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柊瑞希は青春コンプレックス  作者: 黒姫 百合


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うわ~、椿ってドSじゃん

「僕は椿の味方だけどそんな言い方ないんじゃないの。別に誰と仲良くなっても良いじゃん」


 椿に責められている舞のことを思い、椿の幼馴染の帆波は舞を擁護する。

 帆波が瑞希たちに相談して来た時、帆波は椿を『親友』と言っていた。


 親友の帆波だからこそ、今の椿の暴挙を止めるべく噛みつくのだろう。


「なにも知らない帆波は分からないと思うけど、これは優しさよ。あたしと舞では棲んでいる世界が違うのよ」


 なにも理解していない帆波を哀れむような感じで言う椿。


「棲んでいる世界が違うって、僕たちは同じ時、同じ場所に生きてるじゃん」

「そうだよ。あたしは瑞希ちゃんたちとも仲良くいたいし、椿ちゃんたちとも仲良くいたいの。どうして椿ちゃんたちはそれが分からないの」


 椿の言っていることが理解できていない帆波は正論に見えて的外れなことを言っている。


 舞の言っていることも理解できないわけではないが、それはただの理想論だ。

 みんな仲良くできるならこの世界から争いごとはとっくに消滅しているだろう。


「……やっと分かったんだが、一色で不器用で馬鹿だよな」

「……柊さんも一色さんの言っていることが分かったのね。確かに今回は一色さんの方が正しいわ。でも金森さんたちも間違っていない」

「……そこなんだよな。別に三人とも間違ってることは言ってないんだよなー。だからこそこの喧嘩は複雑なんだよなー」


 最初椿と喧嘩した時は分からなかったが、ようやく椿の真意が分かった。

 結論から言うと、椿は優しくて不器用で寂しがりで馬鹿だということだ。


 撫子も椿の真意が分かったらしく、頭を悩ませている。


「……椿って結構、不器用で寂しがりじゃん」


 早織もこの喧嘩の問題点に気づいたらしく、一人唸ってる。


「そんなことできるわけないでしょ。人間社会はグループによってできてるの。そのグループにも自分に合う、合わないがあるわ。そして人間は自分に合うグループに所属して生活するの。あたしは柊とは合わないし、柊だってあたしとは合わないでしょ」

「一色の言う通り、私と一色は水と油だ」

「もし、舞はあたしと柊が同じ日、同じ時間に遊びに行こうって誘われた時、どっちを優先させるのっ」

「……っ」


 椿の言う通り、人間という生き物は基本群れる生き物だ。

 群れるからこそ、学校では自分と合う人同士でグループを作ろうとする。その方が楽だし楽しいからだ。


 そうすることによって、自分は一人ではないという孤独を感じなくて済むし、話題も合う人同士だと駄弁っているだけでも楽しみや幸福を感じることができる。


 だからこそ多くの人間はどこかのグループに所属しながら学校生活を送る。


 そしてクラスの中で複数のグループができる。


 そのグループには陽キャなグループもいるし、陰キャなグループもいる。


 そして基本、その陽キャグループと陰キャグループは合わないことが多い。


 そもそもの性格が違うこともそうだし、価値観が違うのだ。


 人は同じ価値観の人の方が親近感がわきやすい。


 だからこそ、陽キャのグループには陽キャみたいな人が増えていくし、陰キャのグループには陰キャみたいな人が増えていく。


 それは自然の節理で、価値観が似ている方が落ち着くし、委縮しなくてすむからだ。


 それが瑞希と椿にも言える。


 瑞希は一人でも苦にはならない陰キャで、椿はみんなと一緒にワイワイした陽キャである。


 そんな二人が合うわけがない。

 二人はそれを公言できるぐらいメンタルが強いのだが、普通はここまで言うことはない。


 ある意味、二人は似た者同士と言えなくもないが、二人は気づいていない。


 舞はみんなと仲良くしたいと言っているが、それは無理な話だ。


 瑞希と椿は違うグループである。


 どちらかを立てれば、どっちがが疎かになる。


 だから椿のあの質問はとても的を射ていた。


 もし瑞希と椿が同じ日、同じ時に遊びの誘いをしたらどっちの方に行くのか。

 舞はその質問にすぐに答えられずに息を呑んだ。


 それはそうだろう。


 なぜなら、どちらかを決めればそこに優先順位があることの証明となるからだ。

 お互い『嫌いだ』と公言している手前、誘いを断られた方が良い気分はしないだろう。


 だから、瑞希と椿、どちらとも仲良くなることはできないのだ。


 まっ、そもそも一人でいる方が好きな瑞希が休日友達を遊びに誘うことはないのだけれども。


 それに、舞が瑞希の誘いを断って椿のところに行っても別になんとも思わないのだが。


「……そもそも柊さんって休日に誰かを誘って遊びに行くことってあるの?」

「……ない。だから、そもそもこの仮定は成り立たない」

「……だろうと思ったわ」


 やっぱりと言わんばかりに撫子はため息を吐き出す。


「それで舞はどうするのっ」


 まるで犯罪者を追い詰める刑事のように、威圧的に問い詰める椿。


「その質問は酷すぎない?椿」

「これは舞に質問してるの。帆波は口を挟まないでくれる」


 帆波が舞を庇おうとするものの、椿は帆波の言葉を遮る。


「うわ~、椿ってドSじゃん」


 椿の後方にいる早織が若干引いている。

 あの早織が引くほどに椿は残酷で不器用だ。


「そんなに決められるわけないじゃん。あたしの中では瑞希ちゃんも椿ちゃんも大事で。教室で一番初めて話しかけたのが椿ちゃんだったし、瑞希ちゃんには恩があるし」


 今にも泣き出しそうな舞の表情。


 本当に舞は椿も瑞希も好きなんだなと分かる。

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