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神様のかばん  作者: バイブルさん
2章 駆け出しギルドマスター編
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39話

 亀更新でごめんよぉ(泣)

 全力疾走する俺の背後からガシャガシャと金属音を鳴らしながらも少しずつ近寄ってくる音に俺は恐怖を覚えていた。


 こちらは身軽な格好でこれでも『魔神の体力』というチートなユニークスキル持ちが全力で走っている。


 なのに、今、背後から聞こえる金属音が甲冑や鎧が鳴らす音のような気がするのである。


「ご主人様、お待ちになって! セレナ、もうちょっとです、頑張ってください!」

「はい、私が頑張って走りますので、ミゼット様はその無駄肉、駄肉を減らしてください」


 駄肉と言われたミゼットがセレナに抗議する呑気な声が徐々に近づいてくる事に恐怖する。


 振り返りたい衝動と戦う俺にカバンが諦めに似た声音で言ってくる。


「坊主、あのセレナという娘、お前の嫁レベルの化け物かもしれんぞ?」


 カバンの言葉を聞いた瞬間、誘惑に抗えずに振り返るとセレナがいた。



 何言ってるか分からないよな?


 振り返ると俺の鼻がセレナの鼻とこんにちは、したんだよ?



 ハッハハという笑い声を上げるセレナの笑み全開の表情に恐怖した俺は悲鳴を上げた。




 思わず、足を止めた俺は一気に疲れがきて座り込む。


 座り込んで見上げるセレナは息切れもせずに爽やかな笑みを浮かべながら小脇にミゼットを抱えていた。



 マジか、ミゼットを抱えたまま走って追い付いてきたのか……



 2人共、鎧を着ており、ミゼットは軽鎧タイプの要所を守るタイプの金属鎧だが、セレナが着る鎧は騎士鎧だ。


 そんな重量を抱えて追い付いてくるなんて、化け物である。しかも、息切れもした形跡も発見できない。


 これは強引な方法ではどうにもならないと判断した俺は腰を据えて話をする事にする。


「ああ、もう、少し腹を割って話そうよ? 出会いからバタバタしてどう判断していいか分からない事が多過ぎるよ」

「はい。ご主人様がそう仰るなら何でもお答えします!」

「そうですね、このままバタバタしてても楽しい……時間の無駄ですからね」



 今、セレナ、楽しいとか言わんかったか?



 何やら突っ込んだら負けな気がした俺は飲み込むと話し始める。


「まずは言い出した俺からね? 俺はこの先にある場所に用があるんだ。だけど、教えてくれた人が他の人を入れないように言われてるから付いてこられると困るんだけど?」


 物欲が強い相手であれば、悪手だが、この2人はそういうモノにはあまり拘らないタイプに見えたので直球で攻めてみる。


 すると、ミゼットは申し訳なさそうな顔をするとペコリと頭を下げてくる。


「それで走って逃げられたのですわね。本当に申し訳ありません」


 予想通りというより、予想以上に物欲がないのか、奥にある物の価値を値踏みしようとしてこない。


 セレナは再び、無表情になっており何を考えてるか分からないが、ミゼットに「ご主人様の邪魔してはいけませんわ」と言われて素直に頷いている。


「で、そっちは滝の裏で何してたの?」

「実は最近、家から独立しまして、腰を落ち着ける場所を捜してる最中で仮住まいに使えないかと見てたところでして」

「本当の所は、兄弟姉妹が多くて面倒見れないからと少ない路銀を与えられて犬猫のようにポイされた次第で?」


 上手く説明しようとしてたミゼットの段取りをぶっ壊すセレナの身も蓋もない説明に俺はどう触れたらいいか目を彷徨わせる。


 言われたミゼットは顔を真っ赤にしてプルプル震えているが今回はどうやら興奮しての事ではなく羞恥のようだ。


 どうやら、有力貴族か、富豪の商人の娘でおそらく末っ子より、ヘタしたら末っ子かもしれない。


 兄弟姉妹が多かったら、政略結婚にも使えない。上の方ならともかく下過ぎると名前だけでする意味がないのだろう。


 それでも、ここまで育つまでは面倒を見て、性癖はおかしいが、性格は歪んでない所を見ると真っ当には育てられているのだろう。


「どうして貴方は、恥ずかしい事実を嘘ではない言葉に置き換えて説明する努力を無にするのかしら!?」

「いえ、ミゼット様がこの方と一緒に居たいと思ってらっしゃると思ったので、小手先の嘘を言うといずれ信頼を失うキッカケになる事があります。その前に潰しておこうと思いまして」


 そう女だか紳士に言うセレナに感動した風のミゼットが目尻に涙を浮かべて頷くのを余所に俺が小さい声でセレナに話しかける。


「それ本音?」

「まさか? ミゼット様をからかうのが楽しいだけです」


 どうやらセレナなそういう人物のようだ。


 また話が脱線しかけているので本線に戻す。


「で、いつまでもここにいる訳にはいかないだろ? どうするつもりだったの?」

「一応、セレナにも調べて貰った結果、第一候補はセイドンしようと思ってますわ」

「はい、新興のギルドでアウトローギルドというのができたそうです。ただ、そこで受けれる恩恵が破格、というより常識を覆すようなものだったので、その裏を取ろうとしてたところです」



 はぁ、つまり、ここで逃げてもいずれ会う未来が待ってたという事のようだ。



「いきなり言われて信じられないだろうけど、俺、そのアウトローギルドマスターやってるんだよ」

「へっ?」


 間抜けな表情で目をパチパチさせるが顔の平均値が高いミゼットがするが可愛いだけであったのが救い。


「セレナさんが言ってる恩恵ってお金を預けたり、物をカードに仕舞えるとかだろ?」


 そう言いながらカバンを開けて顔を近づける俺にだけ聞こえる声量でカバンが話しかけてくる。


「この調子じゃったら出てくるまで待つという流れになるじゃろ。先に行っておけば良かったが、神々のタネがある場所の時間の流れがこちらと違う。取って出てきたら1日経ってるから1日かかると言っとくのじゃ」


 カバンの言葉に頷いてみせるとカバンからカードを取り出す。


 そして、アウトローギルドで実践した要領で2人に見せていくとミゼットはつぶらな瞳を大きく見開いて驚いていた。


 セレナは無表情に見えるが驚き、表情が固まったように見え、それと同時に初めて素の表情を見た気がした。


「という訳で本当の事だよ。一緒に行くなら、ここで1日待って欲しい。用事が1日かかるから」

「はい、お待ちしております!」


 目をキラキラと輝かしたミゼットと通常の無表情を取り戻したセレナが頷いてみせる。


 2人に手を振って立ち上がる俺は、今度は追いかけられずに奥へと足を進める。


 ミゼット達からだいぶ離れた頃、カバンが普通に話しかけてくる。


「しかし、あのセレナという娘、何者じゃろうな? まあいいわい、それは今度考えるとするかの。それはそうと、入口はすぐそこじゃ」


 カバンに言われるが何もないように見える。


 良く見ろ、とカバンに言われてある場所を細かく説明を受けてそこを見つめると歪みは発生する。

 その歪みが縦に伸びて割れると入口が生まれる。


「さっきは何もないように見えたのに……」

「狭間の入口は認識がずれるから、見る側がしっかり認識しないと目に映らんのじゃ」



 そういうもんなの?



 とりあえず見えるようになったので結果オーライと頷くと俺は狭間の入り口を潜っていった。

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