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柊瑞希は青春コンプレックス  作者: 黒姫 百合


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13/63

女の子同士でもあまりしないわよ

「あっ……ごめん。少し言い過ぎたかな」


 ポカーンとして反応しない二人の反応が怖かったのか舞は恐る恐る二人に話しかける。


「別に大丈夫。むしろその通りだなと思って感心してた」

「確かに金森さんの言う通りだわ。よくよく考えてみればこんなポスターでは誰の印象にも残らないし誰にも読まれないわね。一つ勉強になったわ」


 撫子も瑞希同様図星を突かれて、ポカーンとして反応を忘れていたらしい。

 舞が指摘してくれたおかげで、撫子だけではなく瑞希も勉強になった。


 今まで瑞希はポスターを作ったことがなかった。


 それは撫子も同じようだった。


 それに中学や高校でも部活勧誘ポスターを見てきたが、自分には関係ないものだと思い真剣には見ていなかった。


 今回だってそうだ。


 自分たちのことしか頭になかった二人は、他のポスターの良いところを真似るという基本中の基本を押さえていなかった。


 この時、改めて瑞希は視野が狭くなっていたことに気づく。


「ありがとう金森。一つ勉強になったよ」

「柊さんの言う通りね。金森さんが私たちの部活に入ってくれて良かったわ」


 大事なことを教えてくれた舞に対して瑞希と撫子は感謝の気持ちを伝える。


 お金も大事だが知識だって人生の資産である。


 そんな大事なものをくれた舞には感謝の念しかない。


「そ、そんなことないよ~。あたしだって分からないことだってたくさんあるし~」


 二人に褒められた舞は照れながら謙遜する。

 やっぱり落ち込んでいる表情よりも笑っている方が人間、美しく感じる。


「それじゃー瑞希ちゃん、撫子ちゃん。改めてよろしくね」

「よろ……っていきなり抱き着くなよ」

「それは柊さんに同感ね。いきなり抱き着かれてビックリしたわ」


 『よろしく』のあいさつ代わりに二人同時に抱きしめる舞。


 この行動にはいつも冷静な二人も、驚きや動揺を隠せなかった。


 それに瑞希は男の娘だ。


 女の子とは違う。


 舞が二人同時に抱きしめているせいで、近くから舞と撫子のフローラルな匂いが漂ってくる。

 女の子特有の良い匂いのせいで二人が『女の子』ということを意識してしまい鼓動が速くなる。


 それになんと言っても女の子は男の娘と違い体が柔らかく、余計に女の子を感じてしまう。


 制服越しでも女の子の柔らかさが伝わってくるのだ。

 生肌だったら、その破壊力は計測不能まで達するだろう。


「こういうのは女の子同士でやるものだろ」

「なにを言っているのかしら柊さん。女の子同士でもあまりしないわよ」

「別に同じ部員同士になったんだからそんなの気にしない気にしない」


 別に抱きしめられて苦しくはないのだが、むしろ天国のようだったが、やはり瑞希だって思春期だ。


 廊下の真ん中で女の子に抱き着かれるのは恥ずかしい。


 でも幸いなことにここは人通りも少ないおかげか誰も廊下にはいなかった。


 舞は気にしない気にしないと言っているが、瑞希の方が気にする。


 舞には羞恥心というものがないのだろうか。


 結局、舞のハグから解放されるまで二分もかかった。


 しばらくの間瑞希の制服から、女の子の香りが漂っていた。

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