こういうのなんだか友達っぽい
以上が昨日の回想である。
ちなみに服装は動きやすくて汚れてもいい格好なので、学校指定のジャージを着ている。
さすがに汚れる可能性があるところで私服を着ていくのは躊躇われる。
学校指定のジャージは男女兼用で、深緑色である。
はっきり言ってダサい。
「……こんなに太陽が憎いと思ったのは今日が初めてね」
まるで親の仇を見るかのように撫子は太陽を睨みつける。
このボランティア、なんと雨天中止だったのだ。
つまり、雨が降ったらこのボランティアはやらなくて済んだのだ。
撫子が太陽を恨みたくなる気持ちも分かる。
「……黒川先生は来てるみたいだな」
部活の顧問として尚美も参加していることだけが唯一の救いだった。
これでボランティアに来なかったら殺すところだった。
ちなみに姉の亜美にボランティアのことを伝えたらとても行きたがっていた。
『瑞希ちゃんと尚美ちゃんが休日ボランティア。そんな破廉恥な……ゴホン。私も久しぶりに尚美ちゃんに会いたかったわ』
だけどこの日、亜美は仕事なのでしょうがない。亜美は諦めて仕事に行った。
「瑞希ちゃん、撫子ちゃん。たくさんゴミ拾おうね」
舞だけは朝からテンションが高かった。
「それではグループごとにゴミ拾いを始めてください」
そしてゴミ拾いという名のボランティアが始まった。
瑞希たちのところにも係員の人が来てグループについて説明してもらった。
「君たちは高校生だから、同じ高校生同士の方でグループを決めてきました」
親切心で言っているのか、係員はとびっきりのスマイルを浮かべている。
別にたかが数時間程度一緒にいる相手なので、別になれ合うつもりはない。
だから同い年の高校生だろうが、年の離れた人だろうが別にどうだって良かった。
「げっ、あんたと一緒なの柊」
「げっはこっちだ一色。休日も一緒なんてマジで最悪なんだけど」
係員は狙っていたのか分からないがよりにもよって椿と同じグループである。
もちろん、帆波、早織付きだ。
椿も瑞希と一緒は嫌だったのか、嫌悪感を隠そうとしない。
「すみません、グループ変えたんですけど」
「ごめんなさい。もう決まっているのでそのグループで我慢してください」
瑞希がシャッフルを希望すると、面倒だったのか係員は愛想笑いを浮かべながら別のグループに行ってしまった。
「どうして帆波ちゃんたちがボランティアに参加してるの?」
「僕たちは野球部の活動の一環で参加してるんだよ」
「まっ、野球部にとっては強制参加だけどね~。毎年参加してるし」
舞はなぜ野球部の帆波たちがいるのか気になったのだろう。
初めて知ったが野球部はボランティア強制参加らしい。
それが伝統らしい。
運動部なのにご苦労様である。
強制参加ということもあり、早織はやる気ゼロだった。
「ボランティアより練習の方が良いのに」
椿もボランティアに納得していないのか、ブツブツ文句を言っている。
「まぁーまぁー椿。ゴミ拾いも体力使うし、それに足腰も鍛えられるでしょ。頑張ろ」
不平不満を言っている椿を帆波が宥める。
「それで舞たちはどうしてボランティアなんか参加してるわけ~。特に柊と白鳥はこういうの好きそうじゃないでしょ」
早織も早織でどうして、瑞希たちが町のボランティアに参加しているのか気になるらしい。
早織の言う通り、舞を除いて瑞希と撫子はこんな行事に進んで出るタイプではない。
「それはあたしたちがサポート部だからだよ。河川敷を綺麗にしてここを通う白桜生が気持ち良く通えるようにするのがあたしたちの部活。依頼人は生徒会だしね~」
舞は懇切丁寧に自分たちがボランティアに参加している理由を説明する。
「確かに柊や白鳥が自分から参加しそうな行事じゃないもんね」
帆波も舞の説明を聞いて納得している。
納得しているのは別に良いのだが、ディスられていると思うのは瑞希だけだろうか。
「そうよね。柊がボランティアに自主的にやるわけないよね」
「一色も、部活の強制参加じゃなかったら参加するわけないよね」
椿に煽られた瑞希は、椿に言い返す。
本当に余計な一言が多い男の娘である。
「ではグループごとに火ばさみと軍手とゴミ袋を取りに来てくださーい」
係員がグループごとに道具を撮りに来るよう参加者に話しかける。
「そんなの二人いれば十分でしょ。ジャンケンで負けた二人が取りに行くのでオッケー?」
「望むところだ。一色には負けない」
「なにを言ってるのかしら?負けるのは柊よ」
「はいはい。言い争ってると時間もなくなるからさっさとジャンケンするよ」
二人がまた喧嘩になりそうな雰囲気を察したのか、帆波が二人の仲介に入る。
「罰ゲーム付きのジャンケン。なんか燃える」
「こういうのなんだか友達っぽい」
罰ゲーム付きのジャンケンに燃える早織に、なぜか目を輝かせている舞。
「……面倒だけど、やらないといけないのよね」
一人、めんどくさそうな撫子だったが、みんなジャンケンする気満々だったのでその空気を壊すわけにもいかず、無理矢理乗った。
「「「最初はグー。ジャンケンポン」」」
仲が良いのか悪いの、ジャンケンは一発で決まった。




