7話
どうしてだろう、この話の半分ぐらいに纏めたいと思ってるのに、いつも通りになる……
他のなろう作家の人で、この半分ぐらいの分量で書いてると思われる文字数の人が結構上位にいるけど、どうやって纏めてるか一度、見た方がいいのかもしれないと思い始めるバイブルでした。
俺は美砂と共に森を抜けた先にあるポポロンという名前が美味しそうなお菓子を連想できて、メルヘンな街なのではないかと思って楽しみにしてた。だが、遠目で裏切られて、近くに来ても裏切られるという1度で2度裏切られるという体験をしていた。
「ふ、普通だ。よっぽど自由都市のほうがメルヘンしてたな」
着いたポポロンの街並みはレンガ造りで、メインストリートは石畳の中世のヨーロッパの景観である。
「旦那様、どうかされましたか?」
「いや、ポポロンって名前からかなりメルヘンな造りの街かと思っていたからちょっと裏切られたような気分になってたんだ」
落ち着いて考えると元の世界と比べると充分メルヘンで異世界らしい場所であるが最初の自由都市がぶっ飛んでいた。
「なるほど、自由都市が普通ではありませんからね。自由都市から北に行けば行くほど、レンガ造りな建物と木造の建物ばかりになっていきますよ」
そう微笑みながら答える美砂は、「きっと旦那様のいた世界とはだいぶ違うんでしょうね……」と言われた。
ちなみに、美砂にはポポロンに来るまでに自分はこの世界の住人じゃないという話をしたが、いずれ、俺が元の世界に自分を置いて去るのか、と言う事をかなり気にされたが、帰る時は一緒じゃないと帰らないと答えると安心された。
俺は、親に無事である事と嫁ができたと報告ができればな、と思ってるという事をはっきり伝えると泣いて喜ばれた。
俺は、美砂が突飛な話をあっさりと信じた事が疑問に思えたので、質問してみると「旦那様が言われるなら、きっとあると信じております」と言われ、信頼全振りの言葉投げかけられ、嬉し恥ずかしいではなく、嬉し怖しである。
俺が間違ったらどうするのだろうと心配でしょうない。
そんな心配をしている美砂は俺と手を繋いでご満悦な表情で俺を見上げている。俺がこの笑顔を守っていこうと決意を新たにした。
「さて、今日はこの街で宿を探して、今後の方針を考えようか?」
「はい、そうしましょう」
基本、この子は俺の言葉を否定してこないから了承してくるとは思っていたが迷いもなく了承してくるので苦笑する。
苦笑する俺に首を傾げる美砂から空に目を向けて、もうすぐ夕焼けになりそうな気配を感じ、急いで捜そうと辺りを見渡していると人だかりができてるところを発見した俺達は顔を見合わせる。
「なんだろう? ちょっと見に行ってみようか」
「そうですね、行ってみましょう」
頷き合った後、俺達は人だかり中に身を投じる。
「やめるのだっ! そこの者、妹の体を弄るではないっ!」
少女の金切り声が聞こえる。
人だかりを超えた先には、メルヘンがあった。
なんと壁から食べ頃の果物を連想させそうなお尻が生えていたのである。そのお尻を固まる男共が触りたい放題していた。良く見ると辺りにいる者は全て男ばかりであった。
「ひーん、おねえちゃん! 男の人にオッパイを触られてる!!」
「ちぃ、今度はそっちか、いい加減諦めろなのだ!」
舌打ちした少女を見て、首を傾げる。あのお尻の持ち主の姉とはとても見えない小柄な少女だった為である。
しかし、いくらあの瑞々しいお尻を触りたくなったとして嫌がり、抵抗できない女の子を弄ぶのは言語道断と怒りに震えていると後ろから美砂の短い悲鳴が聞こえる。
「きゃっ、誰ですか? 胸やお尻を触らないでください! これは旦那様のモノですっ!」
その言葉を聞いた俺の何かが切れる。
「カバン、やっちゃうよ?」
「おう、やったれ、男としても風上に置けない奴らに鉄槌をっ!」
俺はカバンを弄り、取り出すと美砂に警告をする。
「美砂! 耳を塞いでしゃがめ!」
「えっ? はいっ!」
俺の言葉を疑いもなく、触られるのを阻止してた手を耳に当ててしゃがむ。
俺は100円ライターで取り出した導火線に火を点けるとバチバチという音が響き渡るのを男共の中心に投げ込む。
パッパパラン、パパッパパ!!!!
