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交差する四人の恋物語  作者: 月夜ムラクモ
一章
5/7

涼の過去 [天音視点]

 俺は 坂上 天音、いたって普通の高校生だ。

俺には親友がいる。名前は 市川 涼、という。

涼は優しい性格で、頼まれたら断れない性格だ。昔から明るくて、皆に好かれてて……暗くて地味で、何故か誰にも話しかけられない俺とは真逆の奴だ。


涼とは三歳からの付き合いで幼馴染みでもある。俺にとって涼は弟みたいなものであり、兄みたいなものだ。


だけど、最近涼が何かおかしい。『近づくとお前まで嫌われるぞ!!』とか

『お前しか俺を分かってくれる人はいない』とか、情緒不安定なのである。


何故そうなってしまったのかを聞かれると心当たりしかない。原因は『アイツ』だ。


アイツが涼を壊したんだ。『アイツ』があんなことを言うから、今まで真面目だった涼が不真面目になり、お人好しだった涼は人間不信になったんだ………


そう。この話は二年前に遡る────────────────





────────二年前、涼はある少女からの告白を断った。


毎日のことのように告白されていた涼にとって、それは珍しいことではなかった。だけど涼に告白した少女は明らかにおかしかった。他の奴に聞いてもいい噂は聞かない、むしろ悪い噂ばかりだった。ラブレターで呼び出されているらしいから俺は涼の後を付けていき、告白現場を見ることにした。


涼に付けていくと、そこは路地裏だった。


………涼、お前はアホだと思う……こんなところに呼び出されて行くやつがあるか……


少女が愛の言葉を口にする。


すると涼が口を開く。


「ごめん」


涼が言うと少女が言う。


「ねぇ…これ見てよ」


そう言い少女は赤い液体が滴り落ちる、ボールみたいなものを手に持っていた。

よく目を凝らして見るとそれは女の生首だった。


「う”っ……………」


これには思わす声が出る。

涼は


「へ~。よくできた人形だねぇ~」


 と平常運転だった。これが人形に見える涼はある意味天才なのかもしれない。


しかしこれはただこれはただ事ではない。これ以上は涼が危ない。


そう考えた俺はスマホを取り出して警察に連絡した後、涼にメールをした。


メールには『速くそこから逃げろ!!』とかいた。


それを見た涼がキョロキョロと辺りを見回す。すると涼と目が合い、涼が近づいてきた。


「お~い、天音」


それを見た少女は驚いた顔をしてバックから刃渡り20センチはあるナイフを取り出した。どう見たって銃刀法違反だ。


少女は


「あ~あ。涼くんにふられちゃった……邪魔な女を排除したのに男にもいたか~」


という。そして


「涼くんが私だけのものになるように殺してあげる」


と涼に襲いかかる。


涼はやっとこの異常事態に気づいたのか俺に助けを求めてくる。


「天音!!助けて!!」


言われなくてもそのつもりだよ!!


俺は涼を後ろに逃がして少女の前に立ちはだかった。


「退いてくれます?涼くんを追わないと……」


少女が言う。それに対して俺は言う。


「お断りだ。こんな糞みたいな顔面凶器をいかせるくらいだったら死んだ方がましだ」


すると少女は思っていた通りの言葉を発する。


「では死んでください♪」


少女は俺をめがけて斬りかかってくる。その太刀筋はそこら辺の素人とは違った。そして俺は気づいた。


コイツ………有段者か!


そう。少女は剣道の有段者だった。


武器を持っていない俺にとってはかなり不利な状況だったが、太刀筋は読めないことはなかった。










かなりの時間、少女の攻撃をかわして流石に太刀筋が読めるようになってきた。



次は顔を狙ってくる!!そう思い顔をガードすると突然少女はナイフの軌道を変えて足を狙ってきた。


ヤバイ!!


そう思ったがもう遅く、ナイフは俺の足に突き刺さった。


「がぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁあぁっ!!」


静かな路地裏に俺の叫び声が響く。


「ふふふっ。流石と言っておきます。全国二位の天音さん♪」


ああ、ここまでか……


そう思うとやっとパトカーのサイレンが聞こえてくる。


「あら?あなたが読んだんですね?まったく鬱陶しい………すぐに楽にしてあげますから」


少女はそう言いナイフを振り上げる。


ああ、ここまでか……涼、今までありがとう。


俺が死を決意すると銃声が聞こえた。


「きゃっ!」


それと同時に少女の持っていたナイフが吹き飛ばされる、


「え?………」


思わず俺は銃声がした方向を見た。するとそこには少女のナイフだけを綺麗に打った涼と、警察官の姿があった。


「天音、お前………大丈夫か?」


さすがだよ……


「ああ。死にかけたけどっ」


最高の親友だ。


「ふざけないで………」


少女が言う。


「ふざけないで!!私の…私だけの涼くんに話しかけないで!そのために涼くんに話しかけてた女子を殺したのに……何で私を見てくれないの!?涼くん!!涼くん涼くん涼くん涼くん涼くん涼くん涼くん涼くん涼くん涼くん涼くん涼くん涼くん涼くん涼くん涼くん涼くん涼くん涼くん涼くん!!」


「狂ってやがる……」


俺は呟いた。


「俺のせいで死んだ?友達が?俺のせい?俺のせい俺のせい俺のせい俺のせい俺のせい俺のせい俺のせい」


涼は壊れた。このときから涼はおかしくなった。学校でもこの話題で涼の悪い噂が流れた。


それから涼はしばらくの間引きこもってしまい、人と関わるのを避け、関わろうとしていく奴は返り討ちにされ、あげくのはてには落ちこぼれだの不良の烙印を押された。


少女の名前は 白鳥 瑞希、みんなはこの事件を『白鳥事件』と読んだ。

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