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ファミレスにて

プレイヤー視点ではないVRものを書いてみたいとちょこちょこ書いては消しをしてましたが

とりあえず投稿

「えっ、なんだって?」

五つ年上の従兄弟 朴葉 栄治(ほおばえいじ)から半年振りにメールが来て、実家の近くのファミレスに『奢るから来て欲しい』と誘いがあり食い意地に釣られて来てみたら


「うちの会社で開発中のVRゲームのテスターしてみないか?」との言葉

「それって、なんかヘルメット被って、えいやぁとか腕振ったりする奴?」

金欠気味なのでそういったモノに金を使う余裕は無いが、ある程度の流行の話くらいは耳にする機会はある


「みゃーちゃんの言ってるモノは約二世代前の技術だな、うちの開発してるのは視覚・聴覚だけじゃなく嗅覚・味覚・触覚までも再現できるよう取り組んでいる奴だ、ちなみに知覚総合没入型(センソリーフルダイブ)と呼ばれている」


「ふーん、なんだかすごいんだろうね」


「あれっ、みゃーちゃんなんだか反応が薄くねっ? 」


「それってお高いんでしょ? 」


「まぁ、人によって高い安いのラインが違うだろうけど、最先端技術の結晶だから封切り価格として30万は下らないかと思う」


「それって構成要素(コンポーネント)一式で、ていう事なん?  そもそもどんなシステムかもわからんけど、ゴーグルにパワーグローブって物よりも仰々しいんじゃないかと思う、カプセルにごろんと横になるとか」


「ああ。そいつは一世代前の奴だね、一式5億から10億するタイプ」


「そんなん買う奴おるんかっ!!」


「うちらが開発するもんとはコンセプトが違うからな、

そいつは医療用として身体損傷した部位を義肢(サイバネティック)制御(コントロール)する為のテストベッドの意味合いが強い、そいつで集めたデーターを義肢にプログラムインストールする際にユーザー別にカスタマイズするので安全性重視で構築するから宇宙開発業界レベルの製品コストがかかってしまうな、もちろん個人じゃなく病院や軍事関係が顧客だ」


「600万ドルの男」


「みゃーちゃん、ネタが古いね、歳いくつよ。

患者ひとりひとりにそれだけかかるんじゃなく、義体を動かすのに脳の運動野のパターンを読み取り作動させる――プログラミングの前段階を組む――機械開発にそれくらい手間かかった、て事だ」


「数億の世界からン10万のオーダーに下げたのって、すごくない? 」


「現実の機械を脳波で動かす、のとは条件が違うからね、仮想空間を構築して脳が錯覚するのが基本概念(コンセプト)のプロジェクトだからね飛行機や車も現物を組み立てるわけじゃない」


「いま、さらっと言ったけど先ほどのン億円する奴、義手や義足で留まらないでしょ、絶対無人兵器と関係してるんじゃないの?! 」


「んー、鋭い指摘だけど軍事はもう一桁かかると思うよ、アメ○カのように潤沢に予算掛けてもらえないと思うね、わが日本(ジャポーン)は」

 口調は無実だと訴えてるが目が泳いでいるから後ろ暗い事に関わってるんじゃないか心配だよ


********************


 「ゲームのスタイルはクラフト・ビルドタイプ、俗に言う『建設ゲー』と言う奴だな、それに探索と冒険、サバイバル要素を含んだものだ」


 従兄弟の奢りで「本日のランチメニュー」のスパゲッティー&ミートボールをフォークでもぐもぐしてると開発中のゲームの事を色々説明してくれる


「それってマ○ンクラフトみたいな? 」


「ぶっちゃければそれの発展型と思ってもいい、ドット絵じゃなく細密ポリゴンテクスチャーで、アルコロジー……人が中に出入りできる建物にプレイヤーが操作・干渉可能な仕様と成る予定だ」


「んー、平たく言うとカプ○ンの格闘ゲーで建物や車をぶっ壊すみたいな? 」


「あれは破壊不能な背景と別レイヤーで破片とかをスプライト描写してるから別の話だな

プレイヤーが建設した構造物は遠くから見てアイコン表示とかではなく近づいたり遠ざかったりすれば拡大・縮小した視界をシームレスで感じる……予定だ」

「初期配置した建造物は破壊不能にしておく設定だが、プレイヤーによって建てられた構造物は持ち主はもちろん、それ以外のプレイヤーによって付け足したり撤去出来る仕様となる」


