「ご安心ください!」
「だから違いますって!」
しかし、梓の声などまるで届いていない。
女性は再び修也へ頭を下げた。
「必ずや、見事その試練を越えてみせましょう」
「…………」
「きゅう……?(あ、もしかして発狂しました?)」
「もういいです!」
何を言っても通じない。
梓は女性の肩を掴むと、強引に立ち上がらせた。
「帰ってください!」
「ですが、まだ──」
「帰って!」
女性の背中を押し、玄関へ向かう。
「お待ちください。せめて、もう一度あのお方の御姿を──」
「嫌です!」
「これはもしや、さらなる試練──」
「違います!!」
どうにか玄関の外まで押し出す。
女性はまだ何か言おうとしていたが、もう聞く気にもなれなかった。
「ほんっと、宗教とか迷惑です!二度と来ないでください!」
バタン!
勢いよく扉を閉め、鍵をかける。
「…………」
しん、と静まり返った玄関。
梓は扉を睨みつけたまま、大きく息を吐いた。
「……なんなの、ほんと」
「きゅう……(梓)」
振り返ると、修也が心配そうにこちらを見ていた。
「……ごめんね。びっくりしたよね」
「きゅう(大丈夫?)」
「大丈夫、大丈夫」
梓はいつものように笑った。
「もう来ないでって言ったから」
「きゅう……(だと、いいんだけど)」
「これで終わり」
そう言って、二人でリビングへ戻る。
その頃。
閉ざされた扉の向こうでは。
「…………」
女性が、感激に震えていた。
「なんという……厳しい試練なのでしょう」
胸元で両手を組み、祈るように目を閉じる。
「必ずや……」
再び目を開いたとき、その瞳には先ほどまで以上の熱が宿っていた。
「必ずや、我々の信仰をお認めいただきます」
女性は深々と扉へ頭を下げると、ようやくその場を離れた。
◆◆◆
翌日。
ピンポーン。
その音に、梓は手を止めた。
「きゅう?(まさか)」
「……いやいや」
さすがに、昨日の今日でまた来ることはないだろう。
あれだけはっきり言ったのだ。
二度と来ないでください、と。
念のため、モニターを確認する。
「…………誰?」
映っていたのは、昨日の女性ではなかった。
見知らぬ男女が二人。
梓は少し迷ってから、インターホン越しに応答した。
「……はい」
『突然申し訳ございません。私ども、※※教の者です』
「…………」
梓は無言で通話を切った。
「きゅう?(誰だった?)」
「※※教」
「きゅ!?(また!?)」
「でも、昨日の人じゃない」
「きゅう?(増えてない?)」
「…………」
嫌な予感がした。
もう一度、インターホンが鳴る。
出ない。
しばらくすると、扉の向こうから声が聞こえてきた。
「突然の訪問、申し訳ございません」
「…………」
「昨日、我らの同胞が大変貴重な御姿を拝見したと伺いました」
「…………は?」
「どうか我々にも、一目だけお目通りをお許しいただけないでしょうか」
梓は勢いよく扉を開けた。
「帰ってください!」
「あ……」
二人が、ぱっと顔を輝かせる。
「あなたが……」
「昨日も言いましたけど、うちはあなたたちの宗教とは関わりたくありません!」
「存じております」
「だったら──」
「巫女様でいらっしゃいますね」
「…………」
梓の思考が止まった。
「……誰が?」
「あなた様が」
「なんで?」
二人は顔を見合わせる。
何を当たり前のことを聞いているのだろう、とでも言いたげだった。
「神のお傍にいらっしゃるのでしょう?」
「…………」
「あのお方のお声を聞き、御心を理解されている。ならば、あなた様は我々と神を繋ぐお方です」
「いや、違います」
「どうか我々の祈りを──」
「違います!」
梓は声を張った。
「私、巫女じゃありませんから!」
「ですが──」
「修也は神様じゃないし、私は巫女じゃない!」
何度言わせるのだろう。
「修也は私の恋人です! ただ一緒に暮らしてるだけです!」
「…………」
二人が、静かに顔を見合わせた。
そして。
「……やはり」
「ええ」
何かを確信したように頷き合う。
「何が『やはり』なんですか」
「我々も試されているのですね」
「…………帰って」
「巫女様──」
「帰ってください!!」
バタン!
