第九話 相之助の決意
旅の再開
方言座敷童子のいる民宿からでて、再び俺らは自分の霊能力を高めるための旅に出ようと思う。
高めるためには、『体内にある未開放の力を解き放つ』こと、『霊石をもっと上手く操れるようになること』か…。
俺はてっきり、両親を体内に入れた時にとっくに俺の力となってくれているもんだと思っていた。そして何体もの霊石を操って人のために霊能霊媒操術者の力を使いたいと思っていた。
天は二物を与えず…とはいったけどよ…
ここまで未知数なものあるか!?
まず根本的に、上手く操れるようにするために場数を踏まないといけない。ってところが解らん。
人に危害加える霊なんて日本中に居るし。座敷童子さんに悪霊情報を聞いときゃよかったな…
相之助「なぁ、姫花、奏太。」
奏太「ん?」
姫花「はい。なんでしょうか?相之助さん」
相之助「親父…龍之介はさ、どうやって飯食わせてきたんだ?俺は何不自由なく育ってきた。ってことは働いていたってことになるんだけどよ。働いてる姿を見たことないんだよな。それって不思議じゃねぇか?」
奏太「ん?そうかな。」
相之助「そうだよ。普段両親共家にいることが多くて、どうやって稼いでたんだ?湧いて出てくるわけでもないしな。」
姫花「私が申しました通り、泉さんも職業、霊能霊媒操術者ですから、霊関係でお金を貯めていらっしゃいましたよ。奥様は専業主婦でいらっしゃいましたね。」
相之助「この力で稼ぐ…か…。どうゆうことだ?もっと詳しく教えてくれ!俺は一応親父に資金としてお金は貰っていたが、いつかは尽きる。それにオレも自立しないといけない歳だしな。」
奏太「基本は、霊を信じてくださってる方からの依頼の手紙や、最近だとネットが当たり前の時代だからネットでの依頼通知を受けたりするな。」
相之助「どんな依頼なんだ?」
奏太「んー。『お祓い』『護衛』『結界張り』『霊占い』とかかな。他にも色々あるよー。」
相之助「んんん!?ちょまて奏太。前者らへんはなんとなく解る、が、最後の霊占いってなんだ。」
奏太「んー。僕もよく解らない…」
なぬっ!?
いざ依頼が来たら困るだろ!!!
姫花「私がご説明しますよ」
相之助「おおおお姫花!助かる!!」
姫花「とりあえずそこのベンチにでもお座りになってはいかがでしょうか?立ち話もなんですから」
き、気がきく…
俺は民宿から少し離れた公園のベンチに座った。
公園か…懐かしいな。まぁ…あまり思い出は無いけどな…
姫花「では、、、
依頼『お祓い』。悪霊の成敗してほしいという依頼のことです。
『護衛』は時間指定付き、不特定多数の悪霊成敗となります。」
ほうほう…。
姫花「『結界張り』は、名の通り指定した場所の結界を行ってほしいという依頼です。中には、成敗せず、霊自体の『結界封印』という内容のもあるでしょう。」
悪霊を、あえて成敗しないのか?
自分に危害を加えるかもしれないのに…それにまで情けをかけるのか…考えさせられるな…この仕事は。
姫花「区分すれば数知れずの依頼の種類がありますが、その中でも霊能師ならではの特殊依頼、『霊占い』。
星占いのように、明日の運気は〜とかではなく、取り憑いている霊のご機嫌を伺ってほしいという依頼でございます。」
相之助「取り憑いてる霊の状態を教えてほしいってことか!?なんだよそれ!どうゆうことだ!?俺にはさっぱり…」
姫花「相之助さん。取り憑くといっても、必ず悪いことをするというわけではありません。例を挙げるとするならば、『守護霊』ですね。その人を護ったり、家に取り憑いてるならば家を護ったりと…。その霊達を敬う方達が、今、守護霊様達は何を感じ取られているのかなどを伺うため私達に依頼をするわけでございます。」
相之助「それが、霊占い…ん?話からすると全く占いじゃなくね!?」
奏太「細かいことは気にしなーい!そうゆう依頼をひっくるめて、霊占いと依頼者達が言うもんだからそういってるだけだからね」
奏太はくすっと笑った。
相之助「で、聞きにくいんだが、その報酬っていうのはどれくらい取れるものなんだ??」
姫花「うーん…その依頼依頼によりますね…」
あーーそー来るよな!聞き方間違った!!
相之助「例えば親父が「護衛」の依頼受けたら、どれくらい貰ってたんだ??」
姫花「泉さんは、貧富関係なく依頼を受けていらっしゃった方でした。報酬額はその依頼者様のお気持ち額だったので…固定した額は言いかねますね…すみません…」
姫花は少ししゅんと俯き落ち込んだ。
相之助「いやいや姫花が落ち込むことはない!その情報だけで十分だ。」
奏太「おお!人の為、自分の為、霊のため、相之助君は動こうとしている!!」
奏太が目を輝かせた。
そうだよ奏太。
親父は困ってる人を見かけたら放って置けないたちなんだよなぁ。
俺は親父みてぇな霊能霊媒操術者になりたい!!
まだまだひよっこで駆け出しだが、親父よりもたくさんの人を守ってみせるぜ!!
で、俺はこの職業で食って行くんだ!
………毎日の宿泊代や、食費、移動費やらで、俺の財布の中は親父にもらった額、すでに1/3減っていた。
あぁ、そうさ、はっきり言ってこっちが本音だ!
『ああー!!!!色んな意味で生きてくのって大変だなぁ!!!!親父ぃぃー!!!!』
俺の嘆きの声は人気のない公園に、虚しく響いた。
続く
話の展開に少しつまずいたけれど。なんとか。
職につくということは、お金を稼ぐということ。
がんばれ!相之助!