孤独なニートたちが、普通の世界とちょっとした異世界の要素を混ぜて、どうやって将来の恋人を見つけたの話。
これはこのアンソロジーの最新話です。皆さんに楽しんでいただければ幸いです。
都市の片隅、天井の低い部屋に、彼女のいない青年たちが集まった。
蛍光灯はかすかに瞬き、壁の時計は秒ごとに微妙にずれる。
空気は重く、かすかな囁きが壁や床に吸い込まれる。
彼らは決めた。
「想像したものは、現実になる」
こうして生まれたのは、秘密の国――ミクロ国家『イマゴニア』。
青年たちは互いの恋人を想像し、全員が合意することで、恋人たちは存在することになる。
椅子の横で空気を見るときに、微笑む彼女たちの姿を見えて、触れようとすると彼女たち手の感触が確かにそこにある。
数年後、青年たちは想像の恋人と結婚した。
式場には空白しかなく、花嫁は空気に立つだけだ。
外から見れば何もない結婚式。しかし、当事者にとってそれは紛れもない現実。
さらに数年後――半分現実、半分想像の子供たちが誕生する。
歩くたびに床がゆがむ。
壁をすり抜け、窓の外から部屋に戻る。
文字や道路標識が意味を失い、空中に浮かぶ文字として踊る。
自転車に乗ると風景が溶け、街の建物は傾き、路面は水のように波打つ。
子供たちは都市の物理法則を無視して遊ぶ。
電柱を跳ね、街灯をくぐり、カフェの看板を揺らす。
自動販売機に手を伸ばすと、中から空想の飲み物が現れる。
通行人の影は子供たちの声に応じて長く伸びたり、短く消えたりする。
外の世界はこれを理解できなかった。
「どうして虚構が人間の子供たちを産むのか?」
「自分の目で見ても信じられない!」
新聞もテレビも専門家も困惑し、論争は止まらない。
しかしイマゴニアの住人たちは平然としている。
青年たちは椅子に座り、恋人たちは空気に漂い、
子供たちは壁や路面をすり抜けながら笑い、
街全体が、存在の奇妙さを受け入れて揺れ動く。
現実と虚構の境界はもはや意味を持たない。
誰も否定せず、誰も疑わず、想像の力が確かに世界に存在する。
ある日、子供の一人が空に向かって手を伸ばすと、
空中の雲はゆっくりと顔を形作り、笑みを返す。
別の子は自転車で道路を走ると、通りの建物が波打ち、
風景はまるで液体の夢の中に溶けていく。
都市の片隅で、青年たちと恋人たちがいて、そして半分現実の子供たちは静かに遊ぶ。
都市全体が生きているかのように呼吸し、揺れ、光と影が絡み合う。
イマゴニア――世界の論理を無視した国は、確かに存在し、永遠に息づく。
終わり
この話を楽しんでいただければ幸いです。次の話をすぐにアップロードします。




