異世界についての非常に重要な教訓
これはこのアンソロジーの最新話です。皆さんに楽しんでいただければ幸いです。
日本の異世界準備学院には、多くのニートや引きこもりたちが通っていた。
彼らは異世界の言語、歴史、政治体制を学び、地球では魔法がいないのに魔法の詠唱を正確に練習し、そして過酷な体力訓練を課されていた。
学院長は四十歳の元引きこもりだった。
かつて異世界に転送されたが、何の準備もなかったため、ドラゴンに腕を引き裂かれ、何も成し遂げられぬまま地球へ戻ってきた過去を持つ。
ある日、一人の傲慢な引きこもり、ネモトという青年が不満を口にした。
「どうしてこんなに勉強して、訓練までしなきゃいけないんですか? 異世界なんて、楽で快適な場所でしょう。それが魅力じゃないですか。」
その場にいた学院長は、静かにネモトの前へ歩み寄った。
そして一言、「すまないな」と呟くと、彼の腹に強烈な一撃を叩き込んだ。
「――お前はアニメを見すぎだ。」
学院長は低い声で言った。
「異世界で生きるのが簡単だと思うのか? 引きこもりが王様のようにもてはやされる場所だと? 愚か者。異世界はお前が生まれる前から存在し、お前が死んだ後も存在し続ける。そこに立つには覚悟が要る。神は魔法を与えないし、誰もお前を選ばない。真剣に鍛えなければ、到着して一時間で死ぬかもしれない。」
学院長は、自らの義手を静かに掲げた。
「この腕は、ヒメニアという異世界でドラゴンに喰われた証だ。俺には誰も教えてくれなかった。だからお前たちに教えている。生き抜くための知識を。」
そして最後に言った。
「嫌なら帰れ。意志の弱い者は、ここにはいらない。」
この話を楽しんでいただければ幸いです。次の話をすぐにアップロードします。




