8話
ちょっと上位者の文章の短いの読んだけど、無理です……読む人がというより書く側のバイブルが消化不良になってしまいます。
しかし、1日複数話上げるとか毎日更新ならともかく、日が空いてて、よく愛読してる人は展開を繋がって覚えていられるなと感心してしまいました。バイブルなら間違いなく忘れます(笑)
俺は壁から生えた桃、もとい、クリカのお尻を凝視しながらどうやって抜けさせるか考えていた。
勿論、とりあえず引っ張るや押す方法は既に試した後である。
ちなみにチャロンもクリカもノープランで、最悪、壁を壊すしかないと思っているようだが、壊すと厄介な展開になる恐れの方が高い為、躊躇していた。
まあ、穏便に済ませる事に悪い事はないな、と俺も思うので今も悩み、麗しいフル―ティを眺めている訳である。
「旦那様? 徐々ににじり寄るようにクリカさんのお尻に近づいてらっしゃいますよ?」
「えっ、そう? 真剣に悩んでたら気付かなかったよ」
言われてみれば、クリカのお尻が大きくなっているような気がしていたが、どうやら自分が近づいていってたというカラクリらしい。
クリカ、恐るべしである。これがハニートラップと言うモノか……
俺は、いやぁー困った困ったと言いたげの顔を意識して振り返り、美砂の顔を見た瞬間に正面に顔を再び向ける。
そこにいたのである。そう、鬼女が……
「旦那様? 嫁でもない方にそういうのはお控えになられてくださいね?」
「いえーすぅ、剣太郎、じぇんとるまん!」
俺は美砂の顔を見つめる勇気もなく、あっさり降伏宣言をする。
美砂に冷凍光線を浴びせられている俺に、チャロンが声をかけてくる。
「で、ケンタロウ、何か良い手があるか? 私はまったく思い付かないのだ」
「そうだな……」
俺が淵だけでも少し壊して出そうか?と提案しようとした時にカバンが声をかけてくる。
「坊主、壊す前にまずは滑らせる事を考えたらどうじゃ?」
「滑らせる?」
カバンに答えた言葉を拾ったチャロンが、「そうなのだっ!」と手を打って笑みを見せるがすぐに意気消沈する。
「一瞬、それだ! と思ったけど、落ち着いて考えたらロンロン草の時期が完全に外れているのだ。滑りを良くするモノがないのだ」
どうやら、この世界の滑りを良くする植物がロンロン草と言うらしいが時期が外れているらしい。
俺は、小さい声でカバンと声をかける。
「ああっ、お前の世界のモノもワシにかかれば簡単だ。いつも通り、イメージしてワシから出すがいい」
意気消沈するチャロンの肩に手をのせて自信ありげに微笑むとチャロンが顔を真っ赤にさせる。
「大丈夫、滑るモノに心当たりがあるから俺に任せてくれ。チャロンと美砂は顔の方に行って、俺が合図したら引っ張ってみてくれ」
俺はチャロンに「いいか?」と聞き返すと目を反らしながら小さくコックンと頷いてくる。
振り返り、美砂を見ると「分かりました」と微笑んで頷かれる。
2人は連れだって、表側に移動するのを確認した俺は、カバンに手を突っ込み引き出す。
「これだっ!」
俺が取り出したのは、蜂蜜が入ってそうな入れモノの中に半透明の液体が入ってるものであった。
ドヤ顔する俺にカバンは呆れた声で言ってくる。
「坊主、滑るモノでいいなら、シャンプーなどの洗剤やオイルでも良かったんじゃないのか? 敢えて、それを選択する坊主は、思春期じゃな」
「う、煩い! 俺はこれが一番滑ると思ったんだっ!」
カバンの突っ込みが痛い俺はそう言い切るが、俺、嘘付きましたぁ!
そりゃね? 俺だって、オイルのほうが滑ると分かってるよ? でも一度は使ってみたいという欲望が俺にだってあるんだ!
