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柊瑞希は青春コンプレックス  作者: 黒姫 百合


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えぇ、凄く可愛いわ

「ならどうして瑞希ちゃんを避けていたの」

「……別にあなたに関係ないじゃない」


 中学の頃友達が少なかったのか、人のパーソナルスペースを無視して理由を聞き出そうとする舞。

 瑞希も中学の頃友達がいなかったので人のことは言えないが、少し距離を詰めすぎではないだろうか。


 撫子が少し俯きながらなにか言ったような気がするが声が小さすぎて聞き取ることができなかった。


「少し生理でイライラしていただけよ。ごめんなさい柊さん。勝手な理由で避けてしまって」

「いや別に……私は男の娘だから生理のことはよく分からないから少しビックリしたよ。今日になっていきなり避けられるんだから」


 なんか少し嘘っぽい言い方だったが、男の娘の瑞希には生理が来ないため、生理のせいで避けていたと言われればそれを信じるしかない。

 昨日まで普通に話していたのに、いきなり避けられると驚くし困惑する。


「金森さんも心配かけてごめんなさい」


 撫子は心配させた舞にも謝罪する。


「ううん。あたしも女の子だから生理が大変なことは分かるもん。でもいつも冷静な撫子ちゃんも生理だとイライラしちゃうんだね。ちょっと意外」


 女の子同士だから生理の大変さが分かるのだろう。

 生理が来ない瑞希には生理の大変さは分からないからなんとも言えないが。


「柊さんもごめんなさい。別に避けるつもりはなかったのに、生理でイライラしていて」

「別に大丈夫だ。これで理由も分かったし気にしてないから」


 撫子は瑞希にも謝罪する。


 別に瑞希は怒っているわけではなく、ただいきなり避けられて困惑していただけである。


 理由が分かれば瑞希はそれで良かった。


「生理で避けていたなんて自分でも子供っぽいわ。もう大丈夫よ。次は避けないから」


 撫子も反省していることだし、この話題はこれで解決で良いだろう。

 今思うと、あんなに休み時間五人で話し合って、あれでもないこれでもないと言い合っていたのに蓋を開ければすぐに解決した。


 言っては悪いが拍子抜けだった。


 もっと複雑な理由で避けていると思っていた瑞希の心配は杞憂で終わった。


「これで依頼完了。あー良かった良かった、別に瑞希ちゃんが嫌われているわけじゃなくて」


 悩みが解決してホッとしているのか、舞は喜んでいた。


「本当にごめんなさい。もう大丈夫よ。もう依頼も解決したことだし帰りましょう」


 依頼が解決したら瑞希たちが教室に残っている理由はない。

 撫子は席を立ち、二人に帰ることを促してくる。


「……そうだな」


 あまりにも拍子抜けだったので、若干腑に落ちないところはあったのだがもう帰る流れなので、この問題は解決ということで良いのだろう。


「もしまたなにか生理とかイライラしたらあたしに言ってね。フォローするから」

「ありがとう金森さん。金森さんも生理とかでイライラしたら力になるわ」

「ありがとう撫子ちゃん。もしあたしも悩みがあったら撫子ちゃんに相談するー」

「私はもう大丈夫だから柊さんも帰りましょう。私のせいでこんな時間を浪費させてしまってごめんなさい」

「別に良いんだ。白鳥が避けている理由も分かったんだから。私は生理のことは分からないがもしイライラするなら避けないで相談してほしい。男の娘の私に生理の大変さは理解できないと思うがいろいろとフォローできることはあると思うから」

「ありがとう柊さん。柊さんっていつも優しいわね」

「……別にいつも優しいわけじゃない」

「あれ、瑞希ちゃんが照れてるー。可愛いー」

「本当ね。照れてる柊さんは可愛いわ」

「おいお前ら。悩みが解決したとたんにこれかよ。別に可愛くないから」

「ううん、可愛いよね撫子ちゃん」

「えぇ、凄く可愛いわ」

「……もうー凄くむず痒いんだけど」


 放課後の廊下を横に並んで歩く三人。


 とりあえずこれで一件落着で良いのだろう。


 今朝のような気まずさはなく、瑞希もスッキリしていた。


 今まで思ったことなかったが、いつも話している人に避けられるのは最初から一人でいるよりも辛い。


 瑞希も自覚していないうちに、この二人といることが心地よくなっているのであった。

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