扉を閉める。
すぐに鍵をかけた。
もう嫌だ。
なんで話が通じないんだ。
「きゅう……(梓)」
「……大丈夫」
梓は振り返る。
「昨日の人が、変なこと言ったみたい」
「きゅう……(変なこと?)」
「修也のこと、神様だって」
「きゅう(うん)」
「それで私、巫女なんだって」
「……きゅう?(……なんで?)」
「一緒にいるから、じゃない?」
「きゅうぅ?(そんな理由で?)」
「知らないよ」
梓は呆れたように笑った。
「私、巫女になった覚えなんてないんだけどなぁ」
「きゅう(だよな)」
「ね〜」
この時はまだ、笑えていた。
◆◆◆
けれど、それで終わらなかった。
次の日も来た。
その次の日も。
一人だったり、二人だったり。
多いときには、五人ほどが玄関の前に集まっていることもあった。
あまりにもうんざりしたから、インターホンを切った。
それでも来た。
今度は、扉の前に花が置かれるようになった。
その他にも、手紙、菓子、果物や見たこともない装飾品。
朝、玄関を開けるたびに何かが増えている。
「……いらないって言ってるのに」
捨てればいい。そう思うのに、捨てたところを見られて、また何か言われたら──そんなことまで考えるようになっていた。
「きゅう?(また来た?)」
「うん」
「きゅきゅ?(捨てちゃえば?)」
「……そうだね」
ピンポーン。
「…………」
まただ。
梓は動かなかった。
やがて、扉の向こうから声がする。
「巫女様」
「…………」
「本日も、神と巫女様に祝福がありますように」
梓は返事をしなかった。
しばらくして、足音が遠ざかっていく。
「…………はぁ。ほんと……なんなの」
深く息を吐く。
◆◆◆
数日後。
梓はいつも通り、仕事へ来ていた。
「梓ちゃん」
「ん?」
休憩中。
同僚が、どこか言いづらそうな顔で声をかけてきた。
「ちょっと聞いていい?」
「なに?」
「これ……梓ちゃん?」
「え?」
差し出されたスマートフォンを見る。
そこには、SNSの投稿が表示されていた。
『ついに我らが神は御姿を現された』
「…………」
その下には、長々と文章が続いている。
長年の祈りが届いたこと。
神はすでにこの地へ降臨していたこと。
そして、その傍らには神の言葉を理解し、神と人とを繋ぐ者がいること。
『神に選ばれし巫女』
「…………なに、これ」
「やっぱり、梓ちゃんのこと?」
「違う」
反射的に答えた。
「違うよ。私、こんなの知らない」
「でも、これ……」
同僚が画面をスクロールする。
そこには写真があった。
マンションの前。
仕事へ向かうため、建物から出てくる女性。
それは、自分だった。
「なに、これ……」
いつ撮られたのか分からない。
梓は画面を凝視する。
『巫女様』
『神と暮らし、その御声を聞く唯一のお方』
『我らを導く者』
知らない。
そんなものじゃない。
「……私、巫女じゃないよ」
「う、うん」
「宗教にも入ってない」
「うん、分かってるけど……」
同僚も困ったように画面を見る。
「なんか、結構話題になってるよ」
「…………」
「ほら。これとか、すごい拡散されてる」
知らない人たちが、私について話している。
迷惑がったり、面白がったり、政治に関連させたり、精神を疑われたり。
私のことなのに、全く知らない私の話。
「……なんで、こんなことに」
ぽつりと呟いた。
ただ、普通に暮らしてるだけなのに。
普通に恋人と一緒に過ごして、普通に仕事して、普通に生活して。
それだけなのに。
◆◆◆
仕事から帰ってきたときだった。
「ちょっと、あなた」
「……はい?」
マンションのエントランスで、近所に住む女性から呼び止められた。
顔は知っている。
何度かエレベーターで一緒になったことがある程度の相手だ。
「あれ、やめていただけないかしら」
