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『紫の海になって、』[プロローグ]
羨ましいほど澄んだ空と、眩しい太陽の下で俺は背中を丸めて立ち尽くしていた。
――死にたい。
誰かのせいでそう思わされたわけでもない。不甲斐ない俺が俺自身に「死ねば良いのに」と言い続けた。
真っ青な空。
真っ赤な太陽。
生まれた瞬間から、俺は俺をそこに存在させるすべてを羨んだ。
人は死ぬと、海になるらしい。そんな話を聞いたことがある。男が死ぬと青い海に、女が死ぬと赤い海になるらしい。
目の前に広がる広大な海を眺める。真っ赤な太陽が海面に反射して俺の目を眩ませる。
今から俺はここに飛び込むのだ。素っ裸ですべてをさらけ出し、すべてを投げ出して俺は海に溶けていくのだ。
砂浜を勢いよく蹴り、海面に足をつける。
満潮になるほどに溢れる感情に当てはまる言葉を、俺はずっと探している。