激しい炸裂音が響き渡る中にどんどん追加だとばかりに放り込んでいく。
その音に驚いた男達は蜘蛛の子を散らすという言葉を体現するかのように逃げだす。
俺が投げ込んだのは爆竹である。
辺りに誰もいなくなっても耳を塞いでしゃがむ美砂の肩を叩き、手を外していいとジェスチャーで伝えるとやっと立ち上がる。
「悪は去ったっ!」
美砂が俺に拍手をしてくるので調子に乗りかけるが、
「ひーん、オッパイを力任せに握られて痛いですぅ!」
「ええい、いい加減に止めんと魔法をぶっ放すのだっ!」
その言葉を聞いて、まだ表があった事を思い出した俺は美砂に決め顔をして言う。
「表の悪も駆逐してくるっ!」
「いってらっしゃいませ、旦那様」
そう言うと火打石を叩いて見送ってくれる。
俺は頷くと「パッパーラ、ララ!」と軽快に叫びながら壁を廻り込んで群がる男に特攻するようにして再び爆竹をたらふく放り投げた。
そして、悪は去り、目を廻すギリギリ少女といった白髪の尖がった耳をした草で編み込んだようなワンピース着る娘がフラフラとしており、壁に挟まった同じ白髪の美砂と同じぐらいの年に見える少女が完全に目を廻して気絶していた。
やり過ぎたかと思った俺はふらつく少女の肩を掴み、軽く揺すりながら声をかける。
「スマン、ちょっとやり過ぎた。大丈夫か?」
軽く揺する内に目の焦点が合いだし、俺を見つめてくる。そして、辺りに男共が居なくなってる事に驚き、喜びを前面に出す。
「おお、お主が追い払ってくれたのか? 助かったのだ、あのままいってたら魔法を打ってお尋ね者になる覚悟をするとこだったのだ」
俺の手を取ると大袈裟に上下にシェイクしてくる。
「おおう、感謝してくれるのは嬉しいが、壁に挟まっている子をなんとかしないといけないんじゃないか?」
「そうだったのだ、クリカ、寝てる場合か! 目を覚ますのだ!」
少女は、妹?クリカを遠慮のない平手打ちを入れる。
それで目を覚ましたようで、目を覚ますと慌て出す。
「なんで、私、体が壁に挟まってるんですぅ?」
「本当にお前は馬鹿なのだ。寝たらすぐ忘れるその頭をなんとかするのだ。さっきまで男共に体を弄られて泣いてたのだ!」
挟まってる少女は顎下に指を当てると「うーん、うーん」と悩みながら首が90度曲がるかというところで思い出したようで、再び泣きだす。
「そうだった、おねえちゃん、助けて。このままだと干からびて死んじゃうよぉ!」
どうやら、話がやっと出発点に辿り着いたようなので、近づいて状況確認をする。
「で、こんな状況になった理由を聞いても良いかな?」
近寄ってきた俺を見て、身を固くして胸を守るようにするクリカ。
「だ、誰ですか! 男の人はエッチな人ばかりですっ!」
「まあ、エッチなのは否定はしないけどね……」
軽くヘコむ俺を見て慌てた少女がクリカの頭を叩いて怒る。
「その変態共を追い払ってくれた恩人に言う言葉か、この愚か者なのだっ!」
「ひーん、ごめんなさいぃ~」
謝る相手が違うっ!と再び叩かれたクリカが俺を見て涙目で謝ってくる。
「そんなに気にしてないからいいよ。それより事情を聞いていいかな?」
遠くからこちらの様子を見ていた美砂を手招きしながら、少女に問う。
「おお、そうじゃった。その前に改めて礼を言うのだ。私の名前は、チャロンと言うのだ。こっちの馬鹿者はクリカ。残念ながら私の妹なのだ」
「えっと、妹さんなんですか?」
こちらに来て、事情を俺の隣で聞き始め、遠慮気味に聞く美砂。
「まあ、そう見えるのは私も分かるのだ。でも本当に血の繋がった妹なのだ」
口をへの字にする少女、チャロンはそう言ってくる。
「ふむ、あれは一種の呪いじゃな」
カバンがそう言ってくるので、「どういう事だ?」と小声で問う。
「時折、空間に歪が生まれる事がある。そこに体を突っ込むとかかる呪い、現象のほうが正しいのか、成長速度が速くなる。あの娘は長寿のエルフだから大袈裟に騒ぐ事もなかろうが、人なら2年ほどで老衰で逝ってるな」
そうカバンに説明された俺は隣で不思議がる美砂に伝える。
「美砂、あれは一種の呪いのようだ。成長速度が速くなってしまう類のな」
そう言うと美砂とチャロンが劇的な反応を見せる。
「お主、これが呪いと分かると言う事は、解き方を分かるのかっ!」
「旦那様に近寄らないでくださいっ! 旦那様に呪いが移ったらどうするのです!」
俺に駆け寄ろうとするチャロンとそれから俺を守ろうとする美砂が睨みあう。
俺は、カバンを軽く叩く。
「声をかけにくいからと言って、気軽に叩くな。聞きたい事は、移る事と治す方法だろう? 移る事はないし、治す方法もあるが、元の状態に戻す事は無理だがな」
そう聞いて、頷くと美砂の肩に手を触れて、優しく押し退け「大丈夫だ、これは移る類の呪いじゃない」と微笑むと本当に安心したように頬笑み返して退いてくれる。
俺を睨むように見つめるチャロンに答える。
「治す方法というか進行を止める術ならある」
「本当なのか? すぐになんとかして欲しいのだっ!」
チャロンは俺に縋るように言ってくるが、その肩を押さえて落ち着かせる。
「まあ、落ち着け。その前にあの状態をなんとかしないと」
そう言われてバツ悪い顔をするチャロンに、事情を再度聞く。
「そのなんだのだ……穴があったから入りたくなったとかじゃないかと……」
俺から目を反らして言うチャロンは頬を染めて羞恥に身を焼かれる。
チャロンから、クリカに目を向けるとドヤ顔したクリカが言ってくる。
「頭から入るのが怖かったからお尻から入ったら、退く事も進む事もできなくなりましたっ!」
それを俺と美砂は虚ろな瞳で見つめる。
「きっとあの娘、同じ理由で歪に入ってかかったのだろうな……」
カバンの呆れた声を聞きながら、俺はクリカに問いかける。
「君は馬鹿な子なの?」
その言葉にクリカは、泣き声もなく涙を溢れさせる。
「ひ、否定できないのだ。こんな妹でごめんなのだ」
悔しげに泣くチャロンを見つめて、どうしたらいいのだろうと色々悩んで夕焼けになりつつある空を茫然と眺めた。
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