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紅白タイムズによるニュースレポート

これはこのアンソロジーの最新話です。皆さんに楽しんでいただければ幸いです。

謎の女戦士「ドミ・ナイトリクス」――キックボクシングで弱者を救う影の騎士


(社会部記者)


近ごろ、首都圏の中学校周辺で奇妙な現象が注目を集めている。いじめや不良グループによる暴力事件の現場に、突如として現れる謎の女性。その名は「ドミ・ナイトリクス」。

彼女は暴力的な雰囲気をまとった中世騎士の兜をかぶり、灰色のパンクファッションに身を包み、圧倒的なキックボクシングの技術で加害者たちを打ち倒すという。


■ 救われた少年たちの証言


今回、本局は彼女に助けられたとされる三人の中学生に取材を行った。


天宮 あまみや・あまの君(14)

「僕は小柄で、クラスでもからかわれやすい体型なんです。その日も、不良に囲まれて殴られそうになった時、突然あの人が現れた。ものすごい蹴りで相手を一瞬で倒して…、まるで映画の中の騎士に助けられたみたいでした」


雲田川 康介くもたわ・こうすけ君(13)

「兜は本当に怖かった。角みたいな突起があって、見ただけで鳥肌が立った。でも声をかけられたとき、『大丈夫? 立てる?』って優しい声で…。彼女は僕に救った気がします」


銭形 修一郎ぜにがた・しゅういちろう君(14)

「僕たちみたいな“弱い”やつは、いつも守ってくれる人がいない。でも、あの人はまっすぐに僕らを見て、“もう泣かなくていい”って…。正直、泣きそうになりました」


三人とも、共通して「恐ろしくも心強い存在」と語った。


■ 危険な不良や犯罪者さえも撃退


警察関係者によれば、最近報告されている暴力事件の中には「現場に覆面の女性が現れ、犯人を行動不能にして立ち去った」との証言が複数寄せられている。

一部の事件は未成年の不良グループによるものだが、時には成人した犯罪者までもが撃退されたケースがあり、当局も「事実であれば非常に異例」とコメントしている。


■ 心理学者の分析:「理想ではなく倦怠感」


この現象について、ドイツの著名な心理学者 ドルフリッヒ・ウムシュトルヘルン氏 にも見解を伺った。


「彼女は古典的な“正義のヒロイン”ではない可能性が高い。理想主義や使命感ではなく、社会そのものへの倦怠や嫌悪が根底にあるのではないか。現実があまりに不完全で不条理に満ちているため、自分の手で世界を変えたいという衝動に突き動かされているのだろう」


ウムシュトルヘルン氏は、彼女の行動が一種の「現実改変願望」の表出であり、その意味では社会全体の病理を映し出す鏡であると警鐘を鳴らす。


■ 浮かび上がる存在意義


彼女の正体はいまだ不明だ。学生の間では都市伝説のように語られ、インターネット上では「ドミ・ナイトリクスに救われたい」といった声まで飛び交っている。

しかし同時に、「法の外で行動する危険人物」として懸念する声も少なくない。


――社会に絶望した一人の女性が生み出した影の騎士なのか。それとも、弱者のための新たな正義なのか。

ドミ・ナイトリクスの行動は、我々に問いを投げかけ続けている。

この話を楽しんでいただければ幸いです。次の話をすぐにアップロードします。

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