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短編集

崩落の魔城にて 上

作者: 残念丸

景色は恋人、お前を誰よりもよく知っている。

どこかにあるいろんな風景を求めてみんなに見せる。

そんな単純な夢を背負いながらこれを見てるあなたとは違う世界の男はかつて人とは違った社会性のある生き物が住んでいた地域に足を踏み入れる。

かつて人を食い荒らしていたと言われる魔物の棲んでいた地域は今は穏やかで、危険など感じないどころか小鳥がさえずってる。


「・・・お?あれ有名な魔王の城かな?」


かつて魔物を引き連れていた魔物の王。

俗に言う魔王というものが住んでいたとされる城の廃墟が小川を超えた遠くの丘の上に見える。

聞いた話によるがかつての魔王城付近には邪悪な雲があたりを覆っていたとか巨大な龍が居て周りは烈火の炎が大地から吹きああげていたとか、人を一瞬で溶かす毒の沼があったとか。

色々言われていたが、実際に見に来てみたら丘には色とりどりの花が咲き乱れその上を動物が走っている。


「なーんか言い伝えとかって当てにならないなぁ・・・旅してると全然違うもん」


男は重たいバックパックを背負いなおし魔王城跡地へと向かっていく。

小川を渡りそこから数分歩いて到着。

門は二つで片方は老朽化しているのか地面に転がっている。

朽ちた扉を踏みながら中に入ると穴の開いた天井から日光が降り注ぎかつて魔王と勇者がぶつかり合った後であろう大広間は錆びた剣や盾が無造作に投げ捨てられ、その周りにも草木が生い茂っている。


「生き物が死ぬとそれを養分にして植物が生える・・・もしかしたら外の景色もたくさんの生き物でできたのかな?」


皮肉ではない、断じて。

そんな景色に見とれながらお気に入りのスケッチブックに色鉛筆で景色を書き込んでいく。

地面の亀裂に刺さった剣、差し込む日光、たれかの記憶の宿った鎧、全部をスケッチブックに収めていく。

一時間ほど描き、陽が傾いてきたところで次は外に出る、丁度魔王城の後ろに夕陽が落ちていくのを見てまたスケッチブックにペンを走らせる。

夕陽を背景にした廃墟と花の咲く丘、王道だがそれがいい。

陽が沈む前に描き終わり、次に月が出るまで干し肉と塩と乾燥したハーブや海藻でスープを作る。

小川から水を汲み瓶と砂で作った浄水器で水を浄水し塩、海藻を加えハーブと乾燥肉を加えれば完成である。

スープを嗜みながら今まで描いた絵を色々眺める。

峡谷と吹きすさぶ砂嵐の景色、砂漠のオアシスの景色、商店街と夜市を半々で書いた絵、海に反射して一つの塊に見える流氷など色々なところを回ってきた。

世界を旅するのは大変だが悪くない、町や村を転々としては短期で働いて資金をためてまた出発といった感じで色々なところの情報も集まるし何より世界は広くて描く物には困らない。

いつも見ている太陽や月も角度や場所が変われば別人である。

故に旅は楽しい、風景という恋人が隣にいるから。


・・・


スープを飲み干し片づけをしまた城の中に入る、次は屋根の隙間から見える月の風景である。

ランタンの明かりを頼りに色鉛筆を取り景色を描き込む。

朝昼晩、すべての景色を描き終わり満足したのでスケッチブックを閉じカバンに仕舞おうとすると首筋に月光の反射でキラリと光る刃が押し当てられた。


「お前、何者だ?こんなところで何をやってる?」


声は女、だいぶ冷ややかな外敵に対する声だ。

男は震えながら答えた。


「ぼ、僕はただの絵描きです!!ここで絵を描いてました!!」


震えながら主張はしっかり。

どうやら身なりや置いてあるスケッチブックで察してくれたのか剣は引っ込めてくれた。

だがいまだに振り返る勇気はない。

暫く沈黙が続いたがその沈黙は女が終わらせた。


「・・・その絵、見せて見ろ」


「は、はい」


恐る恐るスケッチブックを渡し反応をうかがう。

女は静かにスケッチブックをめくり出した。

数十分後、女は読み終わったのか本を返してくれた・・・そして意外なことを言ってきた。


「貴様、旅をしてると言ったな・・・宿はあるのか?」


「な、無いです・・・ここに泊まろうと思ってましたけど君の邪魔になるなら野宿します・・・」


「・・・良かったら泊まっていかないか?・・・ただ条件がある」


「な・・・んでしょう?」


「なあに、旅の話を聞きたい」


「・・・それだけですか?」


「できないのか?」


「いえ、できます・・・大丈夫です・・・」


「・・・ならついてこい・・・とその前に自己紹介しておこう、私は元魔王側近のカルメラ・エンプソンだ」


とんでもない肩書が聞こえた気がする。

魔王側近?しかし魔物は魔王と共に掃討されたと聞いた。

もしかして生き残っていた?だとしたらその数少ない姿はスケッチブックに収めたい。

そんな近づきたい衝動と魔王側近なんかと一緒の城で寝たら死んでしまわないか?そんな離れたい衝動が混在し始めた。


「僕はエトナ―ド・フェアです」


「じゃあエトナ―ド・・・ついてこい」


カルメラさんに言われるままに後ろについて行った。

しかし格好が気になる、カルメラさんはお世辞にも露出が少なくなくもはや水着レベルの露出を誇った服と短いパンツ、ニーソックスとそこの厚い靴を履いている。

体のラインがくっきりし過ぎており目のやり場に困ってしまう。

広間から廊下を抜け書斎と思われる大量の本棚のある部屋に入る、その奥にある扉を開け今度は個人部屋の様な場所に入る。

沢山の食器や骨董品、本棚などあるがもしかするとここは魔王がお茶を楽しみながら本を読んでいたのだろうか?使い古された立派な椅子がそれを物語っている気がする。

カルメラはその部屋の本棚を横に押すと本棚の後ろから扉が出て来た。

その扉を開け階段と長い廊下を歩くと奥に立派な扉が見えた、隠し部屋なのだろうか?。

重たく仰々しい扉を開けると中には大きなベッドと椅子とテーブル、本棚やぬいぐるみと

一緒に椅子に座る目を包帯で覆った少女が居た。

黒いフリフリのドレスと赤いチョーカー、そして頭には人とは思えない小ぶりな角が生えていた。



久しぶりに書いてみた。

ちょっと文字数多くて稚拙で読みにくいかもしれないけどね!!

おじさんにはこれが限界なの。

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