そう、自己弁護に忙しい剣太郎だが、何を出したかというと分かる人にはもう分かっているだろうが、そう『ローション』である。
大人のお店や、大人な映像で時折見られるアレである。
何故、剣太郎が大人のソレをイメージできたか? それは貴方の10代の頃を思い出して貰えば答えは出るでしょう。十中八九、映像です。
「まあ、滑るモノには変わらんから試してみるといいじゃろ」
そう言うカバンに、「俺は下心はないんだからな?」とブツブツ言いながら、ローションをクリカの腰の辺りにかける。
「ひゃあ――、冷たいのぉ!」
「馬鹿モン、これだから使い方も知らん坊主は、ローションもサンオイルも直接かける馬鹿をする。どちらも手で馴染ませてから塗らないと冷たくて相手にいい迷惑じゃ」
突然、冷たいモノをかけられたクリカの泣き事を言う声と叱るカバンの言葉に俺は、「スマン」と謝る。
そうか、手で馴染ませてあら使うモノなのか、と納得して掌にローションを垂らすと意外に冷たいと知り、クリカに悪い事をしたな、と思いつつ捏ねる。
クリカはミニスカートにスポーツブラのような格好で露出が多いので、助かったな、と思いつつ馴染ませたローションを塗り始める。
「あっ、今度は冷たくなくて、ちょっと気持ちいいですぅ」
少し嬉しげな声を聞いて気を良くした俺はローションを追加して挟まってる所から満遍なく塗り、2往復目に行こうとした時に異変に気付く。
こちらから見えるクリカの肌が紅潮しているのである。
一瞬、ローションによるアレルギーの類かと心配していると反対側から声がする。
「く、クリカ、大丈夫なのだ? 今までに見た事ない顔をしてるのだ」
「指がこそばゆいような、痺れるようなぁ、あぁぁっ!」
「旦那様っ! 何を為さってるんですかっ!」
「いや、ローションを塗ってるだけだぞっ!」
クリカの艶っぽい声が聞こえてきて、俺の頬も紅潮してくるのが分かる。
そんな俺が面白いのか、カバンが笑ってくる。
「かっかか、予想外に面白い事をやらかす坊主じゃ。ここまでやったらさっさと終わらせたほうがいいじゃろ。チャッチャとやってしまえ」
俺は慌てて塗る作業を再開する。
すると向こうでは更なる事件が発生していた。
「あぁっ、はぁはぁ、お姉ちゃん……」
「どうしたのだ? クリカ、頑張るのだ」
どうやらチャロンがクリカを必死に励ましているようである。
「どんどん、体が痺れてきてぇ、力が入らなくなってきたのぉ」
「おおっ、なら今なら抜けるかもしれないのだ、ミサ、ちょっと引っ張ってみるのだ」
嬉しそうに喋るチャロンが美砂に呼び掛けるがクリカが悲痛の声を出して止める。
「まっ、待ってぇ、お姉ちゃんっ! 違うのぉ、さっきから我慢してたんだけどぉ、実はクリカは、おしっこを我慢をしてたのぉ……」
クリカのセリフに壁を挟んでいるが3人とも沈黙してしまう。俺も塗っていた手を思わず止めていた。
そんななかでもカバンはマイペースに呟く。
「ふむ、これは結構、緊急事態じゃな」
「結構じゃねぇ、マジで緊急事態だ。チャロン、美砂! それなりにローションは塗ったから引っ張ってみてくれ」
「わ、分かったのだ」
「クリカさん、引っ張りますから頑張ってください」
2人が一斉に引くと少しだけ向こうに行くのを確認した俺は、壁との接地面にローションを追加して「頑張れっ!」と叫ぶ。
徐々に抜けていき、お腹が壁に挟まるような形になった時に切ない声が漏れる。
「あっ、あっ、お姉ちゃん、クリカ、もう駄目ぇ~」
シャァーという音とアンモニア臭と湯気がクリカのお尻から発生する。
それと同時にクリカが壁からヌルリと抜けて、壁の穴越しにチャロンと美砂と目が合うが、居た堪れなくて、どんな顔をしたらいいか分からない顔をしていた。きっと俺も似たような顔をしていただろう。
この場は痛いほどの沈黙で支配される。そんななか、俺は湯気が昇った先の星空が見え始めている空を眺め、街の喧騒とクリカのシクシクと泣く声を聞きながらカバンに声をかける。
「なぁ、カバン。今日あった事を無かった事にする道具はないか?」
「ある訳がないじゃろ」
俺は、「そうだよな」と呟き、空を眺めるのを止めて壁の向こうで泣くクリカと目が合うと号泣される。
この後、どうしようと俺は途方に暮れた。
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