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勇者と読者は、謎の魔導書を巡る非常に奇妙なメタフィクションの冒険を繰り広げる。

これはこのアンソロジーの最新話です。皆さんに楽しんでいただければ幸いです。

異世界ディエンディ。その世界で、マニュエル・ヴァーランダーは身長二メートルを超える、ハンサムで筋肉質な勇者だ。

彼は空の星の数ほどの爆乳彼女たちに囲まれている。

みんなが彼を愛している。

母親も彼にとても優しい。

冒険なんて行く必要すらない。

生まれながらにして大金持ちだ。

家族が所有する牧場で、のんびりと平和に暮らしている。

ディエンディの人々は、遠い国々からわざわざ彼に贈り物をするためにやって来る。

彼の人生は完璧だ。

すべてのヒキコモリとニートが夢見る人生である。


読者よ、嫉妬しているかい?

もし嫉妬していないなら、ここで読むのをやめてもいい。

しかし、もし嫉妬しているなら、サイコロを用意しろ。投げてみよう。


サイコロが1、2、3なら、マニュエルの牧場の左方向へ歩け。

三分ほど歩くと、錆びた中世風の馬車の横で昼寝をしている六十歳くらいの老人の小屋にたどり着く。

サイコロをもう一度振れ。


1か2なら、老人に「街へ連れて行ってくれ」と頼め。

3なら「パンをくれ」と頼め。老人は家の中へ招いてくれる。

そこで、エリシアという名の四十歳の爆乳人妻に会うだろう。

彼女は既婚者でありながら、勇者マニュエル・ヴァーランダーに夢中である。


老人に街へ連れて行ってもらえた場合、サイコロを振れ。

1、2、3、4なら、街の東側へ向かえ。そこには冒険者ギルド本部がある。

入口には勇者マニュエル・ヴァーランダーの巨大な肖像画が飾られている。


5か6なら、街の南西に向かえ。

そこには埃だらけの古い図書館がある。

入口にはネクタイの紋章が描かれている。

図書館に入ったら、またサイコロを振れ。


1、2、3なら、歴史書の棚へ行け。

そこには勇者マニュエル・ヴァーランダーの数々の偉業が書かれている。

マニュエルは時間魔法すら極めており、異世界ディエンディのあらゆる時代を旅してきた。

その力で、過去の伝説級の爆乳美女たちが若い頃に出会い、すべてハーレムに加えた。

さらに、爆乳王妃や爆乳姫を嫁にして多くの王国を統一したらしい。


司書はメガネをかけた爆乳女性だ。

本に描かれたマニュエルの姿を見ると、顔を真っ赤にして妄想に浸る。

どこへ行っても、爆乳女性たちはマニュエル・ヴァーランダーに恋している。

君の存在は見えていない。


まだ老人の家にいる場合。

爆乳妻エリシアは勇者マニュエルの妄想に浸っている。

サイコロを振れ。

1なら、食べ物を頼め。

2、3、4、5、6なら、何も言わずに家を出て、街へ向かえ。

森で眠ることになるだろう。


もし食べ物を頼んだ場合。

エリシアは君に気づきもしない。

声をかけても、彼女は君をゴキブリでも見るような目で見て、完全に無視する。

君は家を出る。

外で寝るか、森へ向かうか迷うだろう。

サイコロを振れ。


1、2、3なら老人の家の外で寝ろ。

灯りがあるだけマシだ。


4、5、6なら森へ向かえ。


森へ行くと、そこには爆乳エルフたちがたむろしている。

ラッキーだと思うかもしれない。

だが彼女たちも勇者マニュエル・ヴァーランダーに夢中で、君には全く気づかない。


声をかけるべきか?