「それってずいぶん殺伐した世界となる予感しかないんだけど」


「みゃあちゃんが危惧する気持ちはわかる、壊せるとわかったら『とりあえず壊してみるか』と試すものも出るのは開発の側としても想定内だ、ただ、このゲームの基本は『誰かが壊したものは誰かが直さない限り元には戻らない』

だから無軌道な破壊行為は廻り廻ってプレイヤーの不利益と返ってくる、たとえばパン屋の店が魔法の流れ弾で全焼したら再建しない限りプレイヤーは狩りの弁当を買えなくなるとか、河に架かる橋を落としたら往来できなくなるとかな」


「いや、『想定内です』とドヤ顔で言われてもフォローになってないからっ! 」


「『誰かがしないと不便なまま、ならばどうするか、じゃあ俺が大工になってやろうじゃないか、スキルも比較的習得容易な仕様だしな』と、あるプレイヤーが立ち上がる」


「その心がけは立派だけどプレイヤーにそれ言わせるのは無理ぽいよっ! 」


「ん、だからその『プレイヤー』はサクラなのw 」


「へっ!? 」


その時の私は相当間の抜けた表情をしてたらしい、

従兄弟はくすくす笑いながら自分の注文した分のハムサンドに手をつけ「みゃあちゃんは素直でいいなぁ、」とほざく


「確かエーちゃんは『開発』の話をしてたんだよね、さっきのは開発の部門がする内容じゃないでしょ」


「プレイヤーが大工とかパン屋とか生産職のスキルをとる、と言うのは各人の自由だけど、取ったスキルでその後のゲーム活動の幅が限定されてしまうのは開発としても望むところではない」

 ミルクとシュガーを入れたホットコーヒーをスプーンでかき混ぜながら栄治は「開発としての立場」を説明する。


「プレイヤーが世界に関与するための仮初(かりそめ)の体、それが分身体(アバター)である。ちなみに『見ることはできるが触ったり動かしたり出来ない』のは幽霊体(スペクター)な、後々のバージョンでは幽霊と会話できたりする技能(スキル)を持たせる予定もあるが、それは置いといて」


「正式オープンする前のβテストの間にこの箱庭世界の住民、所謂(いわゆる)ノンプレイヤーキャラの雛形となる存在をプレイヤーにメイキングさせる予定なんだ、それらの何体かはうちの会社の社員が手掛けると聞いている」


「NPCのAIの構築はゲーム会社が組むのは当たり前すぎる気もするけど」


「まぁ、そうだな。 ゲームの進行に必要な情報提供のフラグとしてNPCの発言アルゴリズムを仕組むのは当然の話だが、ここでNPCを単なるメッセージボードにしたくないと考えてる」


「でもさ、『会うたびに会話内容が違う村人』てプレイヤーからしてみればイラつくんじゃないかと思うよ?

フラグを建てて情報内容が更新されたと思えば達成感をくすぐられるけど、街角で会うたびに話しかけないとならない、と思われたら『クソゲー』と言われると思う、メインシナリオライターが統括してるならともかく複数のライターがセリフを各自バラバラでやっちゃったら、おまけにプレイヤーにそれやらせるん? 」


「あぁ、みゃーーちゃんの危惧するのはコンシューマータイプのゲーム、『ゲームクリアーには情報収集しなくてはならない』と言うスタイルをとる奴だな。 MMO――大規模(マッシビリティ)多人数参加型(マルチプレイヤー)通信(オンライン)――にもそう言った要素はある事は否定しないが『巨悪を倒せ』『世界の破滅を回避せよ』とか言うのはキャンペーンシナリオとかグランドクエストとかでの世界の雰囲気(フレーバー)程度だな、ネトゲで大事なのはゲームクリアじゃなく『そこに居て過ごして楽しいか』なんだと思う」