「……あれ?」
「あなたのところに来てる人たちよ」
「…………」
すぐに分かった。
「廊下に集まったり、マンションの前で待ってたり。はっきり言って迷惑なのよ」
「……すみません。でも、私のせいじゃないです」
「はぁ?」
「私も迷惑してるんです。何度も来ないでって言ってるんですけど、全然聞いてくれなくて……」
「あのねぇ」
女性が呆れたようにため息をついた。
「迷惑かける側って、自覚してないのよね」
「…………え?」
「自分は悪くないって、みんなそう言うの」
「いや、本当に違うんです。私はあの人たちとは何の関係も──」
「しかも、巫女様ですって?」
「…………」
「いい歳して、そんなふうに呼ばせて。恥ずかしくないの?」
「…………っ」
違う。
呼ばせてなんかいない。
やめてと言った。
何度も。何度も。
私は巫女じゃない。
修也だって神様じゃない。
ただ一緒に暮らしているだけだと。
何度も、何度も言った。
「……違います」
「何が?」
「呼ばせてなんか……ないです」
「でも実際、呼ばれてるじゃない」
「それ、は……」
言葉が詰まる。
そのとき。
「あ……!」
マンションの外から、声がした。
「巫女様!」
「…………」
最悪だった。
女性の視線が、冷たく梓へ向けられる。
「ほら」
「…………」
「やっぱり、あなたじゃない」
「…………っ」
違う。
違うのに。
◆◆◆
【修也視点】
「……ただいま」
「きゅう(おかえり)」
まただ。
最近、梓はこんなふうに帰ってくるようになった。
前は、玄関を開けるなり「今日ね〜」と話し始めていた。
仕事のこと。
昼に食べたもの。
帰りに見かけた犬が可愛かったとか、スーパーでプリンが安かったとか。
別に、大した話じゃない。
よくある、ありふれた話。
でも最近は、それがない。
梓の明るい笑顔が、声が、少なくなってきた。
(……このままじゃ駄目だ)
俺はテーブルの上に置いてあったホワイトボードを引き寄せた。
少し考えてから、ペンを取って書き出す。
「きゅう(梓)」
梓がこちらを見る。
そして、ホワイトボードに書かれた文字にも、自然と目がいく。
『実家に帰るか?』
梓の目が、文字の上で止まった。
「……私が?」
文字を書き直す。
『そう、しばらく』
「修也は?」
「…………」
こんな姿で外を歩けるわけがない。
だから。
『俺はここにいる』
「……じゃあ嫌」
「きゅう……(梓)」
「嫌だよ。修也を一人にして、私だけ帰るなんて」
『でも、しんどいだろ』
「嫌」
梓は、もう一度言った。
「なんで私たちが、離れなきゃいけないの」
「…………」
「何も悪いことしてないのに」
その声が、少しだけ震えた。
「ただ一緒にいただけなのに……普通に暮らしてただけなのに……。なんで私たちが逃げなきゃいけないの」
その言葉に、何も書けなかった。
俺だって、離れたくない。
梓がいなくなるなんて嫌だ。
ずっと一緒にいたい。
でも、今の梓を見ているくらいなら。
俺と離れてでも、ここから逃げてほしかった。
「…………」
梓は鞄を置くと、ソファへ座った。
「……疲れた」
「きゅう……?(大丈夫?)」
「うん。大丈夫」
また、それだ。
大丈夫。
最近、梓はよくそう言うが、大丈夫な顔には見えなかった。
◆◆◆
次の日。
夕方になり、時計を確認する。
梓が帰ってくるまで、あと一時間くらい。
「きゅう(よし)」
俺は冷蔵庫を開けた。
卵。ネギ。昨日の残りの冷や飯。
俺はこれから、チャーハンを作る。
最近、梓は帰ってくるとすぐにソファへ座り込んでしまう。
仕事だけでも疲れるだろうに、会社でも宗教のことを聞かれたり、帰ってくればマンションの住人から文句を言われたり。
せめて、家にいるときくらいはゆっくりしてほしい。
