第一話「転校生」
桜が舞い落ちる季節。
俺は中学一年生に入学することになった。
父親は家庭事情で実家から離れることができない。
なので俺は母親と二人で都会で暮らしている。
父親がいないことはさびしいが母親と一緒にいるので
そこまでは感じなかった。
入学式から数日たったある日。
中学校生活に慣れ始めた頃
”そいつ”はやってきた。
そういえば自己紹介がまだだった。
俺の名前は佐藤祐樹。本当に地味な13歳だ。
得意な教科は理科と家庭科。部活は何に入るかはまだ決まっていない。
かっこいいといわれたことも無いがきもいといわれたことも無い。
変わっていることといえば少し気配を読み取るのと勘がすこしいいところ。
運動もできるわけでもなく勉強も平均的だ。
そんな俺は今日もとても長い坂道を登っていっている。
この中学校は高校も繋がっていてさらにこの近くに大学もある。
近くの大学にはどうやら事件がおきたらしくて少しざわついていた。
まぁどうでもいいけどね。
「おぉーす。佐藤〜。」
後ろで大きい声でどことなく投げやりな声が聞こえる。
赤井彰浩。勉強は俺と同じくらいでテニス部でそこそこできるほうらしい。
なかでも彼の放つサーブはひゃくはっ…おっとなんでもない。
「相変わらず意味不明なこと話してんなぁ〜」
「だまれかす」
「なんだそりゃ。ぐぐれかすみたいだな。dmrks」
「うっせぇぇ!!」
実はというと中学で初めてできた友達だ。
急に話しかけられてそのまま打ち解けてそれからはほとんどこの坂で出会うようになった。
暴言も吐いているけれど一番頼りになる奴だ。
「ど…どうしたんだよ…今日は無駄に叫ぶなぁ」
「DAMARE!今日の俺は少し違うんだよぉ!」
全員の眼がこちらに向く。
俺は肩をすくめて身を隠す。
は…恥ずかしいっ…
「まったくどうしたんだよ…」
赤井は迷惑そうな顔をしながらつぶやく。
「いや…なんか嫌な予感がすごいするんだよ…」
「嫌な予感?」
「なんかとんでもない面倒ごとに巻き込まれる…」
「ふーん・・・」
赤井が黙り込んだ。
おっ?こいつにしては珍しく考えてくれているのか?
「気のせいじゃない?」
期待した俺が馬鹿だった…
教室に着くと相変わらずのがやがやっぷりだ。
後ろで女子が騒いでいる。
俺はいつものように荷物をしまう。
荷物をしまうさい何か小さなものが転がり落ちた。
「ん?なんだこれ?」
拾ってみるとそれは何か六角形の石のようなものだった。
一体何なのだろうか。
一応取っておこうと俺はそれをズボンに滑り込ませておいた。
チャイムがなる少し前クラスの情報通が廊下から息を切らせて走ってきた。
「たいへんだ!転校生がくるぞ!」
「な」
教室が静まり返った。
「「なにいぃぃぃぃ!!!」」
「男か?女か?」
「イケメンか?不細工か?」
「ペン回しできる?」
「カラオケいける?」
ざわざわと教室がうるさくなる。
チャイムがなったような気もするが声でかき消されている。
先生が入ってくる。
「お前らー席つけー」
全員眼を輝かせながら席に着く。
「今から転校生をしょうk「「いよっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」・・・紹介する。」
うちの先生はこのように話をさえぎられてもノーリアクションで対応するからおもしろい。
「はいってこい。」
ガラララッ
教室の戸が滑らかに滑る。
髪の毛はきらめいていて
瞳は青かった。
かといってハーフには見えないし
外国人でもなかった。
なんというか・・・とても不思議な感じがした。
顔も美形だ。
女子がキャーキャーと叫ぶ。
男子がうらめしそうににらむ。
「今日からこのクラスの一員になる初代竜野くんだ。皆仲良くしてやってくれ。」
俺はこいつに悪いイメージは持たなかった。
だがこれがとんでもない自体の引き金になるとは
このときの俺はこっぱほども自覚していなかった。
つづく
初めまして。BLastWarsと申します!
ぐだぐだな小説ですがよろしくお願いします!