表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
110/168

102)その先にあったもの




 ────────メインシステム キュウシチュウ



キテイ マリョク カクニン シマシタ


マリョク ソウリョウ ジュウテン カンリョウ


フウイン カイジョ 




 ────────メインシステム キドウ ジュンビチュウ



コレヨリ メインシステム “ニケ” キドウ


ゼンケン ヲ “ニケ” ニ インストール


キドウシステム “モヨウ” プログラム エンド


シュゴシステム “ハコ” プログラム エンド






 ────────キドウシステム キノウテイシ



 ────────シュゴシステム キノウテイシ






 ────────メインシステム “ニケ” キドウ









  ・ 


  

  ・


  ・ 


  ・


  ・


  ・



 どこかで誰かが、抑揚(よくよう)のない声で棒読みに台詞(セリフ)を唱えている。


何かの呪文?


しすてむって、何?


きどう?


まりょく……って、魔力かな。


ふういんかいじょは……えっ!! 封印解除!?


ちょっと、封印って何?


いったい何を封じてた?





 ・


 ・


 ・

 ・

 ・



 ……ええと、どうなってるんだ?


思考力が回復してからというもの、俺は疑問符(ぎもんふ)ばかりを量産している。


何もない場所。


ないのかどうかも判断できないようなところ。


明るくも暗くもないし、寒くも暑くもない。


俺はそこに(たたず)んでいた。


いや違う。


自分が立っているのか座っているのかも不明。


はっきり言って、寝転んでいるのかすらわからない。


ただ存在している。


まあ……存在してないと、こうやってのんびり考え事とかできないからねぇ……。





 ふと気づくと、自分に何かが()()っている気がする。


こっ、コレはもしかしてモフモフ!? モフモフなのか!?


黒っぽい毛並み、それにシュッとした尻尾(しっぽ)が生えている。


尻尾(しっぽ)が俺に(から)みついてきて、くすぐったいような気がする。


なっ、何かペロッとされた。


わわわっ、毛繕(けづくろ)い? 俺、毛繕(けづくろ)いされてんの!?


めちゃくちゃ情愛を感じてしまう。


俺、すごく(いつく)しまれているみたいなんだよ。





 嬉しくて──何かを返したくて腕を伸ばす。


すると腕や手先指先の感覚が戻ってきた。


両手でモフモフを抱きしめる。


そうしたら身体の存在がしっかり認識できてきた。


腕の中には小さな猫。


可愛(かわ)くて思いきり()でまわしても、嫌がらずに付き合ってくれている。


「みゃ~ん」


小さな鳴き声を聞いたとたんに耳の存在を思い出した。


「ご主人……やっと()えた。……ずっと()いたかった」


ン? 耳の存在を思い出した直後に、耳を疑う。


「聞こえてる? ご主人?」


ええっと、やっぱり話してるよね……この猫君。


念話じゃなくって話してる。


「ああ、猫がいきなり話しかけたら驚きますね。もちろん念話もできますよ? ご主人は、念話をご希望ですか?」


ええと、………………………………。


「いや、このままで大丈夫」


俺は状況を上手(うま)く飲みこめずに、ぽそりと応答するのみだった。







 不思議な場所で、不思議な猫と会話する。


「聞いても良い?」


「何なりと」


「ここはどこ?」


「ご主人……貴方の、思考の中です」


「俺の?」


「はい。貴方の身体は、ハコと呼ばれる入れ物の中で気を失った状態です。私は、貴方の思考に働きかけて会話をしています」


なるほど、現実じゃないなら空想物語(つくりばなし)みたいに何でもありかも知れないな。


「その、ご主人っていうのは俺のこと?」


「はい。貴方のことです。貴方は私のご主人です」


猫君は、何だか嬉しそうに返答をしてくれる。


「じゃあ、君は? 君は誰?」


「私はニケ……………………」






 猫君はじっと俺の目を見て、少し姿勢を正してから言った。


「………………………異世界から弾かれ、ここに辿(たど)()き──────この世界を構築したメインシステムの一部です────────」






 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