チャーハンは人だったときも作ってたんだ。
それくらいなら、俺にもできる。
「きゅっ(よいしょ)」
触手を伸ばし、フライパンをコンロへ置く。
別の一本で冷蔵庫から卵を取り出し、さらにもう一本でネギを引っ張り出した。
「…………」
ふと、動きを止める。
便利だな、俺。
人間だった頃より明らかに手数が多い。
「きゅう(いや、手じゃないけど)」
自分で突っ込みながら、料理を始める。
卵を割る。
ネギを刻む。
フライパンを温める。
同時にできる。
「きゅおお〜(めっちゃ便利じゃん)」
油を引き、卵を投入する。
すぐに飯も入れて、お玉でほぐしながらフライパンを振った。
じゅう、と小気味いい音がする。
一本でフライパン。
一本でお玉。
一本で塩胡椒。
さらにもう一本で醤油を準備する。
「きゅっ!(完璧!)」
ぶん、とフライパンを振る。
米が宙を舞った。
「きゅおっ」
綺麗に戻ってくる。
「…………」
ちょっと楽しい。
もう一度。
「きゅっ」
ぶん。
「きゅっきゅっ」
ぶん。ぶん。
一本の触手でフライパンを振りながら、別の触手でお玉を操る。
さらに別の一本で調味料を構えれば、なんだか妙に気分が乗ってきた。
「きゅっ!きゅっ!きゅううう!!(俺は!炎の!鉄人だ〜!!!)」
ぶんっ!
今日一番高く、米が舞った。
「きゅっきゅう!(どうだ!)」
見せる相手もいないのに、ちょっと得意になる。
そのとき、玄関から鍵の開く音がした。
「……ただいま」
「きゅっ!(おかえり!)」
「……ん?」
梓がリビングへ入ってくる。
「なんか、いい匂いする」
「きゅう!(今日は俺が作った!)」
「え?」
梓がキッチンを覗き込む。
フライパンの中を見て、その目が少しだけ大きくなった。
「あ!修也お手製のチャーハンだ!」
「きゅう?(覚えてた?)」
「覚えてるよ〜。修也、よく作ってくれたじゃん」
「きゅきゅ〜ん(得意料理だからな)」
「久しぶりだねぇ」
梓が嬉しそうに笑った。
そんな顔、久しぶりに見た気がした。
「きゅーう。きゅーう(ほら、座ってて。もうできるから)」
「手伝おっか?」
「きゅきゅう!(今日は俺に任せろ!)」
「ふふ。じゃあ、お言葉に甘えよっかな〜」
梓が鞄を置き、椅子へ座る。
それを横目にできたチャーハンを皿に盛り付ける。
それに食器と麦茶を用意する。
「きゅっ!(お待たせ!)」
「やった!いただきまーす」
梓が一口食べる。
「ん〜!」
「きゅう?きゅう?(どう?どう?)」
「これこれ。修也のチャーハン」
「きゅっきゅ(最高だろ?)」
「美味しい」
「きゅう!(よっしゃ!)」
梓がずっと笑ってる。
(なんだ)
こんな料理ひとつで、笑ってくれるなら。
もっと早く作ればよかった。
別に、何か特別なことをする必要なんてなかったんだ。
こうやって飯を食って。
テレビを見て。
くだらない話をして。
それだけでいい。
俺たちは、ただ普通に暮らしたいだけなのだから。
「巫女様」
「…………」
玄関の向こうから、声がした。
梓の笑顔が消えた。
「本日も、神と巫女様に祝福がありますように」
「…………」
さっきまで美味しそうにチャーハンを食べていた梓が、俯いている。
その手は、止まっていた。
「……ごめん、冷めちゃうね」
「きゅう……(梓……)」
「食べよっか」
何事もなかったように、梓はまたスプーンを動かし始める。
でも、もう笑わなかった。
(なんだ)
笑顔にするのも、簡単だったけど。
笑顔じゃなくするのも、こんなに簡単なんだ。
「……っ」
触手の先に、ぎゅっと力が入る。
頼むから。
もう、放っておいてくれよ。
◆◆◆
それからも、あいつらは来た。
毎日ではない。
二日来ないこともあれば、三日続けて来ることもあった。
それでも、あいつらは必ず現れた。
