第二十二話「ビッグ市民共有体育館の決闘」
前回のあらすじ
ゴールデンウィークの宿題の終っていない
赤石と、性別が男か女かいまだはっきりしない
四代のバトルが始まった。
いや、タイトルは某最終物語の五番目の神BGMとは関係ないのですよ。
お互いにらみ合いでいっこうに始まらない決闘。
ゴールデンウィークの微妙な暑さが共有体育館にある。
俺が窓を開けようと階段を上った瞬間…
初代が欠伸をした瞬間…
「おりゃああああああああああ!!!」
「来るかっ!」
パコーン!テニスボールが打ち込まれた。かなりの速さ。
伊達に期待されてはいなかった!
サッっと後ろに回避する四代。
しかしその瞬間。ボールからプシュウゥ!と音がし、
あたりが煙幕で包まれた。
「な、なんだ!?」四代の困惑の声が聞こえる。
「うわぁ…初手で目くらましかよ…」
「ふふふ!煙幕玉だっ!
相手を何するかはまだ分からない!汚くてもこの方法を使うしかない!」
…赤石が頭脳戦をしている…意外だ…
「そしてこの弾!分散玉!
いろんな方向に飛び散ったボール!いくぞぉ!」
パコーン!ボン!三方向に飛び散ったボールが煙の中に入っていく。
「通るかっ!?」
キキキキン! 日常では聞こえそうにない鉄の音が響いた。
「なっ…!?」
煙が晴れたとき、そこには不気味な刀を持った四代がやってきた。
「おっおい!?本格的に銃刀法違反じゃないか!?」
赤石の腑抜けた声が響く。
「俺の武器は三節刀。百八十度を自由自在に切り刻む刀だぁ!」
ものすごい勢いでの突進が始まった。
ついに動いた四代にびっくりしたのか赤石は、
「ぎゃああああああああああ!!殺される!」
逃げている。だめだこりゃ。
足は速いのでそう簡単に追いつかれそうにない。
「…逃げながらボール落としてるし最悪じゃねぇか…」
普通のテニスボールより少し小さいボールがそこらじゅうに落ちている。
これは武器がなくなってまずいんじゃないのか?
「ちっ…ちげぇよ!わざとだよ!」
「は?わざと?」
「こうするんだよ!」
後ろを突然振り返るとまた玉を打ち込む。
パン!と分散して小さい玉にひとつひとつヒット。
その瞬間。その小さい玉はすごい速さで飛んでいった。
そして異常なバウンドをした。一発、四代の頬に当たったが
かなり痛そうだった。
「どうだぁ!跳躍玉!
このボールには特殊なゴムでできている!すっごくはねるよ!」
「…フンッ!」
ズバッズバッ!玉は全部斬られてしまった。
「…今思ったんだが赤石の武器ってただうっとおしいだけじゃないのか。」
「…うん。そう思うのがあってる。」
「うるさい!俺にはまだ玉があるんだよ!」
煙幕、分散、跳躍 ときたら…次は何が来るんだ?
「うおりゃぁぁぁ!砂塵玉!」
よけられてベシャッ 砂が出ただけだった。
「うおりゃぁぁぁ!水流玉!」
よけられてベシャッ 水が出ただけだった。
「赤石。お前の勇士は忘れない…!」
「うわぁぁぁ!!まだ死にたくないぃ!!」
追いつかれた赤石。四代はマジで殺しにかかっている。
「う…うわぁぁぁぁぁ!!」
玉をまだ打つ赤石。しかし外れてしまった。
なんと壁に刺さっていた。これが相手に刺さればよかったのに…
「死ねぇ!」
赤石が刀で切られると思った刹那。
赤石の姿が消えた。
「「「は?」」」
三人全員でハモったが…
「俺はこっちだ馬鹿めが!」
いつの間にかボールにつかまっている赤石。
手には凧揚げに使うもち手みたいな奴があった。
「取手玉だ!後ろはとった!」
パコーン!ガッ!
背中に当たった音が響いた。
ごめん遅くなったぜ