サポート部
とりあえず三人集まったので昼休みに、瑞希たちは入部届を出すために職員室に向った。
「黒川先生。とりあえず三人集まりました」
「おっ、柊に白鳥に……金森か……これはまた珍しい子を連れてきたな柊」
職員室で一人カップ麺を食べていた尚美に瑞希は部活創設の申請書とその部活に入部する部員の証明書を提出した。
昼からカップ麺って栄養バランスとか気にしていないのだろうか、この幼馴染は。
一人暮らしだからこそ、栄養バランスが良い食事は大切だと思うのだが。
「すみません、食事中に」
撫子が昼食を食べている途中だった尚美に謝罪する。
と言っても頭を深々下げる謝罪ではなく、軽い謝罪だった。
「先生もカップ麺とか食べるんですね。大人ってもっと栄養バランスとか気にしてると思いましたー」
舞は大人の先生も栄養バランスが悪いカップ麺を食べていることに驚いている。
「金森は私をなんだと思ってるんだ。私だってカップ麺は食べる」
大人のくせに栄養バランスが悪いカップ麺を食べていると言われたと受け取った尚美が子供のように拗ねる。
「あまり栄養バランスが悪い食事は控えてくださいね。後々体に響きますよ」
「わ、分かってるよ」
これは生徒としてではなく幼馴染としての忠告である。
尚美も生徒たちに責められて無視が悪いの、歯切れが悪い。
「とりあえずどんな部にしたんだ」
「あっ、そう言えば瑞希ちゃんと撫子ちゃんってどんな部を作ったの?」
「ん?言わなかったか」
「えっ、言ってないよ」
「金森。お前、どんな部なのかも分からないのに、入部したのか」
「えへへ……すっかり失念してました」
撫子と二人で自分たちで部活を作っている話をした時に説明したと思っていたがどうやら忘れていたらしい。
というか、どんな部活かも分かっていない状態で普通入部するだろうか。
尚美でなくても声を荒げ呆れるだろう。
舞は愛想笑いを浮かべているが、そこはもっとしっかりしてほしい。
「なになにサポート部……よりよい学校生活を送るために私たちがみなさんのサポートをします……柊、お前とは真逆な部活だな」
「笑うな……笑わないでください。怒りますよ」
「すまんすまん。それは悪かった」
部活動の名前と活動内容を読み上げた尚美はクスクス笑いを漏らしている。
瑞希もこれにはカチンと来て、思わずここが学校ということを忘れてタメで怒ってしまった。
反省、反省。
「別にこの学校をよりよくしてほしいと思って私たちのようなわけの分からない部活にそれを頼む生徒はいないでしょう。これなら活動内容も立派だし私たちも楽ができる。どうですか黒川先生」
「まっ、白鳥の言う通り活動内容は立派だな。これで受理しておくよ」
撫子の言う通り、この活動内容は模範的な良い活動内容だろう。
でも尚美はそういうのは多分気にしていないと思うから、もう少しふざけていても受理はしてくれていただろう。
それは昔から尚美のことを知っている瑞希だからこそ容易に想像がつく。
「ちょっと待って。せっかく部活を作るんだからもっとパァーっとした部活じゃないの?」
ここで約一名。納得していない人がいた。
言わずもがな、金森舞である。
「別にこれは部活に入部したくない私たちが作った部活だもの。その……パァーっとした部活である必要はないわ」
撫子はこれ以上ないぐらいの正論を舞に叩きつける。
「えぇーだってあたしたち高校生だよ。まさに青春だよ。もっと楽しいことしなきゃ損だよ」
やはりというか、見た目から陽キャな舞はとても不服そうな顔をしていた。
また嫌な言葉が耳に入る。
どうして、大多数の人間は高校生ということだけで『青春』を謳歌しなければ損だと言うのだろう。
そもそも大多数が思う『青春像』というものがおかしい。
多分、大多数の人間が思う青春とは、たくさんの友達に囲まれ、放課後になったら部活に打ち込んだり、帰りは友達と夕飯前に間食を食べたり、友達と一緒に遊びに出かけることを差すのだろう。
はっきり言って瑞希からすれば大きなお世話である。
そもそも青春=楽しいは誰が決めたのだろうか。
瑞希にとっては一人穏やかに過ごす時間こそが青春……というか至福の時であり別にわざわざ友達と馴れ合いたいとは思っていない。
だから舞の青春を押し付けないでほしい。




