神の聖なる池で釣りをします
これはこのアンソロジーの最新話です。皆さんに楽しんでいただければ幸いです。
山戸ユイイチは龍宇山高校でも有名なオタクだった。数学や理科ではまったく成果を出せなかったが、言語と語学の才能は飛び抜けていた。彼は十八の言語を流暢に話し、さらに十八の言語を習得しようと日々努力していた。
龍宇山高校には、お嬢様で爆乳の生徒、ショトグミ・サヤカがいた。学校中の誰もがサヤカの恋人になりたいと思い、男性教師でさえ心の中で「うちの妻も彼女の年齢のときはここまで美しくなかった。サヤカが大人になれば、日本史上最高の爆乳美女になるだろう」と密かに羨んでいた。しかし、サヤカは告白してきた者すべてを断っていた。学校の男子など、誰一人として彼女にふさわしくなかったのだ。噂では、父親が世界中の大富豪の後継者に結婚を約束させようとしたことさえあったが、サヤカはすべて断った。彼女はまさに「手の届かない花」だった。
当然、サヤカにとってユイイチの存在など、微塵も興味の対象ではなかった。しかしある夜、夢の中で彼女に出会ったユイイチは、突如として彼女を自分の恋人にしたいという強い欲望を抱くようになる。
ユイイチは言葉の力について考え始めた。言葉はただ思考を伝えるためだけのものではない。社会の中で人々の感情や行動を動かす力も持つ。反応を引き起こすために必要な言葉が少なければ少ないほど、その言葉の力は強大になる。神は、人間を従わせるための唯一無二の言葉を持っている。しかし、ユイイチは神の真似をするつもりはなかった。ただ、望むものを手に入れたい。それだけだった。彼は「サヤカが自分の恋人になる言葉」を探すため、言葉の海を航海することを決意した。
その一週間、ユイイチは学校を休み、ひたすら言葉の力を思索し続けた。そして学校に戻った日、数学の野見川先生がユイイチとサヤカに、自分の書類を事務室まで運ぶよう頼んだ。二人は黙々と書類を運んだ。
書類を運び終えた瞬間、ユイイチはサヤカにそっと一言だけ告げた。その言葉を校内の誰も聞くことはできなかった。しかし、そのわずか数秒の言葉がサヤカの心を揺さぶった。彼女は突然涙を流し、ユイイチの腕に飛び込み、熱くキスをした。
ユイイチは言葉の力の海を航海し、ついに「彼女を動かす言葉」を見つけたのだ。こうして、手の届かない花であったサヤカは、ユイイチの恋人となった。
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