 栄治はそう言ってややぬるくなったコーヒーを一口飲む。


「話を戻して『プレイヤーにNPCの雛形を作らせる』と言うシステムだが……」

 栄治はそう言い掛けてちらりと私の皿に視線を向ける。


「食べ終わったようだし、続きは現場に行ってから説明した方が良いだろう。6時くらいまでかかると思うが帰りは俺の車で家まで送るから良いだろ? 」


「受けるとはまだ言ってないんだけど」


「今から行くと半日ぶんの日当として1万だそう、朝から仕事するなら2万5千でどうだ? 」

朝から6時くらいの勤務で2万5千はなかなかおいしい仕事に思える……が、IT業界それもゲーム開発はなかなかのブラックだと噂に聞く……すぐにOKせずにまずは確認。


「『朝から』と言うけど、何時から? まさか夜明け前と言わないよね? 」


「あはは、まさか、通常の常識の範囲だよ」

そう言う栄治の目が一瞬泳いだのは見過ごすわけには行かない


「世間の常識といわず『通常』と言うのが怪しいんだけど、で、朝は何時からの話? 」


「6時……」


「朝6時から夕刻6時、つまり12時間勤務と言うことよね、世間一般的に『常識』と言い難いと思うんだけど」


「悪かったよ、んじゃ8時半出勤で9時から勤務開始で3時間ごとに休憩15分、昼食時間は45分で日当2万7千でどうだ? 」


「まぁそれならいいかな、いまエキストラとかの仕事も無くて金欠で欲しい服も幾つかあるし」


「じゃ取り合えず2ヶ月ほどNPCのビルド作業に就く、と言うことで契約してもらえるかな?」


「……2ヶ月って、もしかしてベータじゃなくアルファテストと言う奴なん?」


 アルファテストとは開発初期の動作確認試験作業の事だが、当然ながら『バグが有って当たり前』と言う点では後の段階のベータテストと同じである。重要な相違点は『致命的な欠陥』や『重大な不具合』と遭遇する可能性が高く、テストの際細心の注意と高度な知識とスキルを求められる。

 従来のモニター見ながらゲームパッドを操作するゲームならバグが出てフリーズしても「このクソが」と机叩く程度で済むが、知覚総合没入と言う奴はあれだよね、気絶したりめちゃ痛い思いしたりする可能性もある。


「んー、アルファテスト的要素があるのは否定しないけど、村人の雛形となるAI学習だからモンスターとの戦闘とか組んでないから、いわゆる生産職に該当する奴ね」


「それならBOTで良いんでは? どちらかと言うとプログラマーの仕事で、わざわざ中身入りでやるような事じゃないと思うけど」


BOTは複数のプログラムを組んで指令を出せば後は放置してもオートで作業を繰り返す便利な存在だ。

 従来のMMOゲームでも初期は複数アカウントを取って外部ツールでゲーム内通貨を稼ぐ連中に対し利用停止など強硬策を取る運営とのいたちごっこが恒例行事だったが、そのうち公式BOTツールを配布してプレイヤー1アカウントに幾つまでという制限付きながら自動で採取や製造ができるキャラクターを複数持つ事が可能となり、不正チートは大分減った、皆無とならなかったのは人のごうなのだろう。


「みゃーちゃんの意見ももっともだけど、採取や採掘ポイントの|リポップ(再出現)が定位置と決まってない仕様だから従来のマクロでは止まってしまうだろうと予想してる、そのための自己学習型なんで初期にはプレイヤーの行動規範を学習して『個性』を持たせる必要がある。

 事前の指定した位置に目的の素材がない場合、拠点に戻って手持ちの素材で必要とされる加工品アイテム生産するのか、そのまま拠点外で別の場所で最初に指定された素材探して採取をするのか、手近にある別素材を採取するのか等々ね。指示待ちでボーっと突っ立ってるBOTは見たくない」


「駄洒落か」




その後色々論議したが30分過ぎで従兄弟エーちゃんの言う「現場」に行く事となった

とりあえず「危険はない」との言葉を信じて「百聞は一見に如かず」と思ったのも事実



 契約条件が甘かったと後から思い知る



未知科学いわゆるムーねたを放り込もうと思いましたが

会話文に入れるか地の文とするかで手古摺りました、それらは次回で入れられたらいいなぁ……

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