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彼は私を愛していたが、私の理想のタイプではなかったので、完璧な恋愛ができるように彼を転生させたのです。私は悪役令嬢になりましたか。

これはこのアンソロジーの最新話です。皆さんに楽しんでいただければ幸いです。

クモガワ・サヤカは17歳の女子高生だった。

学校一の美少女というわけではないが、愛らしい顔立ちをしている。

少しぽっちゃりしていて、見た目はまるでマシュマロのよう。


サヤカは乙女ゲームが大好きで、心の底から「イケメン男の彼氏がほしい!」と願っていた。

しかし、クラスの中に何人かいる美少年たちは、サヤカには目もくれなかった。

その高校の男子たちは皆、細くて背の高い“アイドル系美女”にしか興味がない。


ただ一人――コウジを除いては。


コウジは背が低く、ひょろっとした体型で、髪もぼさぼさのいわゆる「ヒキオタ」タイプ。

そんな彼は、密かにサヤカを想っていた。

それはもうバレバレで、実際にラブレターまで渡している。


だが、サヤカにとってコウジは「理想のタイプ」ではなかった。

だから彼女はフレンドゾーンに押し込み、返事もせずに避け続けていた。

傷つけたくなかった――でも、正直、気まずかった。

そして何より、彼女は未だに「イケメン男の彼氏」を手に入れられていなかった。



ある日、テストの時間。

サヤカがペンを取り出そうとカバンを開けた時――

カバンの中の暗い奥に、それはあった。


それは、まるで星雲のかたまりのような光を放つ毛糸玉だった。

何百万もの色が混ざり合い、息を呑むほど幻想的な輝きを放っている。


その毛糸玉の正体は、「存在ソンザイ」――

無限に存在するパラレルユニバースと次元すべてをカバーして、そして四大神の一つ神だった。

四大神は合わせて、唯一の全能神「ゼンタイ」を形成している。

ゼンタイの姿は擬人化されたミアキス(史前の肉食哺乳類)を思わせる神獣。


ソンザイは毛糸の腕を伸ばし、サヤカに一本の奇妙なペンを手渡した。

それはまるでアニメのメカロボットのような形をしていた。

さやかは、それはすべて気の所為だけだと思った。



テストの後、家に帰ったサヤカは、自分の状況についてぼんやり考えた。

――コウジは優しい。でも、私の理想じゃない。

――でも、イケメン男の彼氏もできない。


ふと、心の中でつぶやいた。


「……コウジがイケメン男だったら良いなあ。」


そして、思いつきでその珍しいメカ・ロボットの姿を持つペンを使ってノートに物語を書いた。

――コウジが美少年に変わる物語。



翌朝。

教室に知らない美少年が立っていた。


よく見ると、それは――コウジだった。


驚くサヤカ。

昨夜、書いた物語が現実になっていたのだ。


コウジは今や、まぶしいほどのイケメン男。

サヤカはすぐに彼との交際をOKし、二人は恋人になった。



付き合い始めて数日。

サヤカはデートのたびに気づいていった。


――コウジは、実はとても面白くて、優しくて、

――ずっとそばにいてくれた、素敵な人だったんだ。


彼女はずっと「男たちの見た目」に縛られていた。

世界中の人間が、見えない鎖に囚われている。

**「見かけの世界」**の中で生き、

**「本質の世界」**を見ようとしないまま生きている――。


その時、サヤカは悟った。

あの毛糸玉の神は幻ではなく、本物だった。

この奇跡はあのペン――「ソンザイのペン」の力によるものだったのだ。



しかし、この力は危険すぎる。

誰かの手に渡れば、世界が歪むかもしれない。


そして何より――

彼女はもう願いを叶えてもらう必要はなかった。


「……ありがとう。もう、大丈夫。」


サヤカはノートに、最後の物語を書いた。


――メカロボット型のペンは、世界を旅する賢者となり、

人々に「本質の世界」を教える旅に出る――と。



翌朝。

ペンは机の上から消えていた。


世界のどこかで、白髪の旅人が歩き始めている――

人々に、見えないものを見る力を授けるために。

この物語を楽しんでいただければ幸いです。次の物語もすぐにアップロードします。

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