サイコロを振れ。


1、2、3なら話しかけろ。「やあ」と。

4、5、6ならそのまま寝る努力をしろ。

もしエルフたちに話しかけた場合。

彼女たちは君をゴキブリを見るような目で見て、すぐに無視し、勇者マニュエル・ヴァーランダーの空想に戻る。


君は眠りにつく。

この異世界では誰も君を好きにならない。

君の存在など、誰も気にしていない。


朝になった。

もし老人の家の外で寝たなら、老人に「街へ連れて行ってくれ」と頼め。

数時間後には街に着くだろう。


もし森で寝たなら、起きて街へ向かえ。

道中で爆乳盗賊団に出会う。

彼女たちは君に「金を全部出せ」と迫る。

サイコロを振れ。


1、2、3なら「何も持っていない」と言え。

4、5、6なら黙っていろ。


「何も持っていない」と言った場合でも、黙っていた場合でも、結果は同じ。

彼女たちは君を殴りつけ、貧乏であると分かると縛り上げ、奴隷として売るために街へ運ぶ。

その道中、爆乳盗賊たちはずっと勇者マニュエル・ヴァーランダーの妄想を語っている。


街へ着いたら、サイコロを振れ。


1、2、3なら逃げ出せ。

4、5、6なら大人しくしていろ。


逃げ出すことに成功した場合。

その街の見知らぬの一角にたどり着く。

そこには二人の老人がいる。

サイコロを振れ。


1、2、3なら左の老人に「食事と休める場所」を聞け。

言葉は通じていないようだが、彼はネクタイの紋章が掲げられた奇妙な図書館を指さす。


4、5、6なら右の老人に聞け。

やはり通じていないが、彼も図書館を指さす。


もし冒険者ギルド本部にいる場合。

受付の爆乳女性に「新人向けの冒険はあるか」と尋ねろ。

彼女は聞いていない。

勇者マニュエル・ヴァーランダーの肖像を見つめ、デート妄想に没頭している。

君が声をかけても、彼女は君をミミズのように見下し、無視する。

君はギルドを出る。


腹は減っているが金はない。

ギルドの外に誰かが置いたサンドイッチが落ちている。

拾おうとした瞬間、猫に奪われる。

空腹すぎて猫を追いかける。

すると例のネクタイ図書館へ辿り着く。


図書館に着いたら、サイコロを振れ。


1、2、3なら歴史書の棚へ行け。

4、5、6なら「古代魔術」の棚へ向かえ。


古代魔術の棚で、一冊の奇妙な本を見つける。

その表紙に触れているような感覚が、今この文字を読んでいる君にも伝わってくる。


本のタイトルは

『操り人形師の秘術書(Grimoire of the Puppetmaster)』


中にはたった一つの魔法だけが記されている。

その魔法を使えば、読者である君が勇者マニュエル・ヴァーランダーの肉体を支配し、

彼の素晴らしい人生を自分のものとして生きることができるのだ。


君は魔法を発動する。


とうとう君は、好きなだけディエンディの爆乳たちとデートできる。

夢のような日々。

数か月が過ぎ、幸福の絶頂。


しかし、心のどこかに罪悪感を覚えるかもしれない。

あるいは全く罪悪感を覚えないかもしれない。


もし全く罪悪感がないなら、これが君のハッピーエンドだ。

思う存分楽しめ。


もし少しでも罪悪感を覚えたなら、サイコロを振れ。


1、2、3なら、神に祈る神官が現れる。

4、5、6なら、爆乳女冒険者が歌って神々を呼び出す。


神々が現れる。

だが彼らは君の想像したような気品ある存在ではない。

まるで忙しいサラリーマンのように愚痴っぽい声をしている。

ただし姿形は人間とは程遠い異形である。


神々は真実を語る。


「実は大昔、間違いがあったのだ。

お前は本来、地球ではなく異世界ディエンディに生まれた存在。

勇者マニュエル・ヴァーランダーこそ、本来は地球に生まれました。


赤ん坊だった頃、ディエンディと地球を繋ぐワームホールが発生し、

お前とマニュエルの運命が入れ替わってしまったのだ。


マニュエルが今まで享受してきた完璧な人生は、

本来お前のものだった。

お前こそ、本当に選ばれし勇者なのだ。」


さらに神々は言う。


「お前が使った魔法は、

マニュエルの肉体を操れるだけの力ではない。

その真の効果は、お前とマニュエルの存在を一つに融合すること。


今、お前の心がマニュエルの体を操っている。

そしてマニュエルの心は、お前の体の奥底に眠っている。」

この物語を楽しんでいただければ幸いです。次の作品をすぐにアップロードします。

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