終氷ノ黙示録 第六話
※訂正 命刻→冥刻
ダルクの目前におるのは神か閻魔か、敵か味方か、そんなことすら考える余地はなく、眠るように気絶していった。
月蠍が猛毒の尾でタイラーに襲い掛かろうとした刹那、低く唸るような声が攻撃を遮った。そして告げる「還れ」と。
月蠍は尾をたたみ、鋏をたた、節をたたみうずくまる。魂が、か細く消えていくかの如く月蠍の姿は見えなくなった。
魔王は少し驚き、後ずさる。(急に巨大な蠍が消滅した?)
タイラーは後ろに手を組み、天を見上げる。まるで何かを待っているようだ。
そして低く唸るような声は続ける。「聞こえるのか......声が」「視えるのか......余が」
「ええ、聞こえますし視えますよ」
タイラーは答える。
魔王は精神を研ぎ澄ませ、何かを聞こうと、また何かを視ようとしているがまったく感じ取れないでいた。
天を見上げなさい、【リベレーション・イノセンス】タイラーが唱えると頭上に巨大な紅色の時計が姿を現し、崩れ落ちる。紅色の時計から現れたのは、ゆうに三メートルは超える錫杖を右手に持ち、背後にはローマ数字で表記された時計が顕現し、長針と短針はどちらもⅫを指している。見た目はカブトのような硬く煌びやかな外殻に身を包まれており、憤怒の表情をした兜を被っている。
「余の名は、冥刻。創造主グラキエル様に仕え、この地を任されし者」
「月蠍の侵攻は順調に進み、いずれこの大陸もグラキエル様の手におちることだ。そう、遅くもない内にな。魔王よ、お前の処理は余にまかされておる、消滅せよ」
【ギルティ・クロック】
冥刻が錫杖を鳴らすと魔王の周囲に紅色の時計が無数に出現し、時を刻み始める。ギィィィ、、ガシャン。ぎィィィ、、ガシャン。
「困りましたねぇ、こんなところで魔王さんには死んでほしくないので。あなたの代わりにこの地をお守りしますね」
なめられたものだな。その瞬間、魔王自身からとてつもない魔力が放たれ周囲に出現した紅色の時計をすべて吹き飛ばした。そう、魔解除をおこなったのだ。
「タイラーよ、我にこの地を、我の仲間たちを守らせてはくれないか」
タイラーは、しょうがないですね。と一言だけ発した。
「余の姿さえ看破できなかったお前に勝ち目などあるのか、よく考えるがいい。そして、弱者なりの最大の抵抗をしてみろ」
なあ、タイラー。我が冥刻とやらに勝てると思うか。
「無理でしょうね」
そうか、正直なんだな。
我が名は魔王、ゲイル・アラネイアこの地の主にして、歴代最強の魔王である!
時の覇者、冥刻に勝てる者はいるのか、
【リベレーション・イノセンス】 無邪気なる暴露。は現在起こっているすべての事象、魔法をなかったことにする能力。
【ギルティ・クロック】 有りし罪の時間。は広範囲に視覚化した自身の魔力がふくまれる時計を無数に出現させ、60秒後に対象に確実な死を与える。冥刻を殺すか、時計をすべて消す以外に逃れる術はない。




