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愛されていると信じて  作者: m@ho
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エピローグ

幼少期から裕福な家庭に育った豪、愛されているのか後継者という道具なのか苦悩の中で愛を見つけられるだろうか

豪は小さい時から家族に愛されていると思っていた。


マンションもなく低層の住宅が並ぶ住宅街。

手の行き届いた木々の庭先が多い街並みである。

小型犬の散歩に歩いている人がおり、朝の通学時間前であるため、静かである。

大きな家が続いており、一際大きな家の庭には雀が芝生の中で餌をついばみながら飛び回っている。

門を通り、庭を上がっていくと木造の重厚な扉があり、家の中では玄関の近くに下駄箱が並んでいる。

靴を探している少年は目的の靴を見つけて安堵しているようである。

「今日も、部活はないのでいつも通りです。」

玄関で靴を履いている少年。学校から指定された黒の制服を着ている。

のんびりと靴を履き、靴ベラを白いエプロン姿の女性に渡した。

少年の名前は織田豪。

すぐるという名は、優れた人物になって欲しいと父親がつけた。

そんな父親は母親で、豪の祖母の春子が社長の会社であるアパレルメーカー「(株)ODA」の営業副部長をしている勝。

まさるは営業センスはゼロ。肩書きは副部長であるが、俗に言う親の七光りである。

勝の父で前社長の源一郎は豪が小学校に入った年に亡くなっている。

厳格な源一郎は勝に厳しくしくし、可愛がっていた妹の貞子とは対称的であった。

エプロン姿は母親である優子。

気の弱い性格で姑と小姑の小言に日々耐えているなか、子供だけには何とか平穏な日々をすごさせたく考えている。

「お婆様の誕生日が明日だけど、部活はなかったわよね?」

木の重い玄関を両手で押して庭に出た二人は門へ向かい歩きながら話していると、隣の玄関から豪の従姉弟達が出てきた。

勝の妹の貞子の子供達で、姉の夏海と弟の秋雄である。

豪と三人で同じ学習院に行っているので、朝は3人で通学している。

初等科は四谷にあるのでバスもあるが丸ノ内線で西新宿から5駅の四谷まで行くのである。

「うん、大丈夫。明日も真っすぐ帰ってきます。」

心配そうな母親を元気づけようと豪は笑顔で答えた。

庭に敷かれた小石を蹴りながら歩いている秋雄を気にしながら夏海が申しわけなさそうに優子に話しかけた。

「叔母様。明日の誕生日会ですけど、私達はクラブだから、少し遅れて参加します」

一大イベントなので、幹事の優子に対して夏海が気を使って話しているのだ。

「はい。ありがとう、分かったわ。」優子は笑顔で答えた。

庭を通り過ぎ、鉄の門を開ける優子。

3人の子供は門の所に立っている優子の前を歩いて通りに出ていく。

門の所で優子は三人が仲良く歩いていく後ろ姿をみているが、気持ちは明日の事で憂鬱でしかたがない。

三人が角を曲がり、見えなくなると、ため息をついて踵を返し、玄関に戻っていった。


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