「巫女様。本日は──」
「我々の祈りを、どうか神へ──」
「本日も、神と巫女様に祝福がありますように」
梓は、もう返事をしなくなった。
最初の頃は怒っていた。
もう来ないでくれ。迷惑だ。修也は神様じゃない。私は巫女じゃない。
何度も言った。何度も説明した。
それでも、あいつらは聞かなかった。
否定すれば、試練だと言われる。
怒れば、信仰を試しているのだと言われる。
無視をすれば、その沈黙にすら勝手な意味をつけられた。
何をしても無駄だった。
「……ただいま」
「きゅう(おかえり)」
梓が帰ってきても、以前のように今日あったことを話すことはほとんどなくなった。
代わりに増えたのは、ため息と「疲れた」と「大丈夫」。
そして、玄関の前に置かれるものも増える。
『我らが神と、愛しき巫女様へ』
そんなメッセージと共に。
「…………」
「きゅう……(捨てよう)」
「……うん」
梓はそれらをゴミ箱へ押し込むと、何度も手を洗った。
「きゅう……(梓?)」
「……なんか、嫌」
水を流したまま、梓が呟く。
「家にいても、あの人たちのこと考えちゃう」
「…………」
「ここにいれば大丈夫だったのにね」
その言葉に、何も返せなかった。
あいつらが来るようになるまでは、ここにいればよかった。
外で何があっても、扉を閉めてしまえば梓と二人きりだった。
でも、今は違う。
扉を閉めても、あいつらの声がする。
玄関を開ければ、置いていったものがある。
家の中に入ってきているわけじゃない。
扉は閉まっているし、鍵だってかかっている。
それなのに、少しずつ俺たちの家にまで入り込んできている。
ここはもう、梓にとって安心できる場所ではなくなり始めていた。
◆◆◆
その夜。
「……修也」
「きゅう?(ん?)」
「私、本当に何もしてないよね」
「きゅう!(当たり前だろ!)」
「……そっか」
梓は小さく息を吐いた。
「よかったぁ」
そんなこと、梓が一番分かっていたはずなのに。
どうして本人が、それを俺に確認しなきゃいけないんだ。
俺は神様なんかじゃない。
梓だって、巫女なんかじゃない。
神も、巫女も、祝福も、祈りも。
そんなもの、ひとつもいらない。
ただ普通に暮らしていたかった。
それだけだったのに。
◆◆◆
それから、梓は時々、何もないときにも玄関を見るようになった。
「……今、インターホン鳴った?」
「きゅう?(鳴ってたか?)」
鳴ってはいない。
俺はホワイトボードを引き寄せる。
『鳴ってないよ』
「そっか。ごめん、聞こえた気がして」
最初は、その程度だった。
けれど、それは少しずつ増えていった。
「……誰か来た?」
『いないよ』
「今、廊下に誰かいなかった?」
『お隣さんが通った』
「……そっか」
何も鳴っていないのに玄関を見る。
廊下を誰かが通るだけで、身体を強張らせる。
そのたびに俺が外を確認して、ホワイトボードに書く。
『誰もいないよ』
それを見ると、梓はほっと息を吐いた。
そして、ある夜。
「……修也」
「きゅう?(ん?)」
隣にいた梓が、テレビを消した。
「今、聞こえた?」
「きゅう?(何が?)」
「…………」
梓は玄関の方を見つめている。
「……今、『巫女様』って聞こえた」
「…………」
玄関を確認する。
誰もいない。
『いないよ』
「……ほんと?」
頷く。
「…………」
梓はじっと、ホワイトボードを見る。
「そっか」
「…………」
「よかった」
梓は安心したように息を吐いた。
「ごめんね。最近、変だね」
「きゅう(謝らなくていいよ)」
「……うん」
それからも、同じことは続いた。
誰もいないはずの廊下から声がする。
マンションの外から、誰かに見られている気がする。
夜中に、玄関の前で祈る声が聞こえる。
