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君の世界  作者: TOMATO
9/10

壊れいく関係

どう返事していいのか…。

すごく迷っていた。

寄りを戻すということは…簡単じゃない。

それに、私はもう恋はしない。


そんなことを考えて、返事を返さずにいた。

すると、不意に誰かに携帯を奪われた。


「…?ッは…!??」


振り返った瞬間、

息が止まった。

そこに居たのは、涙だった。

私の携帯をしっかりと握りしめている。


冷たい目。

涙は私に小声で「誰?」と聞いてきた。

「と…ッ。友達だよ…前にこの中学校だったんだけどね?転校しちゃっ…」

私がしゃべり続けると涙は無言で私の口を封じた。

何をするつもりなんだろう…。

涙は私の携帯を耳に当てると、「もしもし」といつもの低い声を出した。

何のやり取りをしているのかは全然聞こえなかった。

ただ、涙は、「ふうん」「そう」「で?」など、繰り返しているだけだった。

麻友は何を話しているのだろう……。


そして、しばらくして涙は電話を切った。

「…元カノ…っていうのかな?」

私の顔を、見透かした目で覗き込む。

何も言えず、頷くことしかできなかった。


「寂しいの?」

気がつけば。

私は大きな涙に包まれていた。

涙は優しい口調で私の頭を撫でている。

…懐かしい、感じがした。

そんな時に限って、だ。

さっきの麻友の声が頭から消えない。

『やり直そう』

その一言が、私の胸を駆け巡る。


…嬉しい、けど…。

私はそっと涙から離れた。


「ごめんね」

耐え切れなくなって泣き出す私を涙は優しく撫でた。

「よしよし。元気出せ?な。俺そろそろ部活戻る。ごめんな、えぇっと…その…話聞いてた。ごめん。」

それだけ言い残すと、涙は教室から出て行ってしまった。


…やっぱり。

聞いてたよね。

私、どうしたらいいんだろう。

涙も、麻友も大好き。

あれ…。

まただ。私、涙のことも好きなんだ。

どうしたら…いいのかな。


一人残された教室には、私の泣く嗚咽だけがこぼれていた。

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