釣り針
これはこのアンソロジーの新作です。皆さんに楽しんでいただければ幸いです。
ナマカワ・ジョンは、日系アメリカ人の若者だった。
彼は『地底旅行』のような大冒険小説が大好きだった。
しかし大学の学費を払うためにアルバイトを探したが、十分な収入を得られる仕事は見つからず、結局大学を辞めざるを得なかった。
そして彼は海辺で漁師として働き始める。
父親も漁師であり、実のところ父方の祖先は代々ほとんど皆、漁師だった。
ある日、ジョンは小舟の上で退屈していた。
その時ふと思い出したのは、父がよく語ってくれた古い伝説――
人魚たちと、海の底にある豊かで美しい王国の話だった。
それは、かつて浦島太郎が訪れたという、あの有名な竜宮城と同じ王国であった。
その日は魚が一匹も釣れず、ジョンは眠りに落ちてしまった。
だが突然、竿に強い衝撃が走る。
普通の魚とは比べものにならないほど大きく重い。
ジョンは全力を尽くし、必死に逃がさぬように戦った。
何時間も続いた死闘――そして夜明け、太陽が水平線から顔を出す頃、ようやく獲物を引き上げることができた。
しかし、そこで彼が目にしたのは――魚ではなかった。
それは、美しい爆乳の人魚だった。
人魚は怒りに満ちた声で叫んだ。
「無礼な人間め! お前は取り返しのつかないことをした!」
そして彼女は海へと飛び込み、姿を消した。
ジョンは幻覚か夢かと思った。
だが、ちょうど浜に戻ってきた漁師たちも、同じ人魚を目撃していたのだ。
その噂はすぐに村中に広がった。
海の底に眠る繁栄の王国。
数千もの美しい人魚の乙女たち。
そして王をも凌ぐほどの財宝。
伝説は再び息を吹き返した。
ジョンは仲間を集め、海へと冒険に乗り出す。
だが待ち受けていたのは、凶暴に襲いかかる無数の海の生き物たちだった。
その時、一匹の亀がジョンに語りかける。
「人魚の文化では、海から引き上げられることは最大の恥とされているのだ。
しかもお前が釣り上げたのはただの人魚ではない。
海の王国の姫君――全海洋を統べる王女だったのだ。」
王女は「人間に釣られた」という屈辱を受け、今やどの貴族も彼女を娶ろうとはしない。
ジョンは胸に誓う。
――あの姫を再び見つけ出し、求婚するのだ。
彼女の美しさは、すでに彼の心を深く捉えていたのだから。
こうして、ジョンの旅は続いていった。
この物語を楽しんでいただければ幸いです。次の作品を近々アップロードします。