そのたびに俺が確認した。
けれど、本当に誰もいないのか。
俺にも分からなくなってきた。
あいつらは実際にここへ来る。
マンションの前で待っていたこともある。
梓を勝手に撮影して、ネットに載せたことだってある。
だから、梓にしか見えていないのか。
本当にそこにいるのか。
俺には、もう判断できなかった。
「私、巫女じゃないよね?」
「…………」
何度目だろう。
俺は同じ言葉を書く。
『巫女じゃない』
「修也も、神様じゃないよね?」
『違う』
「……そっか」
梓はその文字をじっと見つめる。
「……ねえ、修也」
「きゅう?」
「私がおかしいのかな」
「きゅう!(違う!)」
梓が不安そうに俺を見る。
「前は……本当に来てたよね?」
「…………」
ホワイトボードに書く。
『来てたよ』
「私、巫女じゃないよね?」
『巫女じゃない』
「修也も、神様じゃないよね?」
『違う』
梓はその文字をじっと見つめる。
「……そっか」
ほっとしたように笑った。
「よかった」
「…………」
最近、梓は何度も俺に確認する。
自分が見たものを。
聞いたものを。
自分が何者なのかさえ。
そして俺が否定するたび、安心したように言う。
よかった、と。
「…………」
何も、よくない。
◆◆◆
その日も、梓は玄関を見ていた。
「…………」
「きゅう?(梓?)」
「……いる」
「きゅう?(また?)」
「玄関の前」
俺は確認しに行った。
覗き穴から外を見る。
誰もいない。
念のため、しばらく待つ。
人の気配も、祈る声もしなかった。
リビングへ戻り、いつものようにホワイトボードを手に取る。
『誰もいないよ』
「…………」
梓の前に置いた。
「…………」
返事がない。
「きゅう?(梓?)」
「…………」
聞こえていないのだろうか。
ホワイトボードを持ち上げ、もう一度見せる。
『誰もいないよ』
「…………」
梓は、見なかった。
「きゅう……?(どうした……?)」
顔を覗き込む。
目は開いている。
起きている。
けれど、ぼんやりと前を見つめたまま動かない。
「きゅう(梓)」
触手で肩に触れる。
「…………」
「きゅう?(梓?)」
少し揺らしてみる。
「…………」
反応がない。
何だ。どうしたんだ。
「きゅうっ(梓っ!)」
さっきまで話してただろ。
玄関の前に誰かいるって。
俺に確認してくれって。
だから見てきた。
誰もいなかった。
ほら。
『誰もいないよ』
もう一度、見せる。
「…………」
梓の目の前で、ホワイトボードを振った。
「きゅう(ほら)」
見てくれ。
「きゅうっ!(梓!)」
これを見たら、いつも安心してただろ。
俺がいないって書いたら。
そっか、って。
よかった、って。
笑ってただろ。
「…………」
それなのに。
梓は、何も言わなかった。
◆
どれくらい、そうしていたのか分からない。
テレビだけが、さっきからずっと喋っている。
俺は梓の前にいた。
「きゅう……(なあ……)」
頬に触れる。
温かい。
息もしている。
目も開いている。
なのに、俺を見てくれない。
「きゅう……(梓……)」
ホワイトボードの文字を消した。
何を書けばいい。
何を書けばまたこっちを見てくれるか。
少し迷って。
『大丈夫?』
見せる。
「…………」
『疲れた?』
「…………」
『寝る?』
「…………」
違う。
全部、違う。
文字を消す。
『俺のこと分かる?』
「…………」
「きゅう……」
やめろよ。
怖いだろ。
また消す。
『梓』
「…………」
名前だけ書いた。
見せる。
「…………」
返事はない。
「きゅう……(梓)」
俺は、ホワイトボードをゆるゆると下ろした。
何をすればいいのか、分からなかった。
抱きしめればいいのか。
そっとしておけばいいのか。
誰かを呼べばいいのか。
病院?
