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最強の勇者と呼ばれるのは、ただ説得力のあるハッタリをする男である

これはこのアンソロジーの最新話です。皆さんに楽しんでいただければ幸いです。

ナミカワ・ハヤトは典型的な引きこもりであった。彼は日本の漫画とアメリカの古いコミックが好きだっただが、ある日突然「ヌビアラルビア」と呼ばれる異世界に召喚される。しかし――ありがちな「チートスキル」とうか魔法の力など一切もらえずに、である。


迎え入れたのはテュートナテトナ王国の王、ハイムニスター。ハイムニスターは五人の娘がいた。マラ、ラウリア、シオナ、テトゥーラ、そしてオヤコナ。五人の肌の色はそれぞれ違っていた――マラは青、ラウリアは黄、シオナは緑、テトゥーラは赤、オヤコナは紫。皆そろって背が低くて、豊満で、ふくよかな美人であった。


王は思い込んでいた。「この男こそ多くの並行世界のどこを探しても最強の勇者に違いない」と。

だがハヤトの本当の武器は、剣でも魔法でもなく――ただの「口先」であった。


彼は大剣を渡されてもまともに持ち上げられず、腕は震え、足元はふらつく。それでも顔だけは勇ましく作り、声を張り上げて敵を脅すのだ。


「我が小指の中の一番小さな分子に、貴様の全身よりも大きな力を宿している!」


この決め台詞を吐くだけで、敵は青ざめ、戦わずして逃げ去る。誰も彼の実力を見たことがない。だからこそ「最強の勇者」という評判は広まっていった。実態はただの虚勢でしかないにも関わらず。


ヌビアラルビアの大地は、表向きはテュートナテトナ王国の支配下にあったが、裏では不満が渦巻き、マフィアやギャングが暗躍していた。彼らは皆、強力な魔法を武器にしていた。しかし――ハヤトの絶妙な「はったり」は、それらのならず者をも震え上がらせ、次々と逃亡・投降させてしまったのである。


かくして、何の力もないただの引きこもりが、世界を震撼させる伝説の勇者へと祭り上げられていった。


そして功績を称えられたハヤトは、王から褒美を賜る。――五人の王女すべてを妻として迎えることを。


こうしてハヤトは五人の美しい王女と共に豪奢な日々を送り続けた。だが誰一人として知らない。

「勇者ナミカワ・ハヤト」の伝説が、実はただの大嘘であったことを――。

この話を楽しんでいただければ幸いです。次の話をすぐにアップロードします。

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