救急車?
でも。
俺は、自分の身体を見る。
この姿で?
俺がいるのに?
誰かを、この部屋へ呼ぶのか?
「…………っ」
何もできない。
まただ。
俺は、何もできない。
そのとき。
玄関の向こうから、声がした。
「本日も、神と巫女様に祝福がありますように」
「…………」
梓は動かなかった。
今までなら。
身体を強張らせた。
俯いた。
耳を塞いだ。
嫌そうな顔をした。
それすら、なかった。
「…………」
俺は玄関を見た。
それから、梓を見る。
「…………」
また、玄関を見る。
何かが。
自分の中で、ゆっくりと変わった。
(……お前らか)
梓がこうなったのは。
(お前らが)
何度嫌だと言っても。
何度帰れと言っても。
何度、違うと言っても。
神だ。
巫女だ。
祝福だ。
祈りだ。
勝手なことばかり言って。
俺たちの家まで来て。
俺たちの日常に入り込んで。
とうとう。
「…………」
梓まで。
「……ぎゅう」
身体の奥から、低い音が漏れた。
玄関の向こうでは、まだ祈りが続いている。
「我らが神よ──」
違う。
俺は神じゃない。
ずっと、そう言ってきた。
何度も。
何度も。
それでも、お前らが。
俺を神にしたいと言うのなら。
「…………」
何本もの触手が、ゆっくりと持ち上がった。
(……分かったよ)
俺は玄関へ向かった。
「…………」
扉の向こうから、まだ声が聞こえる。
「我らが神よ。どうか我らに──」
ガチャリと鍵を開ける。
扉を開いた。
「…………え?」
そこにいたのは、三人。
いつものように祈りを捧げていた信者たちが、一斉にこちらを見る。
「…………」
目が合った。
一人が息を呑む。
もう一人は、目を見開いたまま動かない。
残った一人の口元が、ゆっくりと震え始めた。
「……あ……あぁ」
「…………」
俺は隠れなかった。
いつもなら、誰かが来ればリビングの奥へ隠れた。
玄関には近づかなかった。
声を出さないように気をつけた。
俺がこんな姿になったせいで、梓までおかしな目で見られたくなかったから。
でも。もう、いい。
「……かみ、さま……」
そうだよ。
お前らが、そう呼んだんだろ。
俺は触手を伸ばし、玄関の扉を大きく開いた。
隠すものなんて、何もない。
「きゅう(ほら)」
見ろよ。
会いたかったんだろ?
毎日毎日、俺たちの家まで来て。
祈って。
供物を置いて。
梓を巫女なんて呼んで。
そこまでして会いたかった神様が、目の前にいるぞ。
「きゅう(存分に見ろよ)」
「……あ……ぁ……」
一人が、その場に崩れ落ちた。
一人は笑い出した。
一人は、涙を流しながら祈り続けている。
それでも俺は、扉を閉めなかった。
会いたかったんだろ?
見たかったんだろ?
ずっと、願ってたんだろ?
だったら。
好きなだけ見ればいい。
「きゅう(おめでとう)」
お前たちが望んだ神様からの、祝福だ。
エンド